不況下、現在まで消費不振が続いているもっともな原因は、収入の低下であることは明らかである。
  今までならば多少無理して買えたような商品に対して二の足を踏んでしまう現状があり、それは同時に将来に対しての不安を抱えていることに他ならない。
 その中で消費者の購入意欲を伸ばすために当てられるシステムは複雑である。消費者の収入が増加すれば、バブル以降売り上げの振るわない分野での消費をそれなりに得ることが可能であるだろう。
  しかし、収入が増加するためには全体での景気の向上が必要条件であり、その景気の向上には今以上の消費が必要になってくると云える。
 
  つまり、消費、景気などのそれぞれのリンクが相互に影響しあいながら、負の循環とも云える不況という大きなリングを形成しているといると云えるのである。
 このリングをうち崩すためには、政府の援助などによる外部的な力ももちろん必要になってくるのだが、それにも増して、内部からの力。つまり購入意欲の減退している消費者に対して、それでも購入してもらえるような商品を提供すると云う企業側の努力に焦点をあてる。

 消費不振といわれている現代ではあるが、そのなかでも順調に売れ行きをのばしているものと、やはり売れ行きの伸び悩んでいるものとがある。
 そのような、消費不振の中でも売れているもの、現在売れ行きが上がってきているものについて考察を深めることによって、全体的に消費が伸びる為にはどの様な方法を用いるのが有効かを検討する事とする。

 食品や衣服、一般家電や車などで、現在もっとも重要視されているのはその商品の持つイメージである。現在では、非価格競争上での購入対象を決めるブランドイメージと云う効果を十分に狙ってた上でCFやマスを用いた多角的な展開を行っている事が多い。
 しかし、そのようなブランドイメージを強く印象づけたとしても、その業界全体に購入意欲をわかせるだけの活気がなければ、大きな消費の伸びにはつながりにくい。

 それぞれがブランドイメージを作り上げていくことは重要ではあるし、製品開発や在庫の整理などの企業努力は必要である。ただ、そういった結果的なものを期待するだけではなく、その業界での企業努力の摩擦が生み出すプロセス自体に消費者を振り向かせる活気があるということを考える必要があるのではないだろうか。

 守りに入った消費者の財布の紐は単純に堅くなったわけではない。閉じた岩戸を内から開けさせるためには、岩戸の前で皆で楽しそうに騒ぐのが一番有効である。

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