1989年3月から一年間「ユリイカ」に連載し、その後に1993年に単行本化したもの。
明治からの数々の「うわさ」を社会心理学的にまとめているが、この本は事実の収集に重きを置いている所がいい。海外では、都市伝説をまとめた「消えたヒッチハイカー」などのシリーズがあるが、日本では資料的に少ないと思う。
絹布の法被、鹿鳴館のスキャンダル、ハレー彗星騒動、千里眼事件、関東大震災の朝鮮人襲撃の流言、日本起原論異説などなど。現代であっても、形は違うが、うわさの類いはあまり変わって無いのが判る。
世界のチーズ、選び方、チーズを使ったレシピ、歴史、栄養学などなど。入門書的な本。
著者は海洋生物学者、現在は南紀枯木灘海洋生物研究所所長(って何だ?)。
各国を歩き、食べた怪しい食べ物についてまとめたもの。パラオオオコウモリなんてゲテモノっぽいものから、フィリピン・パナワン島のニド(つばめの巣)ハンターの話、香港のサラサハタ(老鼠斑)などの高級なものまで。美味いものというよりは、現地の社会と合わせて食文化を考える参考になる。写真が多いのが楽しい。
自然破壊、環境汚染、化学公害を告発したこの本が発表されたのは1962年。この分野では先駆けと言える。海洋生物、野生生物の研究を続けていたレイチェル・カールソンの名前を一躍有名にした本。
主に扱われているのは農薬、殺虫剤などで、現代に当てはまらない部分も多いと思う。しかし、「奪われし未来」を読んでも世の中はよくなるどころか、化学物質は複雑化し悪くなる一方だという事が判る。さらに日本では化学物質に対する認識が、まったく甘いのも痛感する。
「日本語練習帳」のベストセラーが続き、言葉についての興味が広がっているのか、この本も書店で目立つ所に出ている。
内容的には、新聞、雑誌やTV、ラジオ、駅の放送までの広い分野から日本語の間違いを拾ってきて、微妙な言葉の違いの解説や、誤用の原因を分析している。言葉に対する深さは「日本語練習帳」ほどは無いけど、誤用という点では、実生活に役に立つ。
「浮き上がる」と「浮かび上がる」の違いとか、「おざなり」と「なおざり」の意味理解とかは微妙な差で面白いのだけど、「役不足」、「枯木も山の賑わい」みたいな平凡な間違いはイマイチ面白くない。
こういう本を読んでいると、日本語の微妙な違いが気になっていいのだけど、他人の間違いに敏感になるので疲れるかも。
著者は、コミュニケーション/メディア論、ジェンダー論を専門とし、この本で扱っている様な「うわさ」の話は卒論以来のテーマらしい。
さすがに最近の研究者らしく、口裂け女、トイレットペーパー買いだめ騒動、どらえもん最終回説、など、最近のネタが多いのが面白い。媒体についても、携帯電話、電子メール、マスメディアやインターネットに言及しているのがいい。マスメディアによるうわさの増幅、小泉今日子のうわさの消し方などは興味深かった。
ただ、既存の資料に頼っている部分が多く、社会学的なフィールドワークというと行動的には不足だとは思う
毎日新聞東京本社編集局地方部長。「騙す人ダマされるひと」(新潮社)の著者。
詐欺とは「相手を錯誤に陥らせ、みずからモノを差し出させる」こと。その錯誤の要因について、実際の事件を取り上げ、分類し深く考察している所がこの本の面白い所。
大きく分けて、1)欲望につけこむ、2)不安をあおる、3)権威をかたる、4)社会システムを逆手にとる、の4つに分類している。
心理学的な面からも、日常的な防衛としても、雑学としても面白い本だった。
「死国」、「狗神」、そしてこの本と読んで来たが、坂東眞砂子のホラーって基本的に同じパターンだという事が判る。ふる里に帰る女性が主人公、その地方には残る因習、過去の因縁、嫉妬と欲望。同じパターンで書いてはいるが、完成度はどんどん高くなってきている。執筆順では、この「蛇鏡」が最後らしい。やはり小説としては一番完成度が高く、恐いと思う。
しかし、一番恐かったのは、首を吊った紐を腹に巻くと陣痛が軽くなるという話。頭にクラクラきた(^^;)。これってホントにある習慣なんだろうか…。
「上海の西、デリーの東」の著者、素樹文生の旅行記の新作。「上海の西、デリーの東」は気に入っていたのだけど、この本はちょっと不安だった。何しろ、オートバイには全然興味は無いし、今度は私の好きなアジアでは無くて日本国内になってしまったし…。
仕事を辞め旅に出て、オートバイや旅の蘊蓄を語る当たりまでは、楽しく読めるけどそれほど回転数も上がらずって感じ。中盤に入るとギアチェンジか、俄然、面白くなってくる。やはりこの著者は、旅で出会った、結構しょうもない奴らが出てくると文章が生きてくる。特に、小説家とヌードモデルの話が気に入った。
最後に旅はアジアへと繋がっていく所がいい。
→ 別冊モトギ通信 - 著者自身のWebsite
公正取引委員会の審査官が主人公。汚職の嫌疑を受ける彼が、ODA政府開発援助のプロジェクトに関する談合事件をマニラで調査する事になる。
真保裕一らしい一本気な主人公で、面白い事は面白い。マニラという風土もいい。ただし、やや冗長。政府開発援助の各人の思索が分かりにくい部分も多い。
著者は清心女子大教授。心理テスト・ブームに上手く乗った感じの97年出版のベストセラー。
本書のベースになっているエニアグラムは、アフガニスタンで生まれ、イスラム教スーフィー派へと受け継がれた秘伝…らしい。米国スタンフォード大学の心理学者を中心にこの人間学の研究がすすめられた…らしい。どこまで本当なんだろう??とにかく、性格分析の一つ。
その他のエニアグラムの本では、「エニアグラム活用術」鈴木秀子、「愛する人、愛される人の9つの性格」、「エニアグラム―職場で生かす9つの性格」(ヘレン・パーマー著),がある。
ちなみに、9の性格とは次のもの。私はタイプ1がトップで、タイプ4がその次という感じ。予想通りで面白くない。
タイプ1 完全でありたい人
タイプ2 人の助けになりたい人
タイプ3 成功を追い求める人
タイプ4 特別な存在であろうとする人
タイプ5 知識を得て観察する人
タイプ6 完全を求めて慎重に行動する人
タイプ7 楽しさを求めて計画する人
タイプ8 強さを求め自己主張する人
タイプ9 調和と平和を願う人
自分のタイプを簡単に調べるなら、次の国際エニアグラムカレッジのサイトで調べた方が集計は早いし、この本を読む必要も無い気がするけど(^^;)。
→ 国際エニアグラムカレッジ
→ エゴグラムによるあなたの性格診断
(おまけ)
「9つの性格」の恋愛版。タイプ別の組み合わせで、どういう点に気をつけたらいいかを解説している。しかし、同じタイプは絶対にうまくいかない、と最初から解説してないのだが、読んでみて同じタイプだったカップルの立場ってどうなるのだろう(^^;)。