1991年にJICC出版局(現宝島出版)から出た「洗脳体験」の増補版。1991年に出た時にすぐ読んだ。当時、各所で話題になっていた"自己開発セミナー"だったので興味深かった。
ほとんどの内容は当時のものと同じだけど、「文庫版の解説にかえて/ポストバブルのポストセミナー」っていう島田裕巳の文が追加されていて、これも面白い。バブルという時代と自己開発セミナーの関係を解き、ポストバブルの現在からの視点で見つめている。
内容は出版の二年前、1989年の自己開発セミナーの最大手、ライフダイナミックスの体験から。オウム真理教における洗脳などの過激なものではないが、客観的中立的情報としてセミナー内容は実に面白い。
ちなみに原田眞人監督の映画「KAMIKAZE TAXI」には、20分ぐらい延々と自己啓発セミナーの内容をやるシーンがある。
→「マインド・コントロールの恐怖」感想
→「洗脳されたい!」 マインド・ビジネスの天国と地獄 別冊宝島30 感想
→「マインドコントロールについての参考文献」
- 統一協会を訴えた「青春を返せ裁判」を支援するHP
第4回日本ホラー小説大賞。
この小説を今読めば、誰でも毒物カレー事件の真須美容疑者を連想するに違いない。それほど、登場人物の菰田幸子と重なる所が多い。
主人公は生命保険会社に勤める若槻慎二。顧客の菰田家で子供の首吊り死体の第一発見者となる。死亡保険金の請求から、独自調査が始まり、次々と真相が明らかになっていく。背徳症候群(情性欠如を含む複数の人格異常)の犯人、その絶対的な悪の感覚が怖い。登場人物、みんなそれぞれがどこか壊れた部分を持っているのも不気味。なんか、現代的な精神病理の感覚がつきまとっている。
小学生の時の夢の作文なんか、淡々としていながら怖さを持っていた。
→ 映画「黒い家」感想
さくらももこが高二の冬に出会った絵本「おどる12人のおひめさま」、この絵本作家エロール・ル・カイン(Errol Le
Cain 1941〜1989)にまつわる話、やがて英国旅行へと展開する。全体はまったく短い話であっと言う間に読み終わってしまうけど、エロール・ル・カインの絵と、さくらももこの「コジコジ」の挿絵がいい。
そーいえば、さくらももこ、離婚したらしい。
初出は「小説推理」1992/9〜1993/7。「新宿鮫」が1991年の吉川英治文学賞新人賞だから、一番注目されていた頃に書いていたものか??
時代は2050年、東側と呼ばれる新宿、澁谷、港、豊島、太田各区の一部がホープレスと呼ばれる混血に支配されるスラムと化している近未来。
2050年という割には、ほとんど現代と同じ。テクノロジ的に社会が何も変化していないのが不自然。映画の「ロスト・イン・スペース」(2058年)とほとんど同じ未来の話とは思えない(^^;)。そのヘンが実に違和感を感じる。大沢在昌にはSFの才能はないかも(^^;)。
ま、人種が混ざり会った世界観はちょっと面白いけど、現在の物語である「不夜城」の方がずっと上を行っているのは皮肉っぽい。
東側に住む探偵ケン代々木が主人公。一人の歌手の女探す所から、事件は民族的対立、人種差別、大規模な組織的謀略へと展開していく。古典的なストーリ展開ではあるけど、まあ、面白く読める。
大沢在昌の本は数が多くて、いくら読んでもまだまだ残っていて、大変。
今年、堅いノンフィクションの割にはベストセラーになっていて気になっていた本。やっと読む。第四回「週刊ポスト」「SAPIO」21世紀ノンフィクション大賞受賞作。
これはめちゃくちゃ面白い。
単純な絶対音感の話から、日本における音楽教育の問題や、普段は出てこない音楽家の苦悩、プレッシャーをインタビューによる生の声で捉えられる所が面白い。絶対音感によって歌詞に入っていけないなんてのは、凄く驚きだった。んー、新鮮な感覚、面白かった。
1991年刊行文藝春秋「わたしの旅はアジアから」にコラムをくわえて再構成したもの。アジアの旅行エッセイとしては、平均的な面白さで平均的な内容。重慶からの揚子江を下る船旅、台湾の純情な青年、ソウルの女子大生、高山病を恐れてのチベットへのバスの旅、雲南、クアラルンプール、香港などなど。
コンピュータ関連図書ランキングでずっと上位にいるので気になっていた本。1998年2月刊行。
クラッキング、ウェアーズ関係が中心のアンダーグラウンドな内容。Apple ][でLocksmithを使って、今だD5 AA
96なんて覚えている世代としては好きなジャンルなんだけど(^^;)。
WWW上を丹念に探せば判る事だろうけど、最近の傾向をうまくまとめているので入口としては便利。著者がMacに偏向しているところもよい(^^;)。
「コンピュータ悪のマニュアル」の続き。CD-ROM付きになったせいか、前回のサイズが違って本だなに並べた時に美しくないのが難点(^^;)。
1998年10月刊行。「コンピュータ悪のマニュアル」の刊行が2月だから、内容的に古くなっているという程ではないけど、内容の補完的な部分が多い。読むなら両方とも読んだ方がいいかな。