9月9日(金)..3日目
(8:40) YHで朝食をとり、いざ出発!
天気は快晴!見事な青空だ。バイクで走っていると、体の中までリフレッシュされるようだ。肌に当たる風も実に心地いい。真夏のボワ〜っとした風とは全然違う。風はもう秋の気配!オフコース!暗い.. ツーリング中は、こんな天気が続いてほしいものだ。
今日は牡鹿半島をまわって、それから北上し、「遠野YH」に泊まる予定だ。
まずは、夕べ走ってきた道を松島中心部へ向かう。真っ暗で寂しかった道が、松島湾が見え隠れする気持ちいい道に変わる。清水も気分良くカッ飛んで行く。ガンガン飛ばして先に行く。飛ばすのはいいんだけど、、、道を間違って飛ばすのは困る。「オイオイ!逆だよ、逆!」45号線に出て、また、仙台方面へ向かってしまう。なかなか清水に追いつけず、そのまま数キロ走ってしまった。「俺が先を走ると、ろくなことがねえ」と、清水。でも、そのおかげで「双観山」という、とても眺めのいい展望台に寄る事ができた。松島は、期待していた程ではなかったものの、景色は見事だった。
45号線→牡鹿半島へ向かう。
牡鹿半島は、往路は有料道路(コバルトライン)を使い、復路は一般道を使おうと思う。途中、石巻市でガソリンスタンドに寄った時、有料道路までの距離を訪ねると、「すぐ、そこだよ」という。「あれ?そんなに近かったかな?」と意外に思ったが、有料道路入口で地図を見て間違いに気づいた。ここは「コバルトライン」ではなく、その10キロ以上も手前の「牧山有料道路」という、ただトンネルをくぐるだけの道だった。料金が100円と安かったので、戻るのも面倒だし、そのまま行くことにした。
398号→ 女川町
牡鹿半島〜コバルトライン〜(800円ナリ)
コバルトラインは、半島の尾根を駆けるアップダウンの続く、約30キロの快適なワインディングロードだ。天気も良く、景色も良く、車も少なく、路面も良い。最高の有料道路だ。木々のグリーンの間から、ブルーのダイナミックな太平洋が見え隠れする。コーナーリングよりも、景色を楽しみながら走った。でも、本音を言うと、重い荷物で後輪がすべりそうで、あまりバイクを倒し込めないので、とてもコーナーを攻めたり出来ないのだ。
途中の展望台で、清水がオイルの補給をする。(2ストは大変だ)
御番所公園(11:30/92Km)
展望の効く所へ行きたかったので、ちょっと上に登ってみる。すると、すぐ行き止まりになってしまい、そこには店(休憩所)があった。車一台通るのがやっとの道で、こんな所に迷い込んでしまったらもうおしまい。戻るに戻れない。しまった..「いらっしゃ〜い!」と店のおばちゃんが、カモが来たとばかりに、ニコニコしていた。「まっ、いっか〜」男二人で仕方なくクリームソーダを食った。
ここの屋上からは、太平洋側に金華山、反対側に石巻湾がくっきり見えた、おばちゃんが言った通り、バツグン!の眺めだった。クリームソーダ350円は、無駄ではなかった。
ここ御番所公園からは、一般道で女川町まで戻ることにする。
途中、十八浜(くぐなりはま)という、歩くと砂が鳴るという浜辺があるので、寄ってみようと思うのだが、どの辺だかよく分からない。地図で確かめようと、登り坂の途中でバイクを止めた。「清水〜!もうちょっと先かな〜?」「えっ?おっ?あれっ?とっ.とっ.と..」ガシャン!!助ける間もなく、バイクを倒してしまった。清水君、今回記念すべく一回目の転倒。オフロードバイクが一台、冷たい視線を向けて走り去った...
お目当ての十八浜は、そこからすぐの所にあった。歩くと「キュッ、キュッ」と音がするというので、期待と好奇心いっぱいで、砂浜へダッシュ!よ〜し!「ザッ!ザッ!ザッ!..」ん??な、鳴かない!なんで?。意地になってあちこち歩きまわってみたが、どこも同じ「ザッ!ザッ!..」結局、「キュッ、キュッ」とは鳴かなかった。シーズンオフは鳴かないのだろうか?..(そんなアホな!)
それと、砂浜にたくさんのうみねこ?がいて、近づいて写真を撮ろうとしたら、一斉に逃げやがった。ヒッチコックの映画のように、ぱ〜っと逃げやがった。本当につまらん所だった。ただ、天気がよく暖かかったので、昼寝でもしたら気持ち良かっただろうけど..
女川町まで戻った。このあと「リアスブルーライン」と呼ばれる、名前を聞いただけで走ってみたくなるような、海沿いを走る道を行こうと思ったが、数キロ走っただけで、なんと!「土砂崩れの為、通行不能!」の看板が!残念..仕方が無いので、ちょっと遠回りになるけど、石巻市まで戻って45号線を北上することにした。
(15:30/233Km)
クリームソーダを食った、牡鹿半島、御番所公園から約150Km、3時間以上ほとんど休みなしで走り続け..
ここ、気仙沼駅に到着。
気仙沼の町は、信じられないほど静かだった。まるで、町の人がみんな地元校の応援で、甲子園に行ってしまったかのように閑散としていた。駅前の食堂は閉まっているし、町全体が眠っているかのようだ。とりあえず、まだ昼めしを食っていないので、近くの食堂に寄ることにする。「すみませ〜ん、やってますか?」店のおやじに、ん?おめーら何者だ?とでも言いたげな目で見られたが、客だと分かると、すぐに電気をつけてくれた。客が一人もいなかったので、電気まで消してあったのだ。でも、時間からしてランチタイムも終わっているだろうし、当然だろうか? ....と、まあこんな感じの町だった。 潮の香りが漂う気仙沼をあとにする。
うら道で340号に出る。
住吉町のちょっと手前で、ガソリンスタンドに寄る。山の中の、いかにも暇そうなG.Sだった。おそらく、日が暮れたら店も閉めちゃうんだろうな〜。店員さんに、遠野市までの道を確認した。この先二つ目の信号を右折して、まっすぐだという。遠野まで、一時間もかからないそうだ。「そうか、二つ目か、すぐだな」なんて、都会の感覚で考えてしまったのは、愚かであった。こんな山の中、走っても走っても、信号なんてありゃしない。結局、二つ目の信号までナ、ナント!15キロもあった。こりゃ、参った!!
283号線→ 遠野に近づくと、さすが「民話のふるさと」ということだけあって、まわりの景色も「まんが日本昔ばなし」に出てきそうな、なんだか懐かしいような雰囲気になってきた。
(17:45) 遠野YHに到着。夕食の時間に間に合って、ひと安心。
ここ遠野YHは、柴田が何度か泊まったことがあって、「こじんまりとした、落ち着けるアットホームなYH」とのことだ。俺達は、そんな柴田の話しを信じて、期待して、出発前から泊まってみたいと思っていた。しかし、この日は落ち着けるどころか、随分とにぎやかな夜となった。
まず、YHに着いてすぐ十数台のサイクリング車(ロード自転車)が、並んでいるのに気づく。「まさかホステラーじゃないよなー」と、清水と顔を見合わせる。が、案の定、それは同志社大のサイクリング同好会の連中のものであった。それと偶然にも、今晩、松山隆宏(29)というシンガーソングライターの、ミニコンサートがあるということで、定員オーバーの三十数名のホステラーが集まった。静かなYHで、ゆっくりできると思っていたので少々戸惑ったが、それはそれで、思い出深い夜となったのである。
夕食後、半ば強制的にコンサートに参加させられ、期待半分、いい迷惑だ!半分である。この松山千春、否、松山隆宏なる人物、まず知っている人は少ないと思う。もちろん俺達も知らなかった。彼は、全国各地、ギター一本で、うたの旅を楽しんでいるという、ちょっと羨ましいような人だ。昔、ケメ、日吉ミミ(ふ、古すぎる..)の、バックギタリストをしていたというだけあって、ギターは、めちゃめちゃうまかった。歌も、とてもマイクなしで歌っているとは思えない程の声量で、迫力があった。曲の方は、とても今風とは言い難いフォークソングだったけど、「ストレートな歌心と、優しさ溢れる語りが好評!」と、パンフのプロフィールに書いてあったように、なんかこう、じ〜ん!とくるものがあった。彼の歌う姿を見ていると、やっぱり自分の好きなことを一生懸命やってる人って、生き生きしていると思った。いろいろ苦労も多いんだろうけど「がんばれよ〜!」」
遠野YHについては、ペアレントさんもおもしろい人だったし(清水は、小池先生に似ていると言ってた)、柴田の言ってた通り、雰囲気の良いYHだった。今度は是非、すいている時期にのんびりと遊びに来てみたい。
本日の走行距離...307Km