肝臓病についての患者さんのための書物を記載いたします。ご参考にしてください。
1:京都府立医大消化器内科教授 岡上 武氏
   患者さんと医師のための肝臓病 最新の診断と治療 銀海舎出版
   2000円(税別) 平成16年1月5日  専門医に病状や治療方針をお聞きになるときに非常に参考になる書物と考えます。通読するにはややむつかしいかもしれません。
2:済生会京都府病院内科部長 中嶋俊彰氏
   よくわかる最新医学 C型肝炎・B型肝炎   主婦の友社出版
   1300円(税別) 平成15年5月  肝臓の病気について丁寧に説明されています。
  更新:平成17年1月
急性肝炎
  肝炎ウィルスに代表されるウィルスやアルコール、薬剤などが原因で発症する急性の肝障害のことを急性肝炎といいます。肝炎の約8割はウイルスによるものです。
  肝炎ウィルスにはA型、B型、C型、D型、E型,G型、TT型などの肝炎ウィルスがあり、それぞれ感染する経路、症状、治療方法は異なります。持続感染が成立し、明らかに慢性肝障害、肝癌を発症するのはB型,C型のみです。
 
A型肝炎は、生の魚貝類などの摂取による経口感染が主で、海外旅行帰りの若者などに多くみられます。
 
B型肝炎は肝炎ウィルス保持者からの血液や性交を介した非経口感染によることが多いです。
 
C型肝炎は輸血等による血液感染が主で、経口感染は認められません。
 初期の症状は、全身倦怠感、脱力感、食欲不振などで、風邪や胃腸障害のときの症状と変わらないため、黄疸が出現して顔や手が黄色くなるまで気付かないこともあります。急性に進行し死亡にまでいたる
劇症肝炎も見られることがあります。
慢性肝炎
  慢性肝炎は何年にもわたって持続的に肝炎が続く病気で、原因としてはB型、C型の肝炎ウィルスによるもの、自己免疫によるものなどがあります。肝臓が長期間にわたって障害をうけるため、線維化して固くなり、最終的に肝硬変に移行することも少なくありません。疲れやすい、疲労がとれないなどの症状を訴えることもありますが、全く自覚症状がないことも多く、健康診断ではじめてみつかる方もいます。慢性肝炎では治療を受けていても肝臓の状態は悪くなったり、よくなったりを繰り返しますから、ちょっと肝機能の数値が下がったからといって安心はできません。原因によって治療法が異なるうえ、病状によっては、入院治療が必要となることもありますから詳細に関しては専門医に御相談ください。活動性の慢性肝炎ではインタ−フェロンによる治療が行われます
肝硬変
 
 肝硬変は慢性肝炎の終末像で、進行性に肝臓組織が固く線維化してしまう疾患です。原因としてはアルコール多飲、肝炎ウイルス感染、自己免疫などがあげられますが、進行すると最終的には肝不全(肝臓の機能の悪化)、消化管出血(おもに食道静脈瘤破裂)、肝臓がんなどに悪化していく病気です。
肝臓がん
  
臓がんはわが国の男性では肺がん・胃がんに次いで3番目に多いがんで、その多くは肝硬変が発生母地となります。B型肝炎、C型肝炎と肝臓がんの関連が大きく、特にC型肝炎からの肝臓癌が現在、重要な関心事となっています。わが国の肝細胞癌の原因の約90%はウイルス肝炎です。B型慢性肝炎からの発癌は年率0.65%、C型のそれは年率1.7%と言われています。肝臓がんには手術をはじめとして、非常に多くの治療法があります。薬剤を腫瘍に直接注射したり、電磁波で焼灼したり、あるいは腫瘍を栄養する血管をつぶしてしまう方法など色々の方法が出現してきており、年々肝臓がんの治療成績は確実に向上しています
胆石症
  
胆嚢や胆管にできた結石を胆石と言います。砂のようなものから直径数cmのものまであり、その数もひとつから何10個のこともあります。胆石がありながら無症状の方もあります(サイレントスト−ン)。結石が胆嚢や総胆管の粘膜を刺激したり、その出口を閉塞すると、激しいキリキリした腹痛(仙痛)や黄疸、発熱といった症状が出現します。細菌感染が加わると、化膿性胆
嚢炎・化膿性胆管炎といったきわめて危険な状態になることもあります。
胆嚢ポリープ
  
胆嚢にできるポリープはほとんどコレステロール・ポリープと呼ばれる直径数mmの良性のものですが、大きさが1cmをこえるものは悪性腫瘍の疑いが強くなります。
胆嚢癌・胆管癌
  
胆管にできる癌を胆管癌、胆嚢にできる癌を胆嚢癌といいます。胆管癌は50-60歳台の男性に多く、胆嚢癌は50歳以上の女性に多い。初期には無症状ですが、進行すると黄疸や腹痛をおこしくるようになり、発見された時点ですでに手遅れのことが多い。胆嚢癌では胆石を伴うことが多いため、胆石症の方は超音波検査などを定期的に受けられる必要があります。

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