なぜ、運動療法：

適度の運動で筋肉の中のグリコ−ゲンが使われ、同時に血液中のブドウ糖が筋肉に取り込まれて、血糖値が下がります。運動によりインシュリンの働きも良くなってきます。血行が良くなり、心臓や肺臓の機能が高まります。また、運動がストレスの解消にもなります。

運動のポイント：

�@メディカルチェックを 　運動量や方法など。心臓、肺臓、関節、肝機能など。

�A無理なく、楽しく出来る有酸素運動（エアロビクス。酸素を充分使いながらする運動）を。 　ウオ−キング、自転車、水泳など。

�B一定時間、持続して 　食後1〜2時間後に20〜30分間続けましょう。薬物療法を受けている人は空腹時に運動すると低血糖になることがあります。また、体調が悪いときは決して無理せず、運動を中止しましょう。少なくとも週3回以上。出来れば毎日が望ましい。一人でも出来る運動。

�C運動量は適度に 　運動量が少ないと効果が少なく、多すぎると害になることもあります。ウオ−キングで1日7000ないし10000歩。 　運動の強さは、脈拍の数（心拍数）を目安にして、自分にあった強度で。運動時の脈拍数は100〜120位に。〈きつい〉と感ずるときは〈強すぎる運動〉と考えてください。 　　ニコニコペ−スの運動をしましょう。運動中に息が弾まず胸もドキドキせず、比較的楽に続けられれるマイルドな運動が良く、無理しないで続けることが大切です。

�D筋力をつける 　筋力をつけるには有酸素運動と同時にレジスタンス運動が必要です。速く歩いて3分くらい、そして次にゆっくり歩く1分くらい、それを繰り返すというような歩き方もその一つです。

ニコニコペ−スの運動の脈拍数

年齢	30	35	40	45	50	55	60	65	70	75	80
15秒間の目標脈拍	28	28	27	27	25	25	25	24	23	23	22
1分間の目標脈拍	123	121	118	116	113	111	108	106	103	101	98

運動の種類と消費エネルギ−：

運動で消費するエネルギ−量はそれほど多くない。

「運動しているから、食事はいくら食べても」は誤りです。

1単位(80kcal）を消費するおよその運動時間(体重60ｋｇの男性の場合）

運動の種類	1単位あたりの 運動量 (分）	運動の種類	1単位あたりの 運動量 (分）
ラジオ体操	25	日本舞踊	27
散歩（ゆっくり）	30	社交ダンス	23
歩く(普通に）	20	ジャズダンス	10
ウオ−キング（速歩）	15	スイミング（ゆっくり）	11
ジョギング（ゆっくり）	10	スイミング（はやく）	7
ジョギング（はやめに）	8	テニス（練習）	10
サイクリング（ゆっくり）	15	ゴルフ	16
サイクリング（はやめに）	10	バドミントン（練習）	9
階段昇降	15	歩くスキ−	12

運動療法を行ってはいけない場合：

�@　糖尿病のコントロ−ルが極端に悪い場合；空腹時血糖値250以上、または尿ケトン体中等度以上陽性

�A　増殖網膜症による新鮮な眼底出血がある場合；眼科医と相談

�B　腎不全の状態；クレアチニン　男性2.5以上、女性2.0以上）

�C　虚血性心疾患(糖尿病のばあいには、特に無症候性(無痛性）心筋虚血が多くみられる）や心肺機能に障害　　ある場合

�D　急性感染症、糖尿病性壊疽、高度の自律神経障害

�E　骨・関節疾患がある場合(専門医の意見を）