クロスステッチ 記事
材料と用具
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布
透かすと布目から向こう側が見えるようなものが適しています。
縦糸と横糸の間のすき間に針をくぐらせて刺していくので、布目が詰まっている布は刺しにくいです。
刺繍布として売られているもので、布目にすき間があり、縦糸と横糸の接点が密着している織り方のものが扱いが楽です。手芸店でクロスステッチ用として売られているものならば間違いがありません。綿や麻でできたものが多いです。
特に刺繍布とされていなくても、粗い平織りで布目にすき間があり、目の大きさがそろっている布はクロスステッチに適しています。麻布がよく利用されます。通常の布は縦糸と横糸の接点が密着していないので、糸がとなりの布目にもぐらないように布目2×2目に1ステッチとするのが一般的です。
布以外に、プラスチックなどでできた格子状のネットなどもあります。布端の処理をしなくて済み、手軽です。
服の装飾などでは、普通の布や織り地でないものに刺す場合もあります。その場合は布目にステッチするのではなく、織り柄を利用したり、ガイドになる粗織り布(市販されています)を重ねて後でガイドの織り糸を取り除いたりしてステッチを一定の大きさにします。
布を選ぶときは、布目の大きさに気をつけます。布目が大きい方がデザインは粗く大きく仕上がり、小さめの方がデザインの輪郭がなめらかに小さく仕上がります。刺し上がるデザインの大きさは、布目の大きさに比例します。
布目の大きさは、nカウントとか、1cm(または10cm)にn目ある、といった表現で示されます。nカウントとは、1インチ(2.54cm)にn目あるという意味です。手持ちの布で表す場合は、定規で布を計ってその長さに何目布目があるかを数えます。たとえば1cmの間に7目程度であれば、その布は1cmに7目ある布です。nの値は布目の細かさに比例し、大きいほど目の細かい布と言えます。
出来上がりの大きさは、図案の最大横幅・縦幅の目数から計算できます。たとえば横80目、縦100目の図案を1cmに5目の布に刺す場合、デザイン部分の横幅は80÷5×1で16cmくらい、縦幅は100÷5×1で20cmくらいと予想できます。必要な布量は、これに余白や縫い代などを加えます。作成するものに応じて、誤差を見越して大きめに用意します。
→布・デザイン サイズ見積 (JavaScript使用)
刺繍布はほつれやすいので、多めに縫い代をとって裁断します。裁断は布目にそって行います。布端は、しつけ糸でかがっておきます。(ほつれにくい布や、短期間に制作できる場合は不要です。)
布は刺し始める前にアイロンで地なおししておきます。(布目がゆがまないように整えることです。)
布の裁断や仕立てに自信のない方やめんどうな方は、仕立て済みの半製品や、市販の布製品で刺繍に向きそうな布でできているものを利用すると便利です。その場合は刺繍する部分の大きさと布目の大きさから計算して、使いたい図案のデザインが収まるか確認しておきます。
色の濃い布は、布目が数えにくく、白っぽい布より作るのが難しくなります。
刺繍(ししゅう)糸
よく使われるのは25番刺繍糸(一般的な刺繍糸)です。長さ8m程度の6本の刺繍糸が1本のひも状によられたものをかせにして平たく整え、両端を紙テープで細く束ねた形状で売られています。紙テープにはメーカー名と色番号が記載されています。
25番刺繍糸は、複数のメーカーが作っています。形状はどれもよく似ています。が、どれを買ってもよいという訳ではありません。メーカーによって色が異なります。それぞれのメーカーは独自に刺繍糸の色を決め、独自に色番号を割り当てています。違うメーカーの糸同士だと、同じ色番号がついていても同じ色というわけではありません。(先行メーカーの色に合わせているところもあるようです。)
クロスステッチの図案には、たいていメーカーと色番号で糸が指定されています。(ちなみにこのサイトで配布中の図案はDMC社の番号で指定しています。)
デザインを決めてから糸を購入する場合は、図案で指定されたメーカーの糸で、色番号が指定通りのものを求めます。メーカーや色番号の指定がなく色名のみ指定されている場合は、その色であればどのメーカーの糸でも差し支えありません。
どうしても指定のメーカーの糸が入手できない場合は、指定メーカーの糸見本と、入手できるメーカーの糸見本を購入して、近い色を選びます。糸見本は市販されています。糸見本がないときは、色名や図案の完成イメージを参考に準備します。色数の多いデザインでは他メーカーのものに置き換える作業は負担が大きいので、取り寄せてでも指定メーカーのものにした方が無難です。
使用糸の量は、作品の大きさやデザイン、糸を何本そろえて刺すかで変わります。刺繍糸2本をそろえて刺すことを2本取り、3本そろえて刺すことを3本取りのように表現します。当方の図案にはあまりありませんが、クロスステッチの図案には布のカウント数や糸の本数指定があることがあります。同じ布に刺す場合、1本取りより2本取り、2本取りより3本取りの方が使用量が増えます。また、刺す目数が多い色は使用量も多くなります。図案に各色の目数(カウント数)が記載されている場合は参考にできます。あらかじめ使用糸量を見積もりたい場合は、一定の長さの糸で使用布に何目刺せるか試し刺しし、どれくらいの目数でどれくらいの量が必要か計算します。色飛びの多い色では糸の始末に余分に糸が必要です。また、刺繍糸は繊細なのでほどくと傷んだり、からまって無駄になることもあります。糸は多めに準備します。→糸 使用量 見積 (JavaScript使用)
糸の保管は、メーカー名と色番号がわかるように管理します。糸を使う前にはかせをほどき、1本のひも状にしてから適当な長さに切ります。あらかじめ8等分して1m程度にして糸番号をつけた紙カードのパンチ穴に通しておき、使用するときに1本ずつ引き抜き、さらに2等分して引きそろえるのが一般的です。クロスステッチキットなどではこのような形で糸を扱うものが多いです。他の保管方法として、切りそろえた後に軽く結わえ、糸番号をつけた箱や袋に小分けしたり、かせをほどいた状態で切らずに糸番号のついた糸巻きに巻き付け使うときに適当な長さに切り1本ずつ引き抜く、といった方法があります。
糸を使うときはひも状の状態から1本ずつ引き抜きますが、ひも状の糸を2つ折りにして、わの付け根をしっかり持ち、わの部分から引き抜く糸1本を指か針先でゆっくり引き出します。ひも状の方の糸がくしゃくしゃになりますが、後でなでつけると戻りますので、焦らずにそのまま抜き取ります。支える方の手をゆるめて引っぱると、からまりやすいです。
糸はあまり長くしないで用います。長くしすぎると刺しているうちに布にこすれて弱ったり毛羽だったりします。50cm前後にするのが一般的です。保管方法で述べたように、8等分に切っておき、使う直前に等分に切ったり折ったりして使うとだいたい50cmになります。
ステッチの際は1本ずつ引き抜いた糸を使う本数分そろえて使います。針に通すときは、糸端を折ってわにした状態で針穴に通すと糸先が傷みません。糸をよらない(各糸が平行な状態)で刺すようにします。糸がよじれるとステッチにふくらみがなくなり本数に見合ったボリュームがでません。また、糸が平行にそろったほうが、光沢がよく美しいとされます。
刺繍針
刺繍針は針穴が縫い針より大きくなっています。刺繍針でもクロスステッチ用の針は、先が丸くなっています。先がとがっているものは、織り糸にひっかけやすいのでむきません。
針の太さは布目の細かさや刺し手の好みで変わります。自分に合うものを使います。
例外的に目の詰まった布にクロスステッチをするときは、先のとがった刺繍針の方がむきます。
糸切りはさみ
単に糸を切るだけでなく、布際で糸を切ったり、刺し間違えたときにほどいたりしますので、小振りで先がとがっていて、よく切れるものが適しています。
布切りはさみ
大ぶりの布専用のはさみが便利です。紙切りと兼用にしますと切れ味が鈍ることがあります。切れが悪くなったときは、アルミホイルを切るとましになると思います。
しつけ糸
布端の始末に使います。裁縫用のかせになったものや、パッチワーク用の糸巻きに巻かれたものなどがあります。ほつれやすい布を裁ちきった後、布の縁をかがります。
布目を数える目安に、印し付けとして利用することもできます。
アイロン
作成前の布の地なおしや、作成後の仕上げ、汚れて洗濯したときのしわとりなどに使います。一般的な家庭用のもので十分です。
枠
大きい作品で布端が垂れて扱いにくい時は、棒状のものに布を巻き付けて作ると楽です。専用の枠が市販されています。特にこだわらなければ、はがしたカレンダーを丸めて棒状にしたもので十分です。
常にきつめにステッチしてしまう人は、小さい作品でも枠を使用した方がよい場合もあります。小さい丸枠が市販されています。