分子疫学で発ガンのリスクを知る/  F.P.ペレーラ

 1996.06.25 Nikkei science 7月号

 
(著作権の関係上、内容をそのまま全て掲載出来ません。 概要として纏め直して掲載しています。)
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 「分子疫学」という研究分野は,一般にはまだ馴染みの薄いが、ガン予防に対する新しいアプローチに興味を持つ研究者にはとっては,将来有望な分野として期待が集まっている。

 従来の疫学は,患者の病歴や環境と発ガン率との関係等から,ガンのリスクの解明と定量化に大きく貢献してきた。
 しかし,発ガン物質に曝された後,実際に発症するまでの間に,体内でどのようなことが起こっているのかは,全くブラックボックスの状態であった。

 これに対して,「分子疫学」という新しい疫学は,発症以前に体内で起こる変化(前ガン病変)を突き止め,これを生物学的指標(マーカー)として用いることによって,将来の発ガンの危険性をいち早く発見することを目指している。

 つまり,ブラックボックスの中身を覗くことによって,発ガンに至る前の出来るだけ早い段階で診断し,予防に結び付けようという試みなのである。

 現在のところ,個人の診断や予防にマーカーを役立てるには至っていないが,公衆衛生学の第一人者で,分子疫学のパイオニアである著者は,将来,個人レベルでのスクリーニングが実現するだろうと述べている。

 また,過小評価されがちな発ガン物質の危険性(特に子供達にとって)を,社会や行政が正しく認識するためにも,分子疫学は有効であるとしている。
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