3.入門の蛇足
●透視図法は
透視図(パースペクティブ 略してパースと言うことも多い))は図学で扱う図法で、遠近法の1つであるというより写実技法の1つであるといったほうがいいかもしれない。ルネサンスから中世にかけてブルネレスキやデューラーらによって研究された。首を固定して針金を張りまわしたり、ガラスに描いたりして大変だったようである。
見えるとおりに目の前のガラスに描いていけば透視図法になるし、ベネツィアのある画家がレンズを通して実像をすりガラスに投射しガラスにスケッチすることで描画のスピードアップをはかったという。
カメラで写すことはまぎれもない透視図法である。デジカメのモニターを見ながら壁に垂直に向けたり上を向いたりすれば以上説明したことが確認できる。
数学的にいうと物体の座標系を見る人の座標系に変換するということで、数式で書けば1行だそうである。物体の座標さえちゃんと拾えれば、どんな透視図にするのもパソコンならいともたやすいことである。
●図面から透視図を起こす(参考)
●問題の答え
最後に
特に近くのものを描いた透視図は不自然に感じるし、また消点から離れた所の線はやたらに延びたりしてひずみを感じてしまう。多分、人は首を固定して真横の方を眺めるなんてことをまずしないせいでもあろうし、人間の目は2つあるがカメラや透視図法の原理は1点から覗くのである。また人間の網膜は湾曲しているが透視図では投影面は平面である。そういったことから透視図法の限界というものがあるはずである。
透視図法への信頼は遠近感・立体感のある、説得性のある落ち着いた絵に容易に近づけるが、しばしば説明的な、無味乾燥な、つまらぬ絵に貢献することは心すべきである。
さきにも書いたとおりスケッチやデッサンのスピードアップ プラス アルファぐらいに用いたほうがいいだろう。
建物の完成予想図などで透視図法を用いたりしてリアルに描けば描くほど、注意書きに この絵は実物とことなります といったことが書かれるのは考えさせられることである。
・これは立面図と平面図から透視図を起こす作図方法を表したもので、消点が見る方向と見る場所で変るということを見てもらえばよい。
・四角い建物の平面図に対して見る人の位置SPを決め、見る方向を決める(矢印)。矢印に直角にスクリーンを建物の角に当てて線PPを引く。
直角にしないで蛇腹カメラのようにあおりを効かせることも出来る。スクリーンPPを建物の角に当てるのは立面から高さを取り出すのに便利だからで、離しても描けるが面倒になる。
・つぎに下のほうに地面の高さの線GLと目の高さの線(水平線)HLを縮尺に合わせて引き、横に立面図をGLに合わせて貼り付ける。
・SPから建物の左右の壁に平行に線を引き、スクリーンPPとの交点から垂線をおろす。それとHLとの交点が左右の消点VPとなる。
・スクリーンと建物の接する点の垂線を下ろし、立面の高さを横に引いきた交点が建物の角の頂点になり、GLとの交点が下の頂点となる。それぞれの頂点からVPに線を引くと建物の上下の稜線がきまる。
・SPから建物の左右の角に線を引く。スクリーンとの交点から垂線をおろす。その線が先ほどの稜線を切るが、それが透視図の建物の左右の線になる。これで箱型の建物の透視図が完成。
・窓などの細部の書き方も同じで、平面上の位置をスクリーンに投射してから降ろし、高さは手前の角の稜線で測り、消点に引き延ばしていけばよい。
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メモ   VP:vanishing point
     SP:standing point
     HL:horizontal line
     GL:ground line
     PP:なんだったか忘れてしまった 
     あとview pointというのがあったが作図に関係なかったような。
     むかしバニシング ポイントというスパイ映画かなにかがあったが、
     うまい表題をつけたものだと思ったことがある。
     あと、消点といわずに消失点ということもあり、1消点といわずに
     1点透視図ということもある。