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9月7日(水)...出発の日(目指せ塩川町)

  待ち合わせは朝7時、大間々駅。俺の実家(太田市)から20キロ、清水の実家(群馬町)から30キロの位置にある。ちなみに太田市群馬町は40キロちょっと離れている。この3地点を結ぶと三角形になる。あたりまえである...約束の時間10分前に着いたのだが、清水の姿はなかった。「また寝坊かよ〜」ちょっと早く来すぎたかなと、余裕を見せていると、駅の中から「よっ!」と、清水が出てきた。なんと、この俺より早く来ていたのである。(気合いが入ってるじゃね〜か)とりあえず、駅前にバイクを並べて記念撮影1枚目!パシャ!!清水のカメラは借り物。俺のカメラは買ったばかりの新品。でも、4980円のバカチョン!

  予定通り、気持ち良く出発。まずは、122号線(通称ワンツーツー)を行く。昨日の雨も上がり、天気はまずまず。雨上がり、病み上がり..沈黙.。途中、草木ダムを通る。去年の水不足の時期と比べると、だいぶ水が多かった。今年の夏は雨の日が多すぎた。足尾の町中を抜けて、日光市に入る手前に、日足(にっそく)トンネルという結構長いトンネルがあるのだが、そこの入口でひと休み。少し肌寒い。カッパを着ることにした。

 〜ここでちょっと二人のバイクについて書いておきたい〜

  俺のバイクは「ホンダVF400F」4ストで燃費はリッター18〜20キロくらい、まあ、どちらかと言えばツーリング向きといえるであろう。
 清水のバイクは「スズキRG250γ」2ストで燃費はリッター8〜12キロくらい。エンジンオイルも、350キロ位毎に補給しなければならず、決してツーリング向きとは言えない。いわゆるカッ飛びマシンだ。

  そして一番困ったのは、2ストのマフラーからもうもうと吐き出される白い煙だ。登り坂で清水の後ろを走っている時など、目の前真っ白で、何も見えなくなるくらいにひどい。臭いも結構きついので、すぐに気持ち悪くなる。そんな訳で、後ろを走るときは、なるべく距離をあけて走るようにした。(決して清水のスピードに付いていけなかった訳じゃないからね。念のため..)まあ、俺が地図を見ながら走っていたから、前を走ることの方が多かったけどね..

  燃費の良くないバイクで頑張った清水。普段、ガソリンには不自由しないスタンドマン清水が、ツーリングの期間中ずっとガソリンに悩まされていたのは、何ともおかしかった。否、気の毒でした。ククク..

  今市市から矢板市に抜けて、4号線に出る。 →  黒石市白河市を通り過ぎ...

 (10:15/177Km) 
 矢吹町あたりで、ひと休み。 朝、母親に握ってもらったおにぎりを、清水とひとつずつ食べる。

 ここで、今晩の宿泊予定地.福島県の塩川町!にある「会津の里、ユースホステル」(以下、YHと略します。)に、予約の電話をした。塩川町の方は、まだ雨が降っているそうだ。ゲッ!でも、それは仕方ないとしても、それにしても、電話に出たおやじが変な奴だった。話し方はぶっきらぼうだし、話しの途中で、いきなり電話を切っちゃうし..ペアレント(YHの管理者)だろうか?

 郡山市
 清水が寄ってみたいとのことで、郡山へ。大学の友人、山崎君が郡山高校出身なので、彼の母校の前で写真を撮りたいのだという。とりあえず4号線で市内に入り、郡山高校を探したがなかなか見つからず、駅の方へ向かうことにした。と、その途中、清水がいきなりクラクションを鳴らして止まった。「何だ?」と俺。「すまん、そこの予備校に寄らせてくれ」。福島高等予備校。一体何かと思ったら、山崎君が通っていた予備校なんだそうだ。「へえ〜偶然」日々是決戦など、どこかの予備校で見たような張り紙があった。そういえば、し組が誕生したのも予備校だったよな〜。群馬英数学舘!!たった三年前だけど、懐かしいねえ〜。大沢先生!お元気ですか? 

 (11:45/210Km)
 三人組の地元のおばちゃん達に道を教えてもらっただべした。
 
郡山高校へ。郡山駅からは、思ったより遠かった。ちょっと古い時代風の校舎と、広いグランド。東北の風情たっぷりの高校だった。

  49号線で、猪苗代へ...

 (12:25/241Km)
 猪苗代湖畔でひと休み。何度見てもでっかい湖だ。(日本で4番目に大きいそうだ。)釣りをしているおじさんのすぐ前を、モーターボートが波しぶきを上げ勢いよく走り去った。のどかな風景である..えっ? 晴れていれば、磐梯山がくっきりと見えるのだが、暗〜い雲に隠れてほとんど見えなかった。ここから先は雨に降られるかもしれないな〜。(ちなみに、磐梯山は今年でちょうど、噴火100周年を迎えるそうだ。)

  115号線→ レークラインを使って、五色沼へ行くことにする。
 それにしても、病みあがりの俺は、まだ少し頭がおかしい..ネジが一本足りない?そーじゃなくってー!頭が痛い。

  115号線からレークラインへ行く途中、木地小屋という所で近道をした。「野生の学校」で、この辺は何度も通っているので、自慢じゃないけど多少詳しいのだ。地図も見ずに走っていたので、清水は驚いていた。 雨が降り出しそうなので、レストハウスでカッパを着る。 でも、幸いこの日は一度も雨に降られずに済んだ。

 (14:00) 五色沼
 五色沼には大小様々な、二十あまりのきれいな沼が点在していて、どれ一つ取っても同じ色はないそうだ。時間都合で、五色沼入口の所にある沼一つしか見られなかったけど、エメラルドグリーンでとても神秘的な色合いをしていた。通称「五色めぐり」と呼ばれる、徒歩約1時間でまわる探勝路があるので、今度来た時は是非歩いてみたい。

  腹がへったので(朝からおにぎり一つしか食べてない!)五色沼の食堂に入った。この後、ラーメンの町喜多方で、おいしいラーメンを食べるつもりなので、軽〜くカレーライスにしておいた。?。隣の席の、お客の会話に耳を傾けていた清水。「なんだ日本人かあ、韓国人かと思ったよ。」「そりゃ福島弁だっぺ!」  檜原湖をまわって、ラーメンと蔵のまち、喜多方へ。

 (15:30) 喜多方市
 ガイドブックによれば、「町に入ってまず驚くことは、蔵が多いことだろう」と書いてあるのだが、俺達がまず驚いたのは、つっぱり兄ちゃん達がウヨウヨいるということだった。ちょうど中.高校生連中の下校時間だから、学生服の連中が多いのは分かるんだけど、ほとんどみ〜んなビーバップ兄ちゃん!町中を走っていると横目でにらむし、駅前にバイクを止めればジロジロ見るし、気持ち悪いったらありゃしない。さっさとラーメン屋へ向かった。

 去年一人で来た時は、どこの店がうまいのか分からず、大失敗してしまったが、今回は地元喜多方出身の今君に、オススメの店を聞いておいたので大丈夫。「まこと食堂」と「坂内食堂」がうまいらしい。まずは、「まこと食堂」へ。ここのメニューは、しょうゆ味の中華ソバしかなく、それにチャーシューを乗せるか、

大盛りにするかである。うん、確かにメニューが一つの店というのは、それだけその味に自信があるんだろうし、実際うまい店がある。期待できるかも..清水も俺も、迷わず大盛り(500円)を注文!コシのある太めの麺で、スープもコクがあって、うまかった。自称ラーメン通の我々も、この味には満足。

  「まことのラーメンは、まことにうまい!」...オソマツ!

 (16:15)
 時間はまだ少し早めだけど、今日は初日だし、YHへ行ってゆっくりしようと思い、塩川町へ!
 (塩川町だあ〜!!うおお〜!!)

  YHの本の地図では、酒屋の横に道があって、その奥にYHがあるはずなんだけど..酒屋は目の前にあるんだけど肝心のYHが..酒屋の前をウロウロしていると、「おう!こっちだ!この裏だから、そっから入れ!」と、どこからか、聞き覚えのあるような声が..あっ!その声は!..電話にでた妙なおやじだ!やっぱり、ペアレンツだった。酒屋のおやじでもあるらしい。やっと、本日の宿、「会津の里YH」に到着。さて、風呂にでも入ってゆっくり休もうかと思いきや、「受付は6時からだから、そこの部屋に荷物置いて待ってな!」だとよ。そりゃないよ〜。まだ1時間半以上もあるじゃねーかよ。 じっとしていてもしょうがないので、時間つぶしに、塩川駅にでも行ってみることにした。トボトボ...

  塩川駅は、駅員二人?の小さな駅だ。この町は、屋号とのれんの町として有名?らしいが、駅の入口にあるでかいのれんは、ちょっと変だったなあ。しばらく待合室で、ぼけ〜っとしていた。夕暮れの塩川駅で、遠く空でも眺めちゃったりして、それでもってゆっくりとタバコをふかっしちゃたりしてる二人。本人たちは、とっても絵になってると思ってるところが恐い。

  自分と同じ名の付く町があるというのは、しかも今そこにいるというのは、なんだか不思議な感じだ。塩川という名字はどちらかといえば珍しい方なので、尚更である。「スナックしおかわ」「塩川家具店」「塩川タクシー」「塩川中学校」あちこちに「塩川」という字が目に付く。(塩川町なんだから、当たり前だろっ)

  6時頃、YHに戻る。 部屋は一階が男、二階が女。それぞれ一部屋ずつで、それとミーティングルーム(のようなもの)があるだけという、純和風の小さなYHだ。部屋に入ると、一見あの島田に似た感じの、学生風の奴がいた。なかなか面白そうな奴だ。

  とりあえず風呂に入った。受付の際ペアレンツが、風呂場の事をシャワールームと言ってたので「ん?」と思ったのだが、その通りシャワーだけだった。風呂桶はちゃんとあるのに、ご丁寧にも「立ち入り禁止!」の札が掛けてあって、使わせないようにしてある。「なんだこりゃ!きったねー!」と腹をたてながらも、俺達は、島田似の奴がどこの大学生なのかという話しで盛り上がっていた。俺は、「絶対、京都産業大学だ」と言った。「するどい!」と清水。彼の、関西人独特のユーモアあふれる軽いノリと、どう見ても三枚目という彼の風ぼうからそう思ったのだが、なんと予想通り「京産大」だった。ハハ..

 彼の他にホステラー(宿泊客)は、俺達を除いて五人(男だけで)いた。まず、おとなしそうでインテリ風、ちょっと太めの文教大生。北海道紋別出身、東京在住のオフロードバイク君。立命館大のチャリンコ野郎。どう見ても20代前半にしか見えない35才のドイツ人(ジャーマン)。そして、プロレスラーの谷津と、元ヒップアップの島崎と、巨人軍の呂..が、いた訳じゃなくて、その三人に似ているFZR250の東北学院大生。22、3才かと思った彼は、なんと高校を卒業したばかりの18才!だって。「ふけてる〜」。と、いったメンバーで、この日の夜は「京産大」が盛り上げてくれた事もあって、なかなか楽しかった。 女性も四、五人いたんだけど、女性部屋は二階だし、ここのYHは食事提供なし!なので、ほとんど顔を合わせる機会はなかった。

 夕食は近くのそば屋で済ませ、夜は修学旅行のように、みんなで旅の話しやくだらない話しをしながら、結構盛り上がった。「みんなで記念写真を撮ろう」ということになり、それぞれ自分のカメラで順番に撮ったのだが、困ったことが起きた。「オフロードくん」のカメラが千円の「写るんです」で、ストロボが付いていないのだ。普通なら諦めるところだろうが、誰かが「ストロボ付きのカメラと同時にシャッターを切れば?」と、なかなか賢いことを言って、両手で一台ずつ持って写してみた。やっぱりタイミングが難しかったみたいだけど、ちゃんと写ったのだろうか?

  そんなこんなで、10時30分の消灯時間が過ぎた。それ程騒いでいた訳でもないのに、ペアレンツのおやじがわざわざ文句を言いに来た。「何時だと思ってるんだ!もう寝なさい!女の子からうるさいって苦情がきたぞ!」..「うそ言ってんじゃねーよ。女の子が階段降りて来る音なんて聞こえなかったぞ。」と、みんな言いたかったんじゃないかと思うんだけど、逆らう勇気もなく、おとなしく寝ることにした。しかし、「オフロードくん」のいびき、「谷津くん」の寝言、そして扇風機の冷たい風などが気になって、なかなか寝付けなかった。

  寝付きが悪いと、いろいろ考える。まず、塩川町にあるYHということで、ここ「会津の里YH」を選んだ訳だけど、はっきり言ってサイテーのYHだった。ペアレンツはうるさいハゲおやじだし(これが一番サイテー)、禁酒.禁煙だし(これはYHでは、ある程度仕方ないけど)、酒屋のYHなんだから(珍しい〜)ビールくらい大目にみてほしかったし、たばこだって喫煙所を設けるとか、外に灰皿くらい置いてほしかった。みんな外では勝手に吸ってたけど..それと、風呂場はシャワーしか使えないし、フトンは湿っぽいし、部屋は男女別々だし(当たり前です)、どーでもいいようなことにまで腹が立ってくる。でも、唯一救いだったのはメンバー(ホステラー)が楽しかったことだ。どこのYHでも、楽しいかどうか、ホステラーの顔ぶれ次第で、雰囲気も大きく変わる。白いギターが壁に掛けてあるだけで、YHの雰囲気も大きく変わる(?)昔の「TVジョッキー」を思い出す白いギター。久しぶりに見た。

  久しぶりの長距離走行の疲れも手伝って、いつの間にか、深い深い眠りに就く。ツーリングは、まだまだ始まったばかり。「清水!頑張ろうぜ!」。

  本日の走行距離...328キロ