芥川賞受賞作。
表題の「蛇を踏む」と、「消える」「惜夜記」の三作。それぞれ中編程度の長さ。
純小説だけど、適度にファンタジック。エンデほどのファンタジーじゃないけど、村上春樹ぐらいのファンタジックさ。やはり、生活感からの妙な離脱や、無国籍性がそう思わせるのか。例えば、数珠屋「カナカナ堂」とか、おからや刺身が出て来ても、日本というイメージはしないのが不思議。
表題の「蛇を踏む」は面白かった。他のはそこそこ。
著者紹介を読むと理学部生物学科というのが面白い。妙に有機的な粘着さを文章から感じる。あと、短編文学新人賞を「神様」で受賞しているのも知らなかった。
映画化されたので読む気になった一冊。ストーリ的には、確かに映画そのままで追体験に過ぎなかった。
「セックスレス」という言葉の奇妙さは面白い。誰が、この言葉を考えたのか。それ以前は何と言っていたのだろうか…。
同じ出版社から出ている、「パスタとワインと豚のシッポ」が面白かったので探して読み始める。こちらも面白いのだけど、食べ物の話が多い「パスタとワインと豚のシッポ」の方が好き。
今回は面白さとは別に、「正しいカフェのいれ方」が気になった。今まで行った国の中では、イタリアが一番コーヒーが美味しい。バールで飲むコーヒーのうまさは格別。
家庭で使うマキネッタ(エスプレッソ・マシーン)は三種類あるそうで、モカ - moca、マッキナ - macchina (espresso)、ナポレターノ
- Napoletana。
ローマでは凄く安いのでモカを買ってこようと思ったけど、アルミ製はアルツハイマーの原因になるとかで、パスしました(^^;)。
泉麻人は四歳年上だけど、ほぼ同世代というイメージで、体験が似ている。そのエッセイとなると共感出来る所が多いので、面白かった。
オタクな少年がオタクなオヤジになる様が、共感出来ます(^^;)。
面白かった。ここ数年で読んだエッセイの中の、ナンバーワン。「とらばーゆ」に連載していたモノが中心らしい。ともかく、三谷幸喜、愛すべきヘンな奴。ちなみに、「古畑任三郎」「王様のレストラン」の脚本家。
八方美人ゆえに周りに迷惑かける、正義漢ゆえの意地悪、回りにいると嫌だけど、エッセイで笑わせてもらうのは楽しい(^^)。
一月に読んだ「アジアの誘惑」の続いて、「アジアの旅人」を読む。特にテーマは無いが、色々な国の徒然なる話。
中に出てくる旅人の戯れ歌が面白かった。
金の北米
女の南米
耐えてアフリカ
歴史のアジア
なによりましなヨーロッパ
豊かな青春
みじめな老後
「アジアの旅人」、「アジアの誘惑」の下川裕治の出世作(?)。1988年から週間朝日に連載していたらしいが、その時はまるで知らなかった。とにかく12万円で世界各地に行く、この過激な貧乏旅行を一月に一回こなした体力は、ちょっと想像を絶する。
その貧乏さもさる事ながら、旅行の内容の想像力もなかなかのもの。長崎から船で長江(揚子江)の終点まで、北京発ベルリン行き列車28日間世界一周、神戸から現代のシルクロードをアテネまで、それぞれテーマがある所が素晴らしい。
貧乏、退屈、苦痛が旅のほとんどを占めているだろうが、それを除けばこのコースはみんな面白そう。
現在は航空券も下がり、10万円ぐらいで可能になるらしいが、それをやる人がいるかどうか…。
パスティーシュ(文体模写)の清水義範の映画関係エッセイ。サンデー毎日に連載されていた('92/4/19〜'93/4/11)もの。
しかし、つまらない。映画ファンと言っても、単なる映画ファンが映画について書いても面白い訳がない。面白い視点というのが欠落しているから、エッセイ自体が面白くない。面白い映画について書いても、別にエッセイは面白くならないという見本。
ローマに行って、美術品を見ていても聖書の知識が足りない事を痛感して、読み始めた一冊。聖書の内容を説明するというよりも、どう読めばいいのかを教えてくれる本。
ちなみに、ミケランジェロの「モーセ像」は出エジプト記32.15-20の、「彼は怒りに燃え、手からかの板を投げうち、これを山のふもとで砕いた」シーンだったと知りました。
猿岩石、好きじゃないんだけど、旅行記をたて続けに買い、「12万円で世界を歩く」を読むと、批判するにしても「猿岩石日記」は読んでおこうと思う。
しかし面白くなかった。旅の内容はともかく、視点という物が欠落している。
PART1の方がまだ面白かった。
「聖書の読み方」と同じで、美術品を見るために聖書の知識を増やそうと思って買った。当時の文化、生活などの時代背景が図解されていてためになる。聖書の内容も、解説付きで判りやすい。
「旧約聖書ものがたり」と同じシリーズ。内容も似ているが、こちらは新約聖書について。ためになる。