「テレビ番組で使う言葉が分からない」「家電製品の操作が分からない」「商品がどこに陳列してあるか分からない」−−。
日本チャリティー協会が60歳以上の男女2000人を対象にまとめた「高齢者の日常生活
の不便調査」(有効同答1622人)は、お年寄りにとって「分かりにくい」商品やサービスがあふれかえっていることを、改めて浮き彫りにした。
もっと「分かりやすく」する具体策はないものか・・・・・。
対策は・・・平易なニュース/床にサイン/色はっきり
◆テレビ番組や新聞への不満「アナウンサIのしゃべりが早い」「洋画の字幕がよく見えない」「アルファベットによる略語の言葉が多くて、分からない」(調査の自由回答から)−
日曜日の午前8時半から始まるNHK総合テレビの子供向け番組「週刊こどもニュー
ス」のスタッフは、当初予想もしなかった高齢者からの反響に驚いている。
つい最近も山梨県大月市では、「老人クラブの会員の9割が見ている」との手紙が寄せられた。
番組は、小学5年生が理解できるように、夫婦と子供合わせて5人の家族の会話形式で、最新のニュースをかみ砕いて紹介しており、7月26日の番組では、PKO(国連平和維持活動)を、立体模型を使って明解に説明し、この分かりやすさが高齢者に受けている。
この番組では、「誰もが理解できるような易しい言葉を使い、漢字には必ずルビをふる。高齢者も見ているので、極力ゆっくりしやべり、横文字は使わないようにしている」との事。
こうした姿勢は、不特定多数の人に情報を発信するメディアの作り手が大いに参考に
すべき点の様だ。
◆電化製品や売り場への不満「機能が多く、マニュアルを読んでも理解しにくい」「表示された値段などの文字が小さくて見えにくい」(調査の自由回答から)−
おはあちゃんの原宿と言われる東京・巣鴨のとげぬき地蔵商店街にある、衣料品スーパー、マルジ2号店では、売り場を示す「婦人肌者L」などの表示が高齢者から好評とか。
黄色地に黒い文字と赤い矢印を載せた表示板を地面に張ったり、棚から突き出すような形で使っている。
同社の常務、工藤秀治さんは「10年はど前、売り場の表示板は天井からつるしていたが、どんなに目立つようにしても、売り場を尋ねられる。おはあちゃんたちには上が見にくいことにようやく気づき、下に変えたら同じような質問はなくなりました」と振り返る。
高齢者施設の色の表示について研究している色彩コンサルタント・飯田暢子さんによると、高齢者ほど体を支える筋肉が衰えて、首や腰が前かがみになり、目線より上の位置の表示が見え難くなる。加えて目の水晶体が老化すると、ウーロン茶の色の眼鏡をかけたような状態になるので、複数の色で表示するときにはコントラストのはっきりした色を隣
り合わせに使う必要も出てくるという。
高齢者の特性を配慮して商品やサービスを「分かりやすく」改善することは、最祈企業が注目する顧客満足度を大幅に引き上げることにもつながるはずでは?と、この記事は結んでいる。
日常生活にかかわる情報源で、高齢者が特に重視しているのがテレビ(複数回答、76.0%)と新聞(72.8%)。
◎テレビ番組について、どんな点に不便を感じるかを尋ねると、まず多かったのが「見たい番組が少ない」点であった。
「高齢者向けの番組が少ない」 | 34.6% |
「好みの番組が少ない」 | 32.1% |
現実の番組に対しては、分かりにくいという不満が圧倒酌に多い。
「知らない言葉(流行語、英語)が多い」 | 27.5% |
「情報が多すぎて混乱する」 | 13.8% |
「司会者やアナウンサIのしゃべりが早い」 | 13.6% |
「出演者の会話が聞き取りにくい」 | 13.6% |
◎新聞についても、読みにくい、理解しにくいという声が目につく。
「活字が小さい」 | 38.1% |
「ごちゃごちゃして読みにくい」 | 10.2% |
「文章が難しくて分かりにくい」 | 7.9% |
三年くらいの間に購入した電化製品で不便なものの第1位はビデオデッキ。
◎ビデオデッキを持つ人の不満も、「分かりにくさ」に集中している。
「操作が複雑すぎる」 | 33.1% |
「機能が多すぎる」 | 24.3% |
「英語表示の意味が分からない」 | 19.8% |
「リモコン操作が分かりにくい」 | 18.3% |
◎店で買い物するときに感じる不便も同様に、「分かりにくさ」が上位を占めた。
「目的の品物がどこに陳列してあるか分かりにくい」 | 33.4% |
「商品知識のある店員が少ない」 | 30.8% |
「高齢者に配慮された商品が少ない」 | 21.6% |
「商品の性能や品質などの表示が少ない」 | 20.8% |
「値段や内容の表示が分かりにくい」 | 17.4% |