ドコモと切れたわけ

なぜドコモと契約したか

自分の船をマリーナに預かってもらう条件として救難連絡用の携帯電話を持つことがあった。1年前の契約時はまだ日本一周の野心があったので、グリーンウッド氏はカバー領域が広いドコモと契約した。携帯を持つ以上にはと iモードも使えるN502iという折りたたみ機種を購入した。

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N502i

欠陥だらけのiモード

iモードでメールを送るということは文字入力を10数個のキーで行うことである。これはかなり苦痛であるため、もっぱら受信Eメールの転送用に使うことになった。これは他社製品も同じ。

受信専用といっても表示文字数が全角250文字と少ないため、ほとんど実用にならない。auなら発信500文字、受信5,000文字だ。留守中のPCからの転送にもびくともしない。なぜdocomoが文字数に制限を設けたか全く理解できない。なんでも制限することが好きな役人的発想か?旅先から返信しようにも相手が後半でなんと言っているかわからないので返事しようもない。せいぜい着信警報機としてしか使えない。それに添付書類もすべてカット。auなら.jpgなどかなりの種類の添付書類を受信できる。

仕事で1日に50通ものメールを受信するようになると。ドコモが頼みもしないのに勝手に送信者にもう受け取れないとメッセージをだしてくれるので発信者はビックリしてもう一度送ったりする。もう大混乱に陥ることが判明し、転送利用は中断した。いずれADSL契約にすれば着信警報機としての有用性もなくなる。

ジャンクメールの殺到にも困惑した。自分宛のメールを探し出すのも一苦労。通信費も月1,000円は余計に支払わされた。メールアドレスを変えること数回。暗号のように自分でも覚えられない名にしてようやく止まった。値下げしてくれたが、既に払った分が帰ってくるわけでもない。J-Phoneは195文字まで通信費は無料で、受信不要なら、サーバーレベルで削除できるという。auはタイトルは有料だが、タイトルだけみて受信本文はしないですむ仕掛けが用意されている。ドコモの対応は利用者の便宜を全く考えない不親切なものである。

ドコモが抱え込んだiモードのコンテンツなど通常のインターネットの価値を知って居る者にとっては全く価値を感じないミーハーだましの代物。数が多くてもジャンク情報では使いようがない。

電話の通話範囲の評価

登山遭難時の連絡用として有用性をいろいろテストしてみたが、100名山と言われる山の山頂がかろうじて尾根では通じることもあるが、谷筋ではほとんど役にたたない。南アルプスの北岳では山頂ですら役にたたない。ツーカーなど他社と大同小異である。これではドコモ採用のメリットがない。携帯電話としては船の救難信号発信用と、待ち合わせの時だけ有用であることしか上げられない。

通話品質の評価

娘からauと契約したら音質が良いという情報が入った。当然であろう。ドコモが古いTDMAという時分割多重接続方式を採用しているのにauはCDMAという符号分割多元接続方式を採用しているため、同じ帯域で沢山の情報を送れるからである。

NTTのW-CDMAの評価

NTTはCDMAを発展させたより広い帯域をつかうW-CDMAという方式を世界に先駆けてと意気込んでいるが、高価なくせしてまた抱え込んだジャンク情報以外使い道も考えられないものを誰が使うのだろうかと訝られる。情報システムはオープンでなくては大きく成長しないと思うのだが、またi-modeの失敗の轍を踏むのか?

ハードの湿度に対する無防備さ

たまたまエンジニアリング振興協会に出向いた折、携帯電話を布製のカバンに入れたまま急に降り出した雨の中を傘もなく新橋駅まで10分程歩いた。次の日、表示部をおりたたんでも表示装置のバックライトがつきっぱなしになってバッテリーが上がってしまうトラブルが生じていることに気が付いた。携帯電話機に直接雨が当たったわけでないが、カバンの中が湿ったため、回路基盤上に結露が生じてバックライトの自動消灯回路が誤動作したのだろうと判断した。はたせるかな数日したら直ってしまった。ところがそのまま2週間家のピアノの上にほっておいたらまた、同じ症状が再発した。今度は湿気も無いところに置いておいたわけである。携帯電話が水に弱いことは容易に想像できるので、いままで船に持っていく時はカバンにいれ、キャビンのベッドの上に保管しておいた位である。

ハードの瑕疵責任を回避する基本的姿勢にきれる

もはやこれまでと、1年保証期間中に修理してもらうため藤沢のドコモショップに持ち込んだ。ショップへ入って修理窓口にゆくと警察のような感じで調書をとられる。まるでウソを言っている犯罪者を取り調べているという態度だ。一応症状を聴取してから、おもむろに修理の過程でメモリーが消去されることもある。合意するならここに署名しろとあらかじめ用意した印刷物を押し出してくる。なにが書いてあるか読む時間も与えない。電話番号帳に約100名の電話番号やメールアドレスを入力した苦労が頭をかすめるが、マ、この際やむをえないかとサインをする。20分後に取りに来いという。この間、別用を足して時間をつぶしているうちにふと技術的にメモリーをバックアップすることができないわけはない。ドコモともあろうところがそのようなサービスもしないとはけしからんという思いがフツフツと沸いてきた。受け取り時にそう告げると「はい可能です。後のPCに接続すればできます」とすずしい声で答える。ここで私の堪忍の緒がプッツンときれる音がした。「はじめにその情報を開示しないでいきなりサインせよと迫るのは手抜きではないか、それに修理しませんとはどういうことです!上司を呼んでください」ということになった。

出てきた上司というかオ兄さんが「バッテリーハウジングにある水検知シートは水にふれた証拠を示してはいないが、回路基盤上に張ってある水検知シートが基盤が水に濡れた証拠を示している。このような場合、メーカーが無償で修理しません」という。でも「携帯を水に落としたわけでもなく、水を直接かけたわけでもないことはバッテリーハウジングにある水検知シートが水にふれた証拠を示してはいないことで明らかだろう。それを回路基盤上にある水検知シートだけの表示で修理を断るとはどういうことか。そもそも、回路基盤上にある水検知シートは湿気による結露と使用者が水に落とした違いを区別できないだろう。一律回路基盤の水検知シートだけの表示を理由に修理しないというそんな単純な契約をメーカー(NECという旧電電一家)としているドコモはドあほや、付き合いきれん。さよなら」と相成った。ただちに解約。押し問答している間も使用料を取るなど言語道断。

添付取り扱い説明書を読んでみたが、保証とアフターサービスの条件として、湿気による故障は保証しないとはどこにも書いてない。売る前に買い手にその例外規定を開示していない場合、 法廷に出れば通常 contra proferentemといって文言を作成した人に不利になるように解釈するルールが適用されるのは自明だろう。ドコモ・メーカー連合の論理に破綻があるので、突っ込めば面白いのだが、どうせねばったところで同じメーカー製品と付き合わねばならない。根本的に設計仕様を変えねば再発することは明らか。NTTのファミリーメーカーは水検知シートで自衛することに熱心になることより、防水コートを厚くして結露にも強い製品を開発するという王道を採用したらどうでしょうか。一緒にカバンの中に入れておいたソニーのCD-ROMプレーヤーがなんでもないことによっても明らかと思います。日本のように湿度の高い国では必須な品質ではないでしょうか。

ドコモのオ兄さんは「ドコモは欠陥品を売っていません」と強弁しているが、10ケ月でハードが使い物にならなくなり、ソフトもミーハーだましの欠陥だらけの欠陥商品とは深入りせず手を切ったほうが賢明というもの。

他社のハード製品の瑕疵責任にたいする対応の調査

この問題を家人・知人・友人に話したところ、友人のツーカー向けのキョウセラ製品は問題ないようだ。娘はソニーのPDAを過失で水没させたのだけど、無償で交換してくれたとのこと。自動付帯の保険が使えたのでした。まあ、言いかえれば定価に保険代が含まれていることでもあるが、ユーザーにとってはありがたい。お尻で潰したフジフイルムのデジカメも過失だと告白したのに、無償で直してもらえたそうである。

CDMA Oneとの新規契約

携帯は船には依然必需品である。ただ限定沿海海域ではKDDIのauで充分である。auはDoCoMoが古い時分割多重アクセス方式であるのに対し、符合分割多重アクセス、CDMAを採用している。早速キョーセラのC414Kを購入。申込金を含む価格は4分の1でカラーである。これならただ同然なので保証など不要。折りたたみ式であるところもN502iそっくり。留守録音が無料サービスなのもよい。メモやスケジュールを記入できるのもよい。小型PDAだ。CDMAの場合、米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、香港、韓国でもそのまま使える機種もあるが、使用頻度が少ないのでやめにした。

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C414K

iMode の対抗商品EZwebのコンテンツには興味ないので当面、電話だけの最低限の契約とした。電話番号帳に再度入力するのは面倒。N502iに約100名の電話番号やメールアドレスを入力するとき作成しておいたエクセル表を有効活用することにした。CDMA One対応のケータイ・エディというPC用ソフトとUSBコードセットを購入し、PCでエクセル表をテキストモードで保存後、ケータイ・エディに取り込み、PCからUSBコード経由C414Kに移植した。ケータイ・エディでは面白いことに友人の携帯の機種が表示される。今後は電話番号帳のメンテナンスは継続してPCで行うことにする。docomoが使っていたバックアップソフトも多分同類のソフトであろう。

NTTドコモのW-CDMA(Forma)に対抗するCDMA2000も運営開始というので注目はしているが、メリットは分からない。

今後の予定

マイラインは東京電話なので、今のSOHOの仕事が一段落したらNTTの割高なISDNも解約してADSLにしようとおもう。ADSLも鎌倉地区では2001年初にはOCNとNTTの割高のフレッツADSLしかなかったが、いまではサーバー容量が大きいISP、コストパーフォーマンスのよいADSL業者がサービスの提供をはじめたのでありがたい。携帯とインターネットあわせて月3,000円の節約になる。

感想

それにしてもNTT本体が余剰人員を抱えているというのにドコモショップにあふれている若い社員はちゃんと旧NTTの遺伝子を受け継いで、傲慢このうえない。NTTのような官僚的なところとつきあっていると、精神衛生上によくない。解約してアーさっぱりした。NTTとのお付き合いは旧来の有線電話だけとなりそうだ。

規制緩和バンザイ。このぶんでは近未来、実現しそうな巨艦NTT沈没の夢を楽しみに。

2001/10/30

2001/11/27追輔


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