男声合唱とピアノのためのりんごへの固執 Op. -3
(詩:谷川俊太郎)

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作曲期間  1987年4-10月/89年・2000年改訂
編成    男声合唱、ピアノ
演奏時間  約8分
初演    1987年10月 東京
      荒尾岳児指揮 麻布学園音楽部 土屋光彦(pf)

詩集『定義』(思潮社・1975)の中の一編による。当時合唱曲のテクストに使える曲を手当たり次第探して、いろいろな詩集を繙いていたが、結局いつも帰ってくるのは谷川俊太郎の詩だった。「りんごへの固執」はこの詩集の中の他の多くの作品と同様、行分けのない散文詩のレイアウトで書かれているのだが、行分けされた一般の「現代詩」たちよりもむしろリズムがあるのだった。読みながら「あ、これメロディが乗る・・・」と思って書き始め、断続的に書いて仕上げた。

曲は詩のパラグラフの構成に従って、大きく5部に分けられる。第5部はアレグロの第1部を回想するコーダで、その前の第4部はア・カペラのカデンツァになっている。2000年にFinaleを使って浄書しなおしたときに、第3・4部の調設定を変えた。

当時私は高校3年だった。本来合唱のクラブは引退して大学受験に邁進するのが通例だったが、呑気にこんなことをやっていたのは、着実に翌年の浪人生活を用意していたわけなのだろう。音大を受験することも一時期考えたが、周囲に止められ、それを振り切るほどの根性もなく、さりとてきっぱり諦めて真面目に勉強するでもなく、煮え切らないままだらだらと人生を送り流す姿勢はもうこの頃から定着していると見える。でもとにかく当時は楽しかった。それだけは曲から伝わってくる。なお、この曲の音も非売品であり、楽譜の販売も保留中である。(11/2000)

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