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 9月8日(木)...2日目

  風邪気味ということもあって、扇風機のせいで鼻が少しおかしくて、クスクス笑っていた..そーじゃなくて!調子が悪かったが、気合いを入れて起きる。「谷津くん」が「京産大」を駅までバイクで送って来た。朝メシは、その「谷津くん」と「オフロードくん」を引き連れて、喜多方の坂内食堂に行くことにした。朝からラーメン!。ペアレンツのおやじには当然あいさつもせず、ゾロゾロと出掛ける。

 (7:30) 会津の里YH発
 「俺についてこい!」とばかりに、先頭を走るおいら。

  〜10分程で坂内食堂に到着。細い道に迷うこともなく走って来たので、さすがのツーリングライダー達も、驚いていた。「まかせなさいって!」。
 
この辺のラーメン屋さんは、朝から営業している店が多い。と、いうことは朝からラーメンを食べる人も多い訳だ。「さすがラーメンの町!」。店内に入ると中は結構広い土間だった。何十年も使っているような、きゃしゃなテーブルに我々は座った。俺は肉ソバ(チャーシュー)、他の三人は支那そば(ふつーのラーメン)を、注文した。実は夕べ、YHにあったラーメンの本に、坂内食堂の肉ソバの写真が載っていて、それはもう!大きな肉が、どんぶりから溢れんばかりに乗っていて、もう、よだれもんで、これは食べるっきゃない!みんなを驚かせてやろう!と思って注文したのだが..愚かであった..そんなもの、そんな油っこいもの朝から食べるなんて..結局、みんなの「へ〜っ!」という、たった一言の感想で終わってしまい、あとは食っても食ってもなかなか減らない、肉との戦い、まさに肉地獄であった。食べ終わっても、しばらくの間気持ち悪かった。

  ラーメンの味の方は、まこと食堂のしょうゆ味に対し、こちら坂内食堂は塩味で、評判通りの味だった。俺は、まこと食堂の方がうまいと思ったけど、清水は、坂内食堂の方が気に入ったようだ。まあ、好みの問題だけど、どっちも旨いです。  それと印象的だったのは、調理場が関東のそれと比べると、二倍くらい大きいのだ。その辺うまさの秘訣だろうか?。あと、メニューの値段のところが、舌代となっていたのも、変わっている。ところで皆さん、朝からラーメン屋さんでラーメンを食べたこと、ありますか?。湯気の向こうでキラキラ光る、まぶしい朝日なんつーのは、なかなかいいもんだっぺえ!

  このあと、121号線に出たところで「オフロードくん」と別れ(彼は東京へ帰る)、俺達と「谷津くん」の三台は北へ向かった。「谷津くん」は宮城の人で、今晩は、山形あたりで一泊してから家に帰ると言うので、途中まで一緒に走ることにした。

  俺達の今日の予定は、まず、山形市に寄ってから、蔵王エコーラインを走り、仙台市を抜けて松島の先あたりまで、行けるところまで行って、適当なところで野宿をするつもりだ。 

  喜多方から米沢へ行く途中、「大峠」という峠がある。

 地図で見るとクネクネと曲がっていて、かなり手強そうな感じだ。覚悟はしていたが、実際、日光いろは坂をもっと細く、もっと急にしたような道で、小さなカーブがいくつもいくつも続いた。そして運の悪いことに、途中で雨が降り出してしまった。道幅が狭く急坂、急カーブで、しかも雨で視界が悪いとくれば、バイクにとっては一大事である。

幸いこんな山道、交通量はめっぽう少なかったが、それでも、対向車には十分気を付けなければならない。そして更に運の悪い事に、途中からいきなり砂利道になってしまった。「あ〜あ!田舎の国道は、これだから困るよ〜!」俺達は、三台ともオンロードバイクなので、砂利道にはめっぽう弱い。おまけに、タンデムシートに荷物がどっさり積んであるとなれば、これはもう、冷や汗もんである。つい、肩にも力が入ってしまう。更に更に、悪い事は重なるもので、なんと、で〜っかいダンプが前からやってきた。「ど〜しよ〜」。すれ違いできるのか心配だったけど、ダンプが崖から落ちそうになるくらい、ギリギリまで避けてくれたので、なんとかパスできた。車じゃなくてバイクで良かった..と、ホッとするのもつかの間、今度はなんと、で〜っかいブルドーザーがやって来た。「オイオイ、マジかよ〜!」もし、ブルドーザーの運転手がこっちに気付づかなかったら...なんて、バカなことを考えてしまった。でも本当にひき殺されるかと思う程の迫力だった。「谷津くん」を見ると、「何だよ、これ〜!」と、言いながらも、シールドの奥の目は笑っていた。思いもよらないこの事態を、楽しんでいるかのようだった。なんだか、俺まで愉快になってきた。「つぶせるなら、つぶしてみろ〜!ド根性ガエルだあ〜!」。

  そんな、楽しかったのか、恐かったのか、よく分からない「大峠」を越えた頃には、すっかり雨もあがっていた。

  米沢市に入り、「谷津くん」が「公園で昼寝でもしていくよ」と言うので、ここで別れることにした。「達者でな〜」。(ところで、谷津くんの本当の名前、なんていったっけ?)

  13号線→  山形市の手前に上山市という所があり、ガイドブックによると、上山城というお城があるらしい。「自称お城大好き人間」の清水が、これを見逃すわけがない。

 (11:10/100Km)
 上山城は、町の中心部にある月岡公園にある。何年か前に復元されたそうで、キレイなお城だった。そして、ちょうど今日からお城のすぐ横で「全国かかし祭り」なるものが開催されていた。でも「全国かかし祭り」とは名ばかりで、ほとんど地元、東北のかかし君たちだったような気がするが..数百体はあろう奇抜な現代風かかし君達が、ところ狭しと並んでいて、なかなか華やかだった。

 (12:00)
 30分もかからないで、山形市へ。

  山形市に寄ってから蔵王エコーラインへ行くとなると、上山〜山形間を、まるっきり往復しなければならないのだが、今回のツーリングは、東北全県回って、各県庁所在地の駅に全部寄る!という計画なので、山形市も省く訳にはいかないのだ。(ちなみに福島駅は、清水と一緒に行ったこともあるので、今回は省いた。)  そして、ここ山形駅では超ムカツキ.イヤ〜な事件が待ち受けていた。

  山形駅。
駅前にバイクを止めてブラブラしていると、前方から同じように、ブラブラと二人組が近づいて来た。中年太りのオヤジと、やせ型の青年の二人組だ。「ん??あっ!恵二くん達ちゃう?」..「字がちゃうやろ、字〜が!」..「ヘイ!」..なんと刑事くん達だったのである。彼らの話によると、ついさっきこの近くで、ひったくり事件があったらしい。犯人の服装が、赤い服に青いズボンだったというのだ。俺の服装はというと、赤っぽいトレーナーにブルージーンズ.
「ゲッ!!冗談じゃねーべさ。俺が犯人だってーのか?えっ?」「疑ってる訳じゃねーがら」なんて言いながらも、しっかり尋問してきやがった。「どっから来たの?」「米沢の方から!」「旅行者かや?一応、免許証見してっ。..ん?住所が群馬になってっけど?」(ぐんま県人じゃ、わり〜のかよ!)「まっ、気にしねーでなっ」なんて言われたって、住所と名前を控えられた上に「最近は、女のバイク乗りも多いがら、カッコつけて走る奴多ぐて事故も増えてるんだ。」なんて、説教じみたことまで言われたら、誰だってムカつくってもんだべ!私服刑事なんて大嫌いだ!森田監督の、「バカヤロー」(しおかわ版)

  こんな嫌なところは、さっさと出たかったのだが、せっかく来たのだから、駅の近くにある霞城(かじょう)公園だけ寄ることにした。

 (12:30/117Km)
 ここの公園は、野球場もある広い公園で、その中にある市立郷土館へ行ってみた。明治時代の建築で、元は済生館病院の本館だったという。(だから何だっ?)18角形、4階、3層の、ユニークでハイカラな木造洋風建築だった(ほ〜っ)。建物の中には入らなかったけど、外から覗いてみた。窓ガラスに鼻をくっつけて、「ブタさんだよ〜ん!」(と、やったのは清水、塩川、さあどっち?)それと、中庭もオシャレだった。まあ、そんなところだ。

  上山方面へ戻り、蔵王エコーラインへ。

  ここ、蔵王エコーラインは、遠刈田温泉の先まで延々40キロ以上も続く。路面や景色など、どれを取っても他の有料道路に引けを取らない程の、すばらしい道らしく、しかも現在通行料金無料という、大変うれしい道である。それだけに、我々の期待も大きい。そ.れ.な.の.に..ああ!それなのに!!
 蔵王エコーラインに入ってすぐに、雲がどんどん多くなり、だんだんと霧が濃くなってきた。途中でカッパを来た。標高が高くなるにつれ、ますますひどい状況になってきた。霧雨なので、それ程雨が降っているという実感はないのに、カッパはびっしょり濡れて、体にベタッと張り付くようになってきた。シールドについた水滴を指で拭うのだが、拭っても拭っても、すぐにまた水滴が付いてしまう。視界もほとんど効かなくなって、非常に危険な状況になってきた。まったく、霧雨というのはタチが悪い。仕方がないので、シールドを半分以上開けて、顔面に雨を、もろに受けながらノロノロと走る。それでも、ほんの少し前、数十メートル先しか見えない。「あ〜あ、こんな状態いつまで続くんだろ..」雨雲を抜けて、さっさと下界へ降りたい気分だった。

  いったい、どれくらい走ったのだろう?しばらくして、やっと下り坂になり、少しずつ視界が効くようになってきた。でも結局、「蔵王エコーライン」は、そんな最悪の状態で終わってしまった。期待していただけに、本当に残念だった。ガックリ...

  蔵王町、村田町を抜けて、仙台市へ向かう。

  仙台までは、東北自動車道とほぼ平行に走る。それ程走りやすい道ではないが、とにかく車が少なく、蔵王エコーラインでのうっぷん晴らし!という感じで、相当カッ飛んでいった。高速を走っている車より早いくらいだった。

  仙台..問題:北海道から車が500台、九州からも同じく500台、同時にスタートしたら、どこですれ違うでしょう?  答え:仙台(千台)  なんて、昔のなぞなぞを思い出してしまった。..つまらないこと書いてゴメン!

  市内に近づくにつれ、さすがに交通量が増えてきた。でも、道幅は広く走りやすい。片側5車線というのには、二人共びっくり。 実はここ仙台には、一ヶ月ほど前、大学のサークルの連中と来ているのだが、街の大きさには、改めて驚いた。間違いなく東北一の都会である。出発前、ちょっと群馬にいたので、久しぶりの都会は少々恐い感じがした。

  広瀬川の流れる杜の都。まずは仙台のシンボル、伊達政宗の青葉城(跡)へ。

 (16:00/227Km)
 仙台駅から青葉城方面へまっすぐのびている「青葉通り」は、街路樹がとても美しく、ロマンチックなムードが漂っていた。俺達もなんか変なムードに..ならね〜よ!! 左折する所をうっかり直進してしまうと、いきなり東北大学の構内に入ってしまった。門らしきものは無かったようだし、こんなに緑が多くて広々としている所が大学なんて!街から近いのに。「俺も、東北大学にしておけば良かったカナ」なんて、東北大学が国立であるということも、自分の学力のレベルもすっかり忘れて、バカなことを考えてしまった。

  青葉城。標高132mの青葉山にあり、伊達政宗の騎馬像がある所からは、仙台市街と遠く太平洋まで、美しい景色が一望できる。一服してボ〜ッとしていると、今日一日の疲れが出て、だるくなってきた。これから野宿できそうな場所を探すなんて、すごくかったるいような気がしてきた。「やっぱり、YHでゆっくり風呂につかって、ふとんで寝たいな〜」なんて、予想通りの情けない考えを起こしてしまった。清水は、「野宿でもYHでもどっちでもいい」と言ってたが、結局YHに泊まることにした。せっかくシュラフ(寝袋)持ってきたのに、使うんだろうか?..   青葉城を跡にする。否、後にする。

  実は甘党!!の清水が、和菓子で有名だという「売茶翁」に寄った。その間、俺はYHに予約の電話をする。ここから1時間ちょっとで行ける「松島YH」に泊まることにした。夕食の時間には間に合わないので(YHでは普通6時頃)途中で食べるとして、ところで今日の昼食は?ランチは??あれ??昼めしに何を食べたか、全く思い出せない。思い出せるはずがない。食べてないのだ!朝、喜多方でラーメンを食べただけで、そのあと何も食べてないのだ。「疲れる訳だわ!」。

  仙台駅にちょっと寄って、45号線を松島方面へ。
 その途中、県営宮城球場に寄る。そう、ここが先月来た思い出の地...

  宮城球場
 昔、ロッテが本拠地として使っていた球場で、プロ野球の公式戦も行われていた有名な球場である。なんとここで、俺は一ヶ月ほど前、白球に青春(の、ごく一部)を、かけていたのである。大学のサークル(ちなみにチーム名は「チキンズ」といい、「飛びたくても飛べないの〜」という、おちゃめな意味がある。)で、春のリーグ戦に初優勝して、「第一回、東日本大学軟式野球大会」に出場したのだ。夜間高校生たちの、「もうひとつの甲子園」なんかよりず〜〜っとマイナーで、しかも今年初めて開催された大会だが、俺達にとっては、まさに「甲子園」だったのだ。「参加する事に意義がある」という程度の気持ちで参加したところ、なんと、奇跡的にも準優勝!という快挙を成し遂げ、地元の河北新聞にその試合結果が載るという、夢のような出来事が起きた..という思い出の球場なのだ。ちなみに、参加チームたったの8チームだったということを、書きたくないけど一応、付け加えておく...

 45号線→多賀城市

 多賀城駅。清水の友人(?)の実家が、この近くだそうで、駅に寄ってみた。小さな駅だったけど、以外にもオシャレでキレイな駅だった。歴史的なイメージとはほど遠い感じがした。さて、清水はというと..キップ買ったり、写真撮ったり、そりゃ〜もう...

  松島YHは、町から車で20分位の、奥松島にある。
 松島町から海岸線を走る。せっかく、日本三景の一つにも数えられる景勝地だというのに、すでに真っ暗になってしまったので、景色など何にも見えない。明日の朝、もう一度来ることにしよう。町をちょっとはずれると人家もまばらになり、一段と暗くなってきた。たいがいYHに泊まる時は、夕食に間に合うように、早めに着くようにしているので、真っ暗になっても走っているということは、あまりない。もし一人だったら、きっと心細かったに違いない。相手が誰であれ、否、否、清水だからこそ、一人よりずっと心強い。

  あんまり寂しい夜道だったので、開いてる店があるのか心配になってきた頃、ポツンと黄色い灯りが..よかった..「どさん子」という、ラーメンとハンバーグの店が営業していた。ホッ..店の脇にバイクを止めていると、怪しげなおっさんが声をかけてきた。「よっ!」「えっ?」「おたくら、今晩の宿は?安いとこあるよ」「あっ、俺達YHだから..」「あっそ」なんてことはない、近所の旅館のおっさんらしい。一瞬、あぶない奴かと思ってあせってしまった。ここで腹いっぱい食って、清水は昼と夜の二食分食って(しかも冷しラーメン、またラーメン)

YHへ向かう。もうすぐのはずだ。 ところが、YHの近くに来ているはずなのに、暗くてなかなかYHが見つからず、そのへんのおじさんに道を訪ねる。このおじさん、すごく親切な人で、わざわざトラックで道案内してくれた。「どうもありがとー」ちょっと酒臭かったような気がしたけど..まっ、いいか..

 (19:40) 松島YH着。
 昨日の「会津の里YH」とは違い、ここは定員124名という大きなYHだ。どこかの学生の団体とか、結構たくさんいた。風呂に入って、清水と今後のコースのことやら簡単に話し合って、さっさと寝た。 P.S.(シャンプーで体を洗うと、やけに泡立ちが良いのですが、ヌルヌルがなかなか取れなくて大変です)以上!

  本日の走行距離...274Km