がんの再発や転移を抑える効果が期待できる25種類の食品成分

がんの治療の難しさの一つは、再発や転移が起こる可能性があることです。最近の研究によれば、がんの再発や転移にはがんの「幹細胞」が大きく関係していることが分かってきたそうです。wikipediaによれば、幹細胞(かんさいぼう、stem cell)とは、分裂して自分と同じ細胞を作る(Self-renewal)能力(自己複製能)と、別の種類の細胞に分化する能力を持ち、際限なく増殖できる細胞と定義されていて、発生における細胞系譜の幹 (stem) になることから幹細胞と名付けられたそうです。

しかし、一般的な抗がん剤はがん幹細胞にはほとんど影響を与えないことが問題となっているそうです。『幹細胞を使った創薬開発』(Eleftherios Sachlos/Cell 149, 1284-1297, June 8, 2012、慶應義塾大学医学部病理学教室の山田幸司氏による論文紹介、http://www.med.keio.ac.jp/gcoe-stemcell/treatise/2012/20130111_04.html )では次のように指摘されています。

「近年、がん組織中に幹細胞様の集団が含まれている可能性が示唆され、こうした細胞はがん幹細胞と呼ばれている。がん幹細胞は生体の幹細胞同様、自己増殖能(分裂して自分と同じ細胞を作り出すことができる能力)と多分化能(様々な細胞になれる能力)を有し、がん化の初期に重要な役割を果たすと考えられている。がん幹細胞はがん組織を構成するがん幹細胞以外の分化したがん細胞とは違う性質を持っている。そのため、既存の抗がん剤は分化したがん細胞のみには効果的で、がん幹細胞にはほとんど影響を与えないことが問題となっている。このがん幹細胞は 腫瘍の大部分を構成するがん細胞に分化できる多分化能を有するため、腫瘍組織を形成したり、他の部位へ転移したりする能力に長けており、患者さんの予後に大きく影響する。」

GreenMedinfoというホームページに掲載されていた"25 Cancer Stem Cell Kiling Foods Smarter than Chemo & Radiation"(「がん幹細胞を殺す25品目の食品成分は抗がん剤や放射線治療よりも優れた効果を発揮する場合がある」、 http://www.greenmedinfo.com/blog/25-cancer-stem-cell-killing-foods-smarter-chemo-radiation )によれば、抗がん剤よりも優れた効果を発揮する食品もあるようですので、今回はこの記事を翻訳させていただきました。このwebページでは表示言語を選択できるようになっていて、日本語を指定すると記事の自動翻訳が表示されますが意味不明の部分がほとんどですので翻訳しました)。

ただし、ここで推奨されている25品目の食品成分のうち2品目には毒性があり、1品目には毒性がある可能性がありますので、誤って摂取されないようくれぐれもお気を付けください


がん幹細胞を殺す25品目の食品成分は抗がん剤や放射線治療よりも優れた効果を発揮する場合がある
("25 Cancer Stem Cell Kiling Foods Sarter than Chemo & Radiation", Blog Food and Health Nov, 2015の翻訳)

[挿入されているイラスト上のコメント]・・・葉物野菜(Leafy Greens)はがん幹細胞を殺す効果が最も大きい食品の1つです

最近の研究によって、悪性腫瘍の根本原因である「がん幹細胞」を殺す働きが最も強い25種類の食品またはハーブが明らかとなりました 

「抗がん活性(がん細胞の増殖を抑制する活性、能力)」を持つかどうかを確かめるために研究された自然食品は数千種類に上っていますが(GreenMedInfoのがん研究データベースには600品目以上が掲載されています)、悪性腫瘍の根本原因である「がん幹細胞」を標的にして殺す効果が証明されたものはこのうちごく少数でした。例えば、ターメリック(ウコン)が、がん性腫瘍の核心部分だけを標的にするという「スマート・キル(smart kill、引用者追記:「スマート」には病的な細胞だけに作用して、正常な細胞には影響を与えないという意味もあり、smart drugと言えば「分子標的薬」のことを指すことが多いそうです)」特性を持っていることについては、GreenMedInfoでこれまでに何度か取り上げました。最近になって、「しょうが」が肺がんの幹細胞を殺す効果が、前臨床試験(動物を使って有効性、安全性を確かめる試験)段階で、抗がん剤のタキソール(Taxol)よりも最大1万倍も強いことが明らかとなりました。ブルーベリーのような一般的な食品でさえがん細胞を殺す特有の性質を持っていることについては前回の記事で報告しました〔研究:放射線治療ががんを引き起こし、ブルーベリーががん化した細胞を殺す(Radiotherapy Causes Cancer, Blueberry Kills It.)〕。 

Anticancer Researchというweb上の雑誌に掲載された、「がん幹細胞を標的にする自然食品(Natural Products That Target Cancer Stem Cells、Anticancer Res. 2015 Nov;35(11):5773-88)という論文では、がんを殺す効果の大きな25種類の物質が示されています。このリストによって、この件に関する既存の文献を調べて、この分野で最も効果が高いとみられる物質をはるかに簡単に見つけることができるようになりました。これら25種類の成分とこの成分が含まれる食品のリストを下に示しました(引用者追記:この内、6. シクロパミンと9. ゴシポールは、がん幹細胞を殺す効果を持つと同時に、人体に有毒な物質であるため、食べるのは危険であると指摘されていますのでくれぐれもご注意ください。また、4. バイカレイン・・・コガネバナ、コガネヤナギに含まれている「黄ごん」には細胞毒性、臓器毒性の報告があり、肝臓病治療のために黄ごんを含む漢方薬を飲んで肝臓病が悪化した例もあり、黄ごんを含む「小柴胡湯」には間質性肺炎や肝機能障害という副作用があり10年間に40人以上の死者が出ている(『週刊金曜日』(2015年12月18日付、19ページ)ためこれも避けられるのが賢明とみられます。)以下のリストでは左側に成分、右側にその成分を含む食品が示されています)

1.     エピガロカテキン 3-ガラート(EGCG)・・・緑茶(引用者追記、wikipediaによると、EGCGは紅茶ではテアルビジンに変換されるため、紅茶にはEGCGは含まれていないそうです)

2.     6-ジンジェロール・・・ショウガ

3.     β(ベータ)・カロチン・・・にんじん、葉物野菜

4.     バイカレイン・・・コガネバナ、コガネヤナギ(引用者追記:wikipediaによると中国原産。根は漢方薬「黄ゴン」として利用される・・・・・・「黄ごん」には細胞毒性、臓器毒性の報告があり、肝臓病治療のために黄ゴンを含む漢方薬を飲んで肝臓病が悪化した例もあり、黄ゴンを含む「小柴胡湯」には間質性肺炎や肝機能障害という副作用があり10年間に40人以上の死者が出ている(『週刊金曜日』(2015年12月18日付、19ページ)ためこれも避けられるのが賢明とみられます。

5.   クルクミン・・・ターメリック(ウコン)

6.    シクロパミン(引用者追記:wikipediaによると、ステロイド性ベラトルムアルカロイドに属する天然有機化合物で催奇性(体内に取り込まれると胎児に奇形を生じる危険がある)があり、致死的な出生異常を引き起こすアメリカ合衆国に自生するバイケイソウの近縁種 Veratrum californicum から単離されるそうです。シクロパミンは胎児の脳が左右2つに分かれることを妨げ、単眼症を引き起こすそうです。)・・・ Corn Lillly(イキシア属の南アフリカの植物の総称で、草のような葉と華やかな各種の色のユリのような花の房を持つ)〔この成分を摂取することは推奨しません。ここに含めたのはがん幹細胞を殺す働きを持つ成分が含まれていることを示すことのみを目的としています〕

7.     デルフィニジン(引用者追記:wikipediaによると、アントシアニジンの一種であり、植物の主要な色素であり、また抗酸化物質でもあるそうです。デルフィニジンは、スミレ属やデルフィニウム属の花弁の青色の原因となり、またカベルネ・ソーヴィニヨンの原料となるブドウの赤紫色の原因ともなっていて、クランベリーやコンコード 、ザクロにも含まれるとのことです。)・・・ブルーベリー、ラズベリー

8.     フラボノイド(ゲニステイン、引用者追記:wikipediaによると、大豆などに含まれる植物性エストロゲンの一種だそうです)・・・大豆、ムラサキツメクサ、アカツメクサ、レッド・クローバー、コーヒー

9.     ゴシポール(引用者追記:wikipediaによれば、ワタが生合成する有毒な黄色の色素であり、種子、根、茎、葉に含まれている。特に種子に多く含有されている)・・・綿の実この成分を摂取することは推奨しません。ここに含めたのはがん幹細胞を殺す働きを持つ成分が含まれていることを示すことのみを目的としています〕

10.   ググルステロン・・・コミュフォラ・ミルラ(ミルラ樹脂、没薬(もつやく))

11.   イソチオシアナト・・・アブラナ科の野菜(大根、キャベツ、ブロッコリー、小松菜など)

12.   リナロール・・・ミント(ハッカ)

13.   リコピン・・・グレープフルーツ、トマト

14.   パルテノリド(引用者追記:wikipediaによると、パルテノリドはナツシロギク に含まれる植物由来のセスキテルペンラクトン で、花や果実に多く含まれていて、 ナツシロギクは生薬としてよく知られているそうです。)・・・ナツシロギク

15.   ペリリルアルコール・・・ミント、イチゴ、ラベンダー

16.   ピペリン・・・黒こしょう

17.   プラチコドン・サポニン(引用者追記:wikipediaによると、プラチコドンとはキキョウ属のラテン名。サポニン (saponin) は、サポゲニンと糖から構成される配糖体〔オリゴ糖と糖以外の物質が結合した植物の成分〕の総称。 サボンソウをはじめとするさまざまな植物で見られ、一部の棘皮動物(ヒトデ、ナマコ)の体内にも含まれます。 白色の無定形粉末で、両親媒性を持つため、水に混ぜると溶解し、振り混ぜると石鹸のように泡が立つなどの界面活性作用を示します。)・・・キキョウ

18.   ソラリジン・・・オランダビユ

19.   ケルセチン・・・ケイパー、タマネギ

20.   ロズベラトロール・・・ブドウ、プラム、ベリー類

21.   サリノマイシン・・・ストレプトミセス・アルブス

22.   シリビニン(引用者追記:wikipediaによると、シルビリン(silibinin: 国際一般名)は、マリアアザミ (Silybum marianum) 種子の標準化された抽出物であるシリマリン (silymarin)の主要な活性成分で、シリビン(silybin)としても知られているそうです)・・・オオアザミ、マリアアザミ

23.   ウルソル酸・・・タイム、バジル、オレガノ

24.   ビタミンD3 ・・・魚、卵黄、牛肉、肝油

25.   ウィザフェリンA・・・アシュワガンダ(引用者追記:wikipediaによると、ナス科の常緑低木。インドでは、古くからアーユルヴェーダ〔インド・スリランカで生まれた約5000年以上の歴史を持つ世界最古の伝統医学〕でも利用されているそうです) 

なぜこれらの物質が重要なのか? 

一般的な抗がん剤治療や放射線治療ががんの生存率を大幅に上昇させることができない最大の理由は、これらの治療に対してがん幹細胞が耐性を持っているためです。実際、抗がん剤治療や特に放射線治療は、腫瘍中の幹細胞の数を増加させるだけでなく、毒性を高める可能性がある上、同時によく知られた副作用によって患者の免疫システムがさらに打撃を受けることになります。 

がん治療に関係する学会・医薬品メーカー・医療機関ではこれらの知見を標準治療に組み込むことに対して非常に強く抵抗しています(これは極めて非倫理的なことです)が、真実に目を向けて、食品や植物を利用した、従来とは異なるがんの予防・治療法に興味を示す医師が増えてきました。 

がん幹細胞との関連性に注目した新たな研究結果では次のように指摘しています: 

がん幹細胞モデルでは、腫瘍形成が、一般のがん細胞とははっきり区別可能な幹細胞に近い(幹様の)特徴を持つ細胞(がん幹細胞、cancer stem cells (CSCs))の小集団によって支配されていると考えられています。がん幹細胞は自己増殖および固有の生存メカニズムを備えており、これらがほとんどの抗がん剤に対する腫瘍の抵抗力の一因となっています。治療の過程でがん幹細胞の根絶に失敗することが、腫瘍の再発や転移の原因と見なされています。最近では、色々な種類の腫瘍から生じたがん幹細胞の表現形(特定の形態、構造、行動、生理的性質〔などの形質〕に対応する遺伝子配列)の独特な特徴についての研究だけでなく、自己再生や薬剤耐性の根底にあるシグナル伝達(細胞間の情報伝達)経路についての研究にも重点が置かれています。

現時点では、がん治療に関係する学会・医薬品メーカーは、腫瘍中のがん幹細胞の集団を標的とし、治療効果が統計的に確認された薬剤の開発には成功していません。 

実際、がん幹細胞を殺す効果ががん治療薬の評価の際の重要な評価であったとすれば、がん幹細胞を明確に標的とした、臨床用途に使える医薬品は依然として存在していません。 

がん細胞と、とりわけがん幹細胞を選択的に標的とするだけでなく、非腫瘍細胞は損傷を受けないようにすることが非常に重要です。こうした物質を紹介する章を我々のデータベース、GreenMedInfo上に掲載しましたが、これまでに67種類の物質に関する研究が盛り込まれています(引用者追記:この点についてはまた確認してていません)。さらに、がん幹細胞に関する研究成果を掲載する章も設けました。がん研究が単に患者から収益を生むことだけでなく、がん患者の苦痛を実際に軽減することに重点を置くことを前提とすれば、この話題は恐らく将来のがん治療で中心的な役割を果たすとみられます。


以上が引用です。野菜や果物にがんの再発・転移を抑制する効果があることをこの記事は明らかにしていますが、逆に肉食の有害性については、2015年10月26日に国連の専門機関である世界保健機構(WHO)の専門組織である国際がん研究機関(IARC)が初めて食肉の発がん性に対する警告を発したため、大きな注目を集め、ベジタリアンの食生活の利点がますます一般に知られるようになってきました。ところが、WHOの報告の内容はT.コリン・キャンベル博士(米コーネル大学栄養生化学部名誉教授)が米国政府の依頼を受けて1982年に作成した「食習慣と健康に関する研究レポート」(全米科学アカデミー<NAS>の報告書『食物・栄養とガン』)での「動物性食品の過剰摂取がガンの強力な要因となっている」という指摘ですでに明らかになっていたものです。残念ながら、この報告の結論は、食品業界の反対によって、政府の国民に対する食事摂取指針には全く生かされず、そのまま闇に葬られてしまったそうです(『葬られた「第二のマクガバン報告」』、T・コリン・キャンベル、トーマス・M・キャンベル著、グスコー出版)。我々が常識だと思っている考え方がいかに関連業界の圧力でねじ曲げられているかを示す例だと思います。例えば、「バランスのとれた食事がいい」などという考え方がその典型と言えるでしょう。

肉食と大腸がんの関係については、問題78、牛乳、乳製品と乳がん・前立腺がんの関係については、問題93、ベジタリアンのメリット全般については、「わたしがベジタリアンになることにした五つの理由」もご参照ください(2015年12月30日)。


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