嘘つき大国

ドイツが長い森永先生はどうして日本政府はウソばかり言うのだろうかと言っている。私は儒教の影響下にある集団重視の社会では集団のためにはウソも方便として社会が受容しているからではないかとおもっていた。ところが内田樹は「嘘も方便」を許容しているのは仏教だという。

最近の政府のウソで最たるものは、2014/4に閣議決定したエネルギー基本計画で再稼働を審査する規制基準を「世界で最も厳しい水準」と明記したことだろう。実際には 日本にある世界で最も旧式の原子炉が再稼働できるように最小限の追い銭で動かせるようにした、後ろ向き基準なのだ。みごとな大嘘である。これはしかと公文書に記録されている大嘘だ からまた事故が起こったら現政権が失脚するのは当然として、根拠のない虚偽を公言したとして署名者の個人責任を問うことができそうだ。

さて話はそれるが民放のテレビ番組が「嘘つきな国ランキング」なる番付を発表したという。それによると39カ国の3900人以上を対象に実施したアンケート調査の結果、日 本は世界で4番目、アジアに限れば何とトップの「嘘つき大国」になるそうだ。したがって森永先生の持たれた感じは世界標準だとわかった。

ところが日本は嘘つきの国というよりはウソが下手な国だという日経記事にはビックリ。オランダ・ハーグの国際司法裁判所で調査捕鯨をめぐる訴訟で敗訴した のは2012年10月の衆議院での小委員会の議事録に書かれている本川一善水産庁長官の言葉「ミンク(鯨)というのは、お刺し身なんかにしたときに非常に 香りとか味がいいということで、重宝されている。ミンク鯨を安定的に供給していくためにはやはり南氷洋(南極海)での調査捕鯨が必要だった」という言葉が 理由とされているという。国際司法裁判所のペーテル・トムカ所長が判決文のなかでこの言葉を引用したというのだ。

すなわち科学的調査は建前で、鯨肉の安定供給が本音という構図を日本の捕鯨政策の責任者が公の場で、建前をないがしろにする本音を開陳したことにあるので ハーグとしては無視できなかったというわけ。なぜ特定秘密を自らバラシテしまったのだろうか?日本語はなにも暗号ではない、原告のオーストラリア大使 館員は日本語がペラペラではないとでも思ったのか?この少し間抜けな役人はオウンゴールしたわけ。少し意地悪だが調べてみると香川県出身、東京大学法学部卒業 の本川一善水産庁長官である。朝日などはこのことを報道していない。なぜかサッカーではオウンゴールした選手は監督が選手交代を告げるのだが、今のところ 日本の監督は無策のよう。

まえから同年輩の東京大学法学部卒の農水省のエリート官僚とスキーを一緒にしたときから抱いていた危惧が本当だと確認した次第。

これ書いてから4年経過したが、日本政府、特に財務省の役人の劣化によるウソがひどくなっているように見える。国有財産売却の森友スキャンダルで答弁に 立った、財務局の局長が安倍首相のもし私や妻がかかわっていたのなら辞職すると啖呵を切ったことに応えるべく、無理なウソの答弁を繰り返して、決裁書と齟 齬を来し、部下に命じてその公文書を改竄するという愚行にでた。その部下は気に病んで自殺してしまった。どうもその愚行の遠因は民主党時代に高給官僚の人 事をアメリカにならって総理官邸の手に移したことにあるらしい。そこで忖度して出世するというあさましいことが日常茶飯事となったためのようだ。米国でう まくいっていることがなぜ日本ではだめなのかつらつら考えるに、人の横移動(職場移動)が非常に難しい国情のためだと思う。まるで江戸時代の侍と同じ。失 敗すれば切腹しかない。

April 13, 2014
Rev. March 13, 2018


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