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発ガンリスク 心配無用
私たちは発がん物質の海の中に住んでいる、といわれます。
カビ毒やアスベストなどの物質だけでなく、たはこの煙にもたくさんの発がん物質が含まれています。 調理の過程でできる「お焦げ」の中にも、発がん物質ができますし、医薬品や農薬によってがんが引き起こされることもあります。
さて、私の話のメーンテーマは「内分泌かく乱化学物質(環境ホルモン)」です。内分泌系の機能に変化を与え、それによって個体やその子孫に有害な影響を与える外因性の物質のことです。現在、70種近くが問題になっています。
強い内分泌かく乱作用をもつ物質は、医薬品の中にもあります。DESという薬は過去に流産防止のために大量に使われました。ところが生まれた赤ちゃんのうち、とくに娘さんが成人になったときに膣のがんが発生することが分かりました。この薬はすでに禁止されてから長い歳月がたっています。
残留性、濃縮性の高いDDTやPCBなども内分泌かく乱化学物質です。いずれも我が国ではすでに禁止となり、使われていません。いろいろな調査によって、わずかながら残留していることや、それが年々減少していることも分かっています。
低濃度で水生生物に強い影響を与える物質としては、船底に貝が付著するのを防ぐために塗られる有機スズがありますが、これもすでに日本では禁止されています。また、我々がふだん摂取している大豆や豆腐、みそなどにも、天然の女性ホルモン様物質がたくさん含まれています。
ダイオキシンは人に対して発がん性があるという、はっきりしたデータがあります。しかし、問題は我々がそれをどのくらい摂取しているかということです。よくテレビや新聞では「猛毒で発がん性のあるダイオキシン」という表現をしますが、「猛・発がん性」ではありません。ダイオキシンの発がん性は非常に弱いものです。
人に対する発がんリスクを考える際には、どんな経路で、どのくらいの頻度で、どの程度の量を摂取するかをきっちり解析しないとだめなのです。同じ発がん物質といっても、作用の強いものと弱いものとがあり、そのことを十分に考えなけれはなりません。
内分泌かく乱化学物質について、現状では、発がんリスクを心配する必要はありません。天然のホルモン様物質や医薬品などに比べて人へのリスクは極めて少ないであろう、というのが現在の結論です。
しかし、それでは安心かというと、また新たな内分泌かく乱化学物質が登場するかもしれないので、作用のメカニズムや、どのくらいの量でどの程度危険かといった実験に、現在、たくさんの研究費が投入されているわけです。
複数の物質が一緒になるとどうなるかという実験も必要ですし、今後は胎児や乳児に対する影響なども研究してゆくべきでしょう。
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