西国三十三所巡り
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第十一番 上醍醐寺  逆縁も もらさで救う 願なれば 准胝堂は たのもしきかな
醍醐寺の縁起は、貞観16年(874年)、笠取山に登った理源大師は途中で、白髪の老人に出会った。
老人は、泉の水を飲んで
「ああ、醍醐味なるかな」といって姿を消したという。
これが醍醐の霊水で、理源大師はここを勝地と定めたという。
大師は、三宝鳥がさえずる柏の大樹を霊木と感じ100日間の加持をしたあと、准胝、如意輪の両観音を安置、上醍醐を開いたという。
今は、世界遺産で国宝や重要文化財がたくさんある。
醍醐寺は、山上の上醍醐と山下の下醍醐の総称であった。
真言密教の道場としてたくさんの堂塔がある。
それらはいずれも見応えのあるものばかりである。
世界遺産として納得できるものばかりである。

そんな醍醐寺に行ったのは3月というのにかなり寒い日であった。天気予報は雨か雪ということだったが、出かけるときは青空だった。かなり古いガイドブックしかないが、それよれば、道はたいしたことがない感じであった。しかし実際は違った。入り口では、地蔵菩薩をはじめ、5体の仏像が、これから山に登る人々を見送るように並んでいた。
三十三カ所十一番としての准胝(じゅんてい)観音は山頂にあった。かなり急で、長い坂道が続いている。
運動不足の日常のツケが来て、あえぎながら上った。

三十三カ所巡りの道行きは、緊張と緩和であるがここ上醍醐は緊張の部類である。
しかし行き交う人は軽々と上っているので、これはやはり運動不足のせいか。ここの巡礼の皆さんは、十人すれ違えば三人くらいは花粉症対策のマスクをしていた。
中には水中眼鏡のようなゴーグルをつけた人もいた。そういえば大きな杉がたくさんあった。
昔の人はそういう心配がなかっただろう。

途中、慶長3年に秀吉が催したという「花の宴」の場所があり看板が掛けられている。
秀吉は醍醐寺の三宝院の景観をことのほか愛し、春になるとこの地で桜見の宴を開いたという。
その花見のために秀吉は近隣諸国の近江、山城、河内、大和から桜700本を取り寄せ移植した。側室も含めた、すごい花見で、町中が大騒ぎの絢爛豪華さだったろうことは想像に難くない。
その醍醐の花見で、もっと有名なのが1598(慶長3)年3月15日(旧暦)の宴である。
宴では、北の政所や淀殿そして幼い秀頼を引き連れて開いた。
秀吉はその盛大な宴のあと5ヶ月後8月18日になくなっている。

天下人は、己の死期を感じていたのかもしれない。

「お花見」と言うきわめて日本的な文化は、秀吉の、このころから広がったのかもしれない。
醍醐寺には、五重の塔の前に大きな枝垂れ桜がある。
咲き誇ればさぞかし絢爛豪華だと思うが、病気治療中であった。
三宝院の中にも立派な枝垂れがある。

さて、登りは一時間以上かかった。
めざす准胝(じゅんてい)堂までに丁石があり、准胝堂についたときは19丁であった。
准胝堂の下には醍醐水があり、立派なお堂がある。

霊水の湧き出ているところには、柄杓がかけられてあり飲めるようになっていた。
確かに、こんな山頂で何百年も枯れない泉があるというのは、自然の奇跡で霊水というのにふさわしい。水もクセがなくおいしかった。持ってきた水筒の水を捨て、霊水に入れ替えた。醍醐水に上ったとき、40名ほどの団体客が上ってきた。どこか楽な裏道があるのだろうか。巡礼は苦難があることをよしとしなければいけない。しかし、十分すぎるくらいきつい道だった。
准胝堂に向かって右側にさらに山上へと向かう道がある。最初に出会うのが薬師堂で国宝である。
造りが素朴であるが歴史がしみこんだ感じでいい。
さらに山上へと向かうと、五大力堂があり、不動明王がまつってある。お不動さんは、暗闇の中で目がランランと光っていた。
ここもいい建物である。

さらに、山上に行くと開山堂及び如意輪堂とが建っている。上醍醐最大の建物である。
現存する両堂は共に慶長11年(1606年)に再建されたものといわれており、何れも重要文化財に指定されている。
堂内に入れなかった。
如意輪堂は理源大師が、如意輪観世音菩薩を祀ったとされている由緒のあるお堂である。
このころから雪がちらつきだした。
お堂のこげ茶の壁をバックに落ちる雪は又格別の味がある。
山上を全て見終わり、清龍宮拝殿を見てから下りにかかった。下りは楽であるが、今度は階段で膝が笑いかけた。
雪はその勢いを増して降り続いた。
醍醐寺の国宝や重要文化財の、金堂、講堂、5重の塔それぞれが雪の中で、貫禄と優美さをさらに増した感じである。
しかしこうして33カ所を巡って見ると、各観音様にまつわる伝説や、その寺にまつわる歴史はきわめて面白い。


(役行者)

(地蔵菩薩)

(不動明王)

(聖宝理源大師)
 
(弥勒菩薩)
 
准胝堂:今は焼けてしまってない )

(滝がある)

(休憩所だが道はまだ続く)

(相生の杉)

(醍醐水)

(薬師さんの中)

(国宝、薬師堂)

(五大堂)

(お不動様)

(提灯)

(南無大魔神)

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