西国三十三所巡り
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第二十四番 中山寺  野をもすぎ里をもゆきて中山の 寺へ参るは後の世のため
中山寺へは青春18切符でいった。

青春と言うには少し年が行き過ぎているのだが、そういう切符だからまあいいか。西国三十三所 第二十四番 中山寺
今回限りの1日乗り放題で1800円である。
使わない手はない。
弁当をリュックにつめて、列車に乗りJR中山寺駅で降りた。
駅を出て、山手に10分ほど歩くと中山寺はある。
私達は本来の参道ではなく裏手から歩いたので、土産物を売っているところは分からなかった。

お寺は立派な山門があり、仁王像が守っている。この山門は、 天保3年(1646年)に徳川家光が再建したと伝わる。囲いの柵には奉納されたわらじがたくさん掛けられている。

山門からはきれいな石畳の参道が真っ直ぐ本堂に通じている。
参道両側には寺院が並んでいてたくさんの参拝客がいた。そのひとつに入ったが、地下水を利用した冷たい霧の出る大きな扇風機があった。
最初は煙かなと思ったのだが霧であった。
その前に行き霧に当たるとひんやりとして快適であった。
今年の特別に暑い夏に効果抜群である。
西国三十三所 第二十四番 中山寺
さらにもう一つ驚いたことがあった。
それは境内にエスカレーターがあることで、参拝者の便を図ってのことと思うが、そういえば妊婦さんや子連れの参拝者が多かった。
中山寺は安産祈願のお寺なのである。案としていいと思うが、私にとっては少し違和感がある。
しかしこういう施設を作れるということは、参拝客が多いということにほかならない。
ということは財政的にも余裕があるということか。
エスカレーターの右脇に羅漢堂があり、それぞれ違う顔の羅漢さんが皆違った顔で、喜怒哀楽の表情をしていた。お堂の左右で怒り顔とほほ笑んだ顔を分けてる感じであったが、これは私の感じであり本当のところは分からない。なにせ800体もあるというのだから。
エスカレーターで登ると、本堂がいいたたずまいである。本堂左手には真新しい大願塔がある。大願塔へは本堂裏の坂を上っていった。
大願塔を一回りし、視界が開けたところに信徒会館と並んで休憩所がある。その中間に観音茶屋があり、そこで暑かったせいもあり宇治金時を食べたがこれがまたおいしかった。このお寺にお参りする時のお勧めメニューである。ガラス張りの休憩所は広くゆったりとしており、このお寺の参拝者の多さが伺える。

さて、ここ中山寺は聖徳太子によって滅ぼされた物部守屋の霊を鎮めるためと、仲哀天皇の妃、大仲津姫と二人の皇子、香坂(かごさか)王と忍熊(おしくま)王の供養のために推古天皇の代(600年頃)に聖徳太子が開創したという。
1400年前のことである。
社務所に置かれていた、紫雲というパンフレットに中山寺の長老が大願塔落成の喜びを載せていたが、その中に、

「中山寺は聖徳太子が創建されて1400年の歴史があるが歴史や教科書にはあまり登場しません。何故かというと奈良や京都といった政治の中心地から離れていたからということと、創建の当時よりずっと庶民のためのお寺であったという二つの理由があります。」

ということを書いていた。なるほどという感じである。ならばエスカレーターも納得する。
この大願塔は400年前にはそびえたっていたらしいのだが、たびたび火災や焼き討ちにあい、それ以来家康も再建できなかったのが平成の世になって立派に再建できたのである。
このお寺は安産祈願の寺でもあり、謂れは、豊臣秀吉がこの観音に祈って無事に秀頼を授かったことに始まるという。また、幕末には中山一位局が明治天皇を出産する時に、ここに安産祈願して無事出産したことから、日本唯一の明治天皇勅願所となり、安産の寺として知られる。庶民という感覚からすると少しずれるが・・・。
毎月の戌(いぬ)の日は、安産祈祷会があり、安産を願い、また、鐘の緒(かねのお)(祈祷を受けた腹帯)の授与を求めて、日本各地から多くの参詣者が訪れるという。

本尊は十一面観世音菩薩立像で、女人済度を悲願としたインドの王妃、シュリマーラーが自らを彫ったものといわれている。本堂ととともに国の重要文化財である。
両脇には後白河法皇の寄進によるとされている十一面観世音菩薩があり、本尊と共に十一面観世音菩薩が三体並んでいる珍しい形式といわれている。
いずれも秘仏なので見ることはできない。本堂は 慶長8年(1603年)に護摩堂とともに豊臣秀頼の命で片桐且元が再建したという。
おもしろいのは、本堂前の石段下の大黒堂の裏手に中山寺古墳があることで、ひんやりとした横穴を少し入ると家形の石棺がある。柵があるが石棺が近くにあるため形がよく分かる。

こうした剥き出しの古墳が境内にあるところはすくない、というよりこれまでなかったではないだろうか。これも兵庫県の文化財に登録されている。大きな手水鉢があるがこれは安産手水鉢と言われている。

信徒会館の西側から山手に上ると奥の院への参道であるが、1時間ほどかかるということであり、暑いのと時間が押してきたのとでパスした。

境内をあちこち歩いていて感じたことだが、かなり暑い日であるのになんとなく涼しく感じられたことである。ここの立地条件が風の通り道なのかもしれない。
帰りは、土産物店が並ぶ道を抜けJR中山寺駅に向かった。

西国三十三所 第二十四番 中山寺
(羅漢堂に並ぶ羅漢さん)
西国三十三所 第二十四番 中山寺
(本堂)
西国三十三所 第二十四番 中山寺
(びんずるさん)
西国三十三所 第二十四番 中山寺
(極彩色の本堂内部)
西国三十三所 第二十四番 中山寺
(大願塔)
西国三十三所 第二十四番 中山寺
(行く道にある地蔵さん)
西国三十三所 第二十四番 中山寺 西国三十三所 第二十四番 中山寺

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