ノースウエスト・アース・フォーラム

グリーンウッド書簡

地球温暖化疑惑

NEWフォーラムの皆様、

私は引退者が作るサークルのいくつかに参加し、環境、エネルギー、政策にかんする研究と議論に活発に参加しており、その成果は自分のHPに都度開陳しております。

サークルの一つである東京電力OBと商社でウラン輸入に携わったバリバリの原発推進論者達といつも激しい議論をしております。この議論は重要だとおもいますのでNEWフォーラムの方々にもコピーを配布させてください。

ご興味のある方は詳しく解説した二酸化炭素濃度は温室効果に影響するのかをご覧ください。

グリーンウッド

 

Iさん、

IPCCは国連の官僚機構で各国が選んだ委員に執筆と査読をさせているだけと理解します。 実際のシミュレーションは英国、米国、日本の研究機関がしています。いずれの国でも先駆的な研究者である真鍋氏の鉛直方向モデルを三次元にしたり海洋の影響を加えただけで伝導はモデル化していないとゲーリッヒ論文は言っています。問題はどの研究機関もモデルは非公開のブラックボックスで石井さんがどう解釈されようが私と同じく何の証拠も握っていないと思います。問題は伝導をモデルを取り込むと二酸化炭素の温暖化がなくなってしまうので各国の研究機関はモデル変更できないのだと私はにらんでいます。IPCCは透明性を持っていない、権力機構の道具という感じですね。

大気の鉛直方向の温度勾配(Laps Rate)は対流を駆動する温度差です。従って対流圏にだけ存在するものでしょう。二酸化炭素濃度が増えれば拡散による濃度勾配に従い、炭酸ガスは対流圏より高くまで分布することになります。このとき成層圏ではLaps Rateはフラットになります。なぜなら熱移動は放射が主体となるから勾配は不用となるからです。実際の対流圏から成層圏へのトランジションの温度勾配はそうなっています。

真鍋氏はここで勘違いしてLaps Rateは炭酸ガスが拡散したところはすべてそのままの勾配を継続するとしたことです。なぜなら放射と対流混合モデルだからです。しかし成層圏では対流は存在しない(弱い)のですから放射伝導で温度は一様になっているのです。したがって実際に生じることは一様な温度の二酸化炭素層の厚みが増すということに過ぎないのでしょう。これを温暖化といえば温暖化ですが地表の温度には影響をあたえません。

というのがゲーリッヒ論文が言いたかったことと私は理解いたしました。

ところで私は自分の理解のために対流圏で生じていることを主たる要素だけで漫画的に解説しましたが実際には気圧の変化に伴い連続的に少しづつ変わるわけです。これを詳細なモデルでシミュレートするには熱伝導と放射のバランスを記述する偏微分方程式をナノメーターのメッシュに切って数値微分するしかなく、現実には地球をナノメッシュに切れるような巨大なコンピュータは存在しないし、仮にあったとしてもバタフライ効果でカオス現象が発生し 、意味のある解は得られないと予言しております。

IPCCは石炭労働者のスト(私も1972に家族同伴でロンドン駐在中、オフィスが真っ暗になるとか家の暖房ようの石炭の入手に苦労しました)を無力化しようとして、化学者でもあったサッチャー女史がはじめたことです。政府リーダーは原子力を守るためにIPCCを保護し、気象学者は研究費ほしさにモデルもパラメーターをいじり続けるのではとおもいます。ゲーリッヒ論文がなぜ出てきたか考えるとドイツは核武装しておらず、原発も撤退の路線は変えていないため、フリーハンドがあるからではないでしょうか。研究費を采配する者に束縛がなければ学者は正しい理論を誰に遠慮もなく出せ、それは長い歴史では結局勝者となるからです。勝者にならなければ人類は滅亡するのでしょう。

税収36兆円、役人の給与35兆円で財政破綻した日本がすべきことは、当面無意味な排出権取引に慎重になることと、成功が危惧される核融合と増殖炉開発予算数兆円を仕分けすることではないでしょうか?戦後、東大物理学化卒業後、原研に嫌気をさしドイツの大学の原子核物理学科の名誉教授となった88才の森永晴彦氏によれば核融合は全く夢物語で研究者の利権と化しているといいます。増殖炉は仮に計画通り2050年に技術的に旨くいったとしても再処理を含む総合増殖率=1では無限回再処理を繰り返してウラン資源は高々2倍です。じつは世界でまだだれも総合増殖率=1を達成した国はないと聞きます。

仮に総合増殖率=1.1を達成できたとしましょう。この場合、ウラン資源を2倍にするには古川先生のご指摘の通り、複利計算で8回再処理を繰り貸さなければなりません。いまだに動いていない六箇所村の再処理設備は日本の50%を処理できるとすれば、いまの六ヶ所村の設備16倍のプラントを増設しなければなりません。再処理は水溶液系ですので臨界防止のため、大型化は不可能です。ということは16系列のプラントを並列に運転することになります。そして再処理の都度発生する放射性廃棄物の最終処理場もまだありません。これだけしても日本の電力の30%しか賄えないのです。増殖炉路線良く考えればすでに破綻しているわけで、先進国は実質、撤退しております。

最終処分にしても造山帯で降雨の多い日本では地下水がだぶついていいます。結局最終処分地は見つからないのではないでしょうか。というわけでコスト的にこれから発展する再生可能エネルギーに太刀打ちできないと私はにらんでいます。

燃料電池と同じように政治家・官僚・国民は原子力学者にだまされていると私は理解しています。森永先生によれば経済的根拠も無く、原発推進をさけぶ東大原子力工学科自分がメシを食うことを考えているだけで、国をミスリードしている。これは万死に値する行為だといいます。そのうちに世界のどこかで軽水炉のブラック・スワンが発生し、民主主義国家では原発は死に絶えるでしょう。

昨夜グーグルマップでイメージデータベース5からチェルノブイリ原発の航空写真を 、スリーマイル島の航空写真をメモ1084からリンクしました。手がつけられないのでそのまま廃墟となっています。

グリーンウッド

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April 29, 2010


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