9月13日(火)...7日目
今日は、下北半島.恐山!に寄って、大間崎からフェリーで北海道・室蘭に渡る予定だ。果たしてフェリーは決行、否、運行してくれるのだろうか?
「くまもとくん」は青森港から函館へ渡るそうで、朝早くYHを出発した。「元気でな〜。HAVE A NICE TOURING!!」
(7:10) うとうYH発。 心配の天気のほうは、とりあえずは大丈夫そうだ。これならなんとか..
青森と野辺地を結ぶ「みちのく有料道路」(600円)を使う。この有料道路はビックリするほど車が少なく道も良く、どの車も相当飛ばしている。地元の車がこんなに飛ばしているのだから、取り締まりなどしていないのだろうと、俺達も高速道路を走っているような感じで飛ばした。清水は、いつものように2スト特有の白煙をもうもうと吐きながら、カッ飛んで行く。あまりの煙の凄さに、俺は数百メートルもうしろを着いていった。(あとで聞いたのだが、清水はこの時チョークを引きっ放しだったとか..?)
→ 野辺地→ 単調ながらも気持ちの良い、海岸線のルート「はまなすライン」279号線とやらを北上する。
途中、横浜町付近(といっても中華街はない)での出来事。
前を走っていた清水の荷物がだいぶ横にずれていて、いまにも落ちそうだったので、信号待ちで並んだときに声をかける。「清水、荷物落ちそうだぞ」「えっ、そう?どれどれ..」とうしろを振り向いたその時、フラフラ〜とバランスを崩したようだ。「おっとと、と〜の、おっとっと」俺の方に倒れてきた。バイクにまたがっている俺が、支えてやれる訳がなく..「んっ、が〜っ!」と必死にこらえる清水であったが、結局「コテンっ!」といってしまった。あ〜あ、二度目の立ちゴケ。「大丈夫、大丈夫、走るよ、うん」と他人事の俺。 清水いわく(体制を立て直している間に信号は青になるは、車にクラクションを鳴らされるはで、気持ちだけがあせってバイクは起きず..やっとの思いで起こして路地に寄せた)..そうである。教訓:バイクは倒れるものである。
「下北半島の道路案内図、無料」と書いてあるドライブインで休憩。
むつ湾の向こう側に、恐山・釜臥山がクッキリと見える位置に、記念撮影用の場所があったので、記念に「パシャ」。もらった地図を見ながら今後のコースを確認していると、観光客のおっちゃん達が話しかけてきた。バスの運転手さんも話しに加わり、俺達のこれからの走行コースを地図で説明すると「何、とんでもないこと考えてるんや」とでも言いたげな顔をされた。その道はものすごい、ダートコースだと言うのだ。いや〜、教えてもらって良かった。「アリガト」。
→ むつ市。 日本初の、ひらがなを主名とする市。むつ市。
とりあえず駅へ行こうと思うのだが、地図を見るとなんと「むつ駅」というのが見あたらないのである。「下北駅」と「田名部駅」の二つの駅がある。どっちが、むつ市の中心なのか分からないが、とりあえず下北駅へ行ってみた。はい、ハズレ!。
(9:45/109Km) ということで、こちらが正解の、田名部駅。どっちもどっちの小さい駅だけど、オレンジ色の三角屋根がオシャレな駅だ。暇そうにタクシーが何台か止まっていた。
さて、心配のフェリーである。大間に電話をかける。晴れてきたので、恐らく大丈夫だろうと楽観視していたのだが、「現在、室蘭と連絡をとっているところで、まだはっきりしません」という。「ゲ〜ッ!たのむよ〜!」フェリーの出航時間(15:00)までは、まだ時間があるので、何とかなるとは思うのだけど、何とかならなかったら、ど〜しよ〜。フェリーの方は、予約しなくても余裕で乗れるらしい(そりゃ、そうだ)。しかし最悪の場合、今晩は大間のYHかどこかで一泊ということになる(いやだ〜!)。
(10:30/125Km) 恐山。
むつ市から30分。最果ての観光地?知る人ぞ知る、泣く子も黙る、黙る子も黙る?霊場「恐山」である。誰が名付けたか知らないが、悪い冗談は止めてくれと言いたくなる程、名前を聞いただけで逃げ出してしまいたくなる程の、まさに恐い山である(そんなに恐かったら行かなきゃいいじゃね〜か!)。
宇曽利山湖畔でバイクを止める。宇曽利湖そのものは静かできれいな湖なのだが、俗界と霊界の分かれ目といわれる「三途の川」、それに架かる太鼓橋、異様な硫黄の臭い。ハハ。いかにも..出そうな感じである。三途の川を渡り(否、俗界での話しです)、一般に恐山といわれている、恐山菩堤寺へ。入山料300円を払う。
平日だからか人などほとんどいなく、この世とは思えない様な地形、荒涼とした風景、まさに丹波さんも真っ青、地獄の様である。そして不気味なカラスの群、あちこちに小石が積み上げられている賽の河原、音もなく回り続ける風車、うろうろと歩き回る清水、どれももの悲しい雰囲気をかもし出していた(??)。
その中でも一番怖ろしかったのが清水である、否、大師堂である。中には女の人の古い写真、線香、生前着ていたと思われる衣服、遺品らしき物などが置いてある。もうこれは、遊園地のおばけ屋敷とは訳が違う(ホンモノだ〜!)。背筋が寒くなった。絶対、絶対、一人じゃ来たくね〜!。
帰り際、そばを食ったあと、お守りを買って(交通安全のお守りが千円位で高かったので、300円の厄除けのお守りを買った)?。そしてその後は、もちろん逃げ出すかのように走り去った。
清水談:(霊場恐山をまわり霊界を垣間見た時、今は亡きおじいちゃんおばあちゃんを思い出した。これは何かの因縁とばかりに砂金入りの線香をさす灰を買い、帰ったら旅の無事を報告し、その灰を入れてあげようと思い、1キロ1500円もするものを買ってしまった。南無阿弥陀仏)。
さてさて心配のフェリーである。再度、大間に電話をかける。「OK!!」。欠航じゃなくて、決行である。結構!。これで今晩は北海道である。万歳!まあこの妖気、否、陽気なら大丈夫だと思っていたけどね。やったぜ!
この後は、大畑から海岸線を走り、本州最北端の地、大間崎を目指す。
恐山と大畑の間にある薬研温泉までの道が、相当なダートのようだ。覚悟を決めて...いざ!ダートへ突入!!(実況:古館伊知郎)「お〜〜っと!これはもの凄いダートコースであります!たかが砂利道、されど砂利道、こんなみち、今だかつて走ったことがあったでしょうか!しかも長い長い!どこまで続くのでありましょうか!大小さまざまな石が、右へ左へまるでポップコーンのように弾け飛んでおります!しかもバイクのケツが!おお〜きく振られております!ここに来て、重い荷物がかなりこたえているようだ〜!おお〜っと!ここでだめ押し!ダンプ松本&ブル中野の凶器攻撃だ〜!!」と、ふざけている場合ではないのである。真剣なのだ。工事中で、どでかいダンプカーやブルドーザーが、道をふさいでいるのである。でも、俺達はバイク。いける!道端わずかな間を、斜面をズリ落ちそうになりながらも、なんとかクリアー!フ〜ッ!。しかし安心するのはまだ早い。ダートは続くよどこまでも...。つらい..。
(12:15/144Km) 奥薬研温泉
「かっぱの湯」という、緑と川のせせらぎに囲まれた(うまい!)露天風呂に寄ってみた。入ろうかと思ったけど、車でやってきたおばちゃん達が先に入ってしまったので、仕方なく覗きに切り替えた。橋の上から覗いてみたり、川の反対側の方から覗いてみたり(ウソウソ)..結局、見えなかった(当たり前だ)。
この時、上空かなり低い位置をヘリコプターが飛んでいて、ぐるぐる旋回していた。まさか覗いていたんじゃねーだろうなー。すけべ!(どっちが)。
→ 大畑町→ 279号線 海岸線を北へ北へ...
大間崎
遂にここまで来た。本州最北端の地!「ここ本州最北端の地」と書いてある記念石碑に座って記念写真を..「パシャ」。遥か北方には、うっすらとではあるが..み、見える!見える!憧れの北海道が!。向こう側からこっちを眺めているライダー達が「早くこっちへ渡って来いよ〜」と手を振っているのが見えた..ような気がした..とかしないとか..。
でも、本州最北端の地のくせに、そのすぐ北わずか数百メートルの所にある、灯台のある小さな島(弁天島)が、どうも気になって仕方がなかった。(あっちの方が最北端じゃねーか!)
そして日本の最北端、宗谷岬のように、ここにもあります「本州最北端のみやげ屋!」一軒だけじゃなく、二軒三軒と並んでいるところがミソである。そのみやげ屋の脇に、白いワンちゃんがいたので写真を撮ってやった(題して、本州最北端の犬!!)。
(14:00/200Km!)
大間崎、フェリー乗り場
いかにも最果てといった、寂しいムードのフェリー乗り場に到着。な〜んにもない!。駐車場というよりも、だだっ広い空き地といった感じの所で、隅の方にちいさな待合所がポツンと建っている。
乗船の申込書に、バイクのナンバーを書く欄があった。「ん?塩川、俺のナンバーっていくつ?」と清水。「ところで清水、おれのバイクのは?」と俺。「?」二人してナンバーを確かめにバイクのところへ..(みんなそんなものだよね)。 乗船まで30分足らず、食堂で軽く腹ごしらえをしておく。
(15:00)
いよいよ出航。大勢の人々の見送りの中、色とりどりの紙テープにみとれて、「う〜ん、船旅っていいな〜」なんてボ〜ッとしているところに「ボ〜〜ッ!」という大きな汽笛が鳴り響き、驚いてフッと我に返って、見送りの人々に大きく手を振って...な〜んてのを期待していた訳ではないけど..それにしても、潮風が目にしみてくら〜。..寂しい船出だ。
そして更に寂しいことに、2等船室にはなんと俺達の他には、親子だかなんだかたった二人しかいないのだ。室蘭到着予定時間は午後8時、のんびりくつろぐには十分な、そして静かすぎる5時間となりそうだ。
ちなみに料金の方は、大人一人1400円なのに対し、VFくん&ガンマくんは一台2200円である。たいしたもんだ。ま、重たいもんね(そーいう問題じゃないのかな?)。フェリー内ではTVを見ながら、ごろごろして過ごした。「すけばんデカ」「ルパン三世」「ニュース..」そうそう、ニュースで「ソウルオリンピックまで、あと4日!」なんて言っていたのには驚いた。そんな事すっかり忘れてたワ。
(20:00頃)
予定通り室蘭着。ゆっくりとそして機械のように正確にピッタリと岸に横付けされるフェリー。二人してじ〜っと眺めていた。
さていよいよ夜の北海道に上陸である。俺は、初めて北海道(函館)に上陸した時もそうしたように、ギアを一速に落とした。一速からゆっくりと二速、そして三速と、高ぶる気持ちを押さえるように、ギアが確実に入るのを確かめるように走り出した。(気分はもう、まるで片岡義男の小説の主人公である)
(室蘭駅前)
室蘭YHに電話をかけたが話し中だったので、直接行くことにした。昼間連絡してあるので問題はない。YHのガイドブックの地図だけでは、夜ということもあり少々不安だ。だけどホラ、そこは俺だもの!迷うことなく見事到着。
清水談:(塩川のうしろを走っていて、いったいこれでいいのか、彼はどこへ行くんだ地図も無く..と、着くまで不安に彼の行く先を考えていた)。YHのツーリングライダーもビックリ!。
(室蘭YH着)
昨晩の「うとうYH」が、あまりに寂しいYHだったので、着いてまずホステラーの多さに驚いた。ツーリングライダーも何人もいるようだ。(いまさらながらの説明だけど、YHのホステラーはライダーばかりとは限らない。旅をする若者達の宿である事には違いないけど、その移動の手段は、車であったり電車であったりチャリンコであったりと、人それぞれである。そこがまたおもしろい)。今晩のホステラーの大半は、まだ夏休み中の学生さんのようだ。みんな既に夕食を食べ終えて、くつろいでいる時間だった。中には卓球で盛り上がっている奴もいる。ハハ..。
このあとすぐに、みんなで花火大会をしてから夜景ツアーに出掛けるというので、荷物の整理もそこそこに急いで支度した。花火大会では、ペアレントさんがおもしろい事をやって見せてくれたので説明しよう。普通地面に立ててやる花火、あれをわざと横に倒して火をつけるのである。そのまま横にスッ飛んでいくのかと思いきや、ナ、ナント!.スパッ!とおっ立ってしまうのである。ありゃ〜、おもしれ〜。みなさん、今度試してみて下さいナ。知ってた?。
夜景の方は、YHからすぐ近く徒歩10分位のところに小高い丘があって、その丘の上から室蘭の夜景が一望出来るのである。函館の夜景などと比べるのは可哀想だけど、素朴な夜景で漁船の灯りなんかも見えて、なかなかきれいで良かった。星もきらきら輝いていて..。いや〜、来ちゃったんだね〜北海道、日程の事と、金銭面(こっちの問題の方がデカイ)の関係で、北海道をまる一日走れるのは明日一日だけだけど、思いっきり北の大地を満喫しよう!!
P.S..一緒に夜景ツアーに出掛けた奴が、おもしろい替え歌を歌っていたので、おもしろくないかもしれないけれど付け加えておこう..中森明菜の「少女A」の替え歌だ。「じれったい〜じれったい〜、いくつにみえても私誰でも〜..」の部分で、こうなる..「自衛隊〜自衛隊〜、いくつにみえても私誰でも〜、自衛隊〜自衛隊〜、私は右翼と関係な〜い〜わ〜..」という具合である...えっ?おもしろくない?こりゃまた失礼しやしたっ!。
本日の走行距離...200Km