0:食事療法による食生活の改善には2つの要素があり、その一つは食事内容の改善であり、他の一つは食行動の改善です。
1:多品目の食品をバランスよく、偏りの無い食事を
2:アルコ−ルはほどほどに。 1日に、清酒ならば1合、ビ−ルなら小ビン1本くらいに。中性脂肪の多い人は特に控えましょう。また中性脂肪の多い人は糖尿病の場合と同様に果物、砂糖、菓子類を控えましょう。

3:脂肪の制限
 
日本人の脂肪の摂取量は今から30年前は20%くらいでしたが、最近では26%くらいに増加しており、特に若い人では30%以上で、この脂肪摂取量の増加に比例して心筋梗塞などが増加しています。

4:動物性脂肪、魚油、植物油
 
獣肉を制限し、脂肪分の少ない魚油や大豆製品への切り替えが薦められます。しかし、ひとつのものに偏らず、健康食品の広告に惑わされずに自然の食品を取ることが望ましいと思います。リノ−ル酸、オレイン酸、EPAなどの脂肪酸についてはこのペ−ジの最後に。

5:コレステロ−ルの多い食品はひかえめにしましょう
 コレステロ−ルを多く含む卵の黄身やたらこ、レバ−などの内臓のとり過ぎに注意しましょう。
 コレステロ−ルを多く含む食品:食品中のコレステロ−のペ−ジ
 
レバ−、モツ など、たらこ、いくら、丸干し、シラス干し、塩辛 など。卵の黄身

6:食物繊維を多くとりましょう 繊維の多い食品は腸からの脂肪の吸収を抑え、コレステロ−ルの便への排泄を多くします。日本食には繊維を多く含む食品が多く、伝統的な日本食の回数を多くすることが高脂血症の予防・治療につながります。

 食物繊維を多く含む食品:
  
A)野菜:にんじん、牛蒡、切干大根、ほうれんそう、ブロッコリ− など
  B)海草:ひじき、わかめ、昆布 など

  C)豆類:大豆、豆腐、あずき、そらまめ など
  D)きのこ類:しいたけ、しめじ、えのきだけ など

7:ビタミンを多くとりましょう(抗酸化食品について)。
 
LDLは、肝臓で作られた脂肪を全身の各組織に運ぶ働きをしています。このLDLが酸化されると、動脈壁に多く取り込まれ動脈硬化巣をこしらえます。その酸化をふせぐ働きをする食品を抗酸化食品といい、ビタミンE、ビタミンC、ベ−タカロチン、ポリフエノ−ルなどを含む緑黄色野菜、大豆製品、茶、赤ワイン、穀物、果物などが該当します。ベ−タカロチンを薬品として多く取っても、とくに動脈硬化を予防できるわけではないようで、むしろ動脈硬化を促進し、がんの発症も多かったという報告があります。自然の食品として摂取することが望ましく、脂質に異常が無い人が極端な食事療法を行うことは健康にはかえって害になります。

   
脂肪酸あれこれ

 脂肪酸は脂肪の素材とお考えください。脂肪酸は炭素が連なった構造をしており、そのなかの二重結合の数でおおきく3つに分けられます(化学の時間を思い出してください)。

 飽和脂肪酸:二重結合を持たない。動物性の脂肪に多くとりすぎるとコレステロ−ルが増加します。
 不飽和脂肪酸:
  一価不飽和脂肪酸:二重結合がひとつ。オレイン酸。 
  多価不応輪脂肪酸:二重結合が2つ以上。リノ−ル酸、リノレン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)
           ドコサヘキサエン酸(DHA)

リノ−ル酸:一時期コレステロ−ル低下作用が強調されていましたが、最近ではリノ−ル酸の取り過ぎは血液を固まりやすくしたり、善玉のHDLコレステロ−ルを低下させるといわれるようになりました。また、がんとの関連をいう人もあります。
オレイン酸:リノ−ル酸に代わって注目されています。オリ−ブ油に多く含まれており、リノ−ル酸同様コレステロ−ルを下げますが、善玉のHDLコレステロ−ルは下げません。しかし、動脈硬化の抑止に有効かは不明です。
EPA,DHA:魚に多く含まれています。コレステロ−ルの低下作用と血を固まりにくくする働きをもっており、心筋梗塞の発症率を抑える成績が報告されています。しかし、精製して健康食品のようにしたものでは、発症率の低下につながらないようです。EPAやDHAは酸化されやすく、精製される過程で効果がおちているようです。  

                                         ひとつのものに偏らないで、自然の食品を、楽しみながら食事をとることが大切なようです。

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