「環境とがん・予防と診断」〜カギは治る決意
  ●検診 早期発見へ改革の波

 1999.10.20  朝日新聞

(著作権の関係上、内容をそのまま全て掲載出来ません。 概要として纏め直して掲載しています。)
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早期発見へ改革の波

 厚生省の「がん検診の有効性評価に関する研究班」が昨年、現在実施されている検診について報告書をまとめた。結論は、肺、乳房、子宮体がんについては「死亡率を下げるのに有効だとする根拠が薄い」。従来の検診に対するこんな評価が下される中、新しい検診技術が注目され始めた。乳がんでは]線を使うマンモグラフィー、胃がんではペプシノゲン法、肺がんではCTの有効性を示す研究報告がある。

○乳房]線撮影

 マンモグラフィーでは、乳房を装置で挟み込み、一方向あるいは二方向から]線をあてる。従来の乳がん検診は「視触珍」によるもので、外観や、触れてしこりがあるかどうかといった点が判断材料となっていたが、臨床試験の結果、有効性は確認されなかった。

 欧米ではマンモグラフィーによる乳がん検診が始まっている。世界の臨床試験を集めて分析した米国の研究によれは、50歳以上の女性に対しては、検診を受けない人に比べ平均で死亡率が23%減る。

 ただし、49歳以下は効果に限界があるとされる。米国立保健研究所は「40代の女性すべてに勧めるに足るデータがない。受けるかどうかは、医師の助言をもとに各人の判断に任せるべきだ」としている。

 日本では、一部の自治体で検診に採用する動きがある。北海道対がん協会によると、今年度は道内の54市町村で実施の予定だ。

○血液で胃検査

 胃がん検診ではペプシノゲン法が注目されている。胃の粘膜の委縮が進むと胃がんになりやすい。委縮が進むと血中のペプシノゲンが減少するので、それを調べる。

 検査費用が安く、感度も高いことから東京都足立区が導入した。今年から、35歳以上のがん検診では、バリウムを飲んで]線検査をする従来法から、ペプシノゲン法のどちらかを選べる。費用は区が負担。足立区によると、受診者の苦痛が少ないのが利点という。企業の職域検診にも使われ始めた。ただ、ペプシノゲン法は、一部の進行がんを見逃す可能性も指摘されている。

○肺はCT有効

 肺がんの場合、従来の胸部]線写真たんによる検診では、早期がんの発見は難しいとされてきた。とくに米国では、肺がん検診の有効性は臨床試験でも否定されていた。

 ところが今年7月、英医学誌ランセットに、「コンピューター断層撮影(CT)を使うことで、早期の肺がんを見つけることができる」という米国の研究チームの論文が掲載され、見直す動きが出てきた。

 また、10月に広島市で開かれた日本癌学会総会では、高速かつ連続の]線撮影によって立体像をみることができるヘリカルCTを使うと「早期がんが発見でき、生存率も従来法に比べて高い」というデータが報告された。

 一方で、CTによる検診には反論もある。まず装置が高額であり、すぐに導入できる施設が限られること。次に、小さな異常も検知するので、がんではないものも「がんの疑いあり」と判断されてしまう例が増えるのではないかとの懸念だ。

 検診の有効性についての厚生省研究班長、久道茂・東北大学医学部長はこう話す。

 「マンモグラフィー一つとっても、自治体導入の前に学会で長い議論があった。新手法をすぐに多くの自治体が採用することはないだろう。検診は、だれでも皆受けるというより、必要な人が受けるという形に変わっていくのではないか」



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