女声合唱のための 息 Op. -2
(詩:谷川俊太郎)
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作曲期間 1987-91年/92年改訂
編成 女声合唱
演奏時間 約8分
初演 1991年10月 東京
荒尾岳児指揮 麻布学園音楽部(第1稿・男声版)
映画『誘拐報道』(伊藤俊也監督・1982)の主題歌『風が息をしている』の歌詞がテクストとなっている。この詩は後に改作されて谷川俊太郎の詩集『手紙』(集英社・1984)に『息』として収録されている。原作の歌も詩のトーンが生かされた美しい歌だが、私は何よりも詩の内容に打たれ、これに自分なりの音楽を与えたいという気持ちが強く起こって作り始めた曲であった。詩にメロディが乗るからといって作った前2作とは、自分の中で少し違う。 一方、すでに当時いくらか「無調」の音楽というものに触れかけていたわけで、その新しい美しさに出来る限り近づきたいという気持ちは強くあったはずである。しかし何も解らぬまま手探りで作曲している者にとって(勿論今でも当時と大した違いがあるわけではないが)その課題は大きすぎた。結果としては基本的に調性の中で動く音に付加音を夥しく与えることで和音を曖昧にする方法を採ったようだ。それは完成度を別にすれば、期せずしてシェーンベルクが初期歌曲で試みた方法と重なっている。また、当時心酔していた武満徹の「濡れたトーン」(と勝手に自分で呼んでいたのだが)に接近したいという思いが、特に冒頭部分に強く現れていると思う。 この作品は試作の段階で後輩に(男声でではあるが)歌ってもらった。本来聴いてみたいと思う女声の形ではまだ鳴っていない。生きているうちに聴けるのかどうか。お金貯めていつかどこかでやってもらいますかね。(11/2000) |
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