肝臓病の生活指導

肝臓病の生活指導

私の肝臓は大丈夫?”,“アルコ−ルは?”・・・・
ふっと,こんな風に考えたことはありませんか。誰しも一度は自分の肝臓を心配したことがあると思います。肝臓の働き,肝臓病とその治療(主に食事療法)について説明します。
肝臓とその働き:
臓はお腹の右上にある重さ約1kgの人体最大の臓器です。食べ物は胃や腸から消化,吸収され,肝臓に運ばれます。肝臓はこれらの食べ物の代謝を行います。いわば,身体の巨大な精密化学工場です。アルコ−ルなどを分解したり,血液の調節,ビタミンの代謝に大切な働きをしています。
肝臓の病気:

 現在問題になっているウイルス性肝炎,さらには慢性化した慢性肝炎に続く肝硬変,肝臓癌などがあります。ウイルス性肝炎はA型,B型,C型,D型・・・F型,TT型というように分類されており,口から感染するA型肝炎は慢性化しません。アルコ−ルの過飲,肥満,妊娠,栄養障害などにより肝臓に脂肪が蓄積して脂肪肝をおこしたり,薬物や免疫異常によっても肝臓障害を起こすことがあります。

慢性の肝臓病の一般生活 医師の指導のもとに行いましょう
1:過労を防ぎ,出来るだけ安静の時間を作りましょう。
2:食後は30分から1時間程度,横になりましょう。
3:睡眠は充分にとり,週に一度はゆっくりとくつろぐ休息日をつくりましょう。
4:無理のない生活を送るように心がけましょう。重労働や過激なスポ−ツは避けましょう。
5:アルコ−ル類は,出来るだけ控え,特に,毎日飲むことは避けましょう。
6:煙草に含まれているニコチンは肝臓で解毒されるので,煙草の吸いすぎは肝臓に負担がかかります
7:定期的に医師の指導を受けましょう。
慢性の肝臓病の食事療法:
1:エネルギ−量は多からず少なからずに。運動量や肥満度に応じて決められます。
2:タンパク質の多い食品をしっかり取りましょう。
  • 動物性タンパク質:魚,肉類,卵,乳製品
  • 植物性タンパク質:豆腐,納豆,みそなど。
  • 1日80−100gは取りましょう。体重1kgあたり1.5gを目安に。
3:タンパク質を利用するために,炭水化物(米飯,うどん,パンなど)も充分取ることが必要。しかし体重が増えすぎないように。
4:ビタミンは充分に取りましょう。肝臓には大切な栄養素です。
5:嗜好品(コ−ヒ−,紅茶,調味料)は,ほどほどに。
6:大切なのは栄養のバランスで

7:肝臓病は高カロリ−・高タンパクの考えは飽食の現代では考え直す必要があります。
8:
最近は就寝前に軽く軽食をとって、肝臓が夜間栄養不足にならないようにするのが良いとも言われます。特に肝硬変に。
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日本人の従前の和食が理想的な肝臓食です。
 
ビタミンAの多い食品 緑黄色野菜(にんじん,こまつな など),海苔,うなぎ など
ビタミンB1の多い食品 強化米,胚芽米,豚肉,ごま,大豆など
ビタミンB2の多い食品 レバ−,スキムミルク,いわし,卵,納豆など
ビタミンCの多い食品 緑黄色野菜(ほうれん草など),いちご,,柑橘類
ビタミンEの多い食品 その他の野菜,魚(うなぎ,さんま,まぐろなど),大豆,植物油など


                     アルコ−ルと肝臓:                   

 アルコ−ルを飲む量が多ければ多いほど,飲んでいる期間が長ければ長いほど肝臓は悪くなる頻度が高くなります。タンパク質の多い食品の摂取量が少ない上にアルコ−ルを飲み過ぎることでも,肝臓病は起こります。
 
アルコ−ルの飲み過ぎは,肝臓に脂肪が蓄積して起こる脂肪肝や,ウイルスが原因となる慢性肝炎などを増悪させ,肝硬変へ進展することになります。特に肝障害を指摘されている人は食事やアルコ−ルを摂取する際,肥満にならないよう注意し,主治医の指示を良く守って下さい。

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