読書録

シリアル番号 516

書名

海軍戦略

著者

アルフレッド・マハン

出版社

原書房

ジャンル

兵法

発行日

原著:1911/10
複刻原本:1932/4
複刻初版:1978/3/10
4版:1980/2/25

購入日

1981/01/01

評価

原題:Naval Strategy: Compared and Constructed with the Principles of Military Operation on Land by Rear-Admiral Alfred Thayer Mahanの海軍軍令部訳の複刻版。1981年ころ買い求めたが書棚でかびていた。

大江志乃夫著「バルチック艦隊」を紐解く。圧倒的な事例で理論のバックアップをしている。明治文語体の原訳のままで読みにくい。

米海軍の理論的支柱であるマハンに学んだ明治の人は東郷艦隊の作戦参謀の秋山真之、明治海軍育ての親といわれる山本権兵衛提督である。彼らの国防観形成に大きく寄与した国防論の権威者佐藤鉄太郎はマハンの愛読者であったとのこと。

フランスの提督にして頭脳明晰な戦略理論家として定評のあるCastexをして「戦略の内外要素、集中攻撃防御運動を見事に説明している」と言わしめた。

この本は3センチもある厚い本だが書いてあることは「位置の理論」、「集中の原則」、「根拠地の原則」の3つだけであとはその例証をこれでもかと詰め込んでいる。

「集中の原則」ではナポレオン、ネルソン、東郷の名将の実例が挙げられている。「根拠地の原則」を読めばなぜ米国が海軍基地を日本に恒久的にもっているか、ロシアがなぜ北方領土を手放さないかがわかる。

セオドア・ルーズベルトの目にとまり米海軍の基本戦略となる。このマハンは日露戦争後、日英同盟の破棄を提案し、そのようになった。

山本権兵衛に先立つ日本海軍の建設者は川村純義、西郷従道、樺山資紀(かばやますけのり)ら薩摩藩出身者でそのルーツは島津斉彬(なりあきら)である。

Rev. October 19, 2007


トップ ページヘ