'97年2月




「いつか晴れた日に」

 去年観たのを忘れて、また観てしまった(^^;)。
 そこそこ面白いのだけど、印象薄い(^^;)。


「さまゆう魂たち」 - The Frighteners -


「乙女の祈り」の監督ピーター・ジャクソン。以前とは違って、マイケル・J・フォックス主演とか、比較的メジャーな作品。
 しかし、グロっぽさが強くて、最初の方はなんかなじめない(^^;)。

 でも、ストーリは予想外によかった。予告編を見る限りは、幽霊とグルのゴースト・ハンターのスラップスティック・コメディの単純な物語かと思ったら…実際には結構、複雑。過去の連続殺人、街を襲う怪死などなど、ミステリー的にもちょっと面白い。過去が段々暴かれ
ていくところなんかいいです。

 しかし、全体に漂うグロさになじめないとダメですね。前半なじめなかったけど、後半は面白さにひっぱられました。


「すべてをあなたに」-That Thing You Do! -


 トム・ハンクスの初監督作品。
 '60年代、田舎のロック・バンドが突如の大人気となる。トム・ハンクスはマネージャ役でも出演。

 音楽もいいし、そこそこ面白いのですが、ストーリが単純すぎ。誰が書いても、こうなりそうなストーリ。後半の挫折までのポイントが不明
確だし。まあ、しょうがないのかなあ。しかし一月ぐらいで終わってしまう。人気ないのか。

 音楽はビートルズ風。時代的な背景とかも面白いです。


「義務と演技」


 原作は結構、有名な本らしいですが、名前も聞いたことありませんでした(^^;)。セックスレスの夫婦が館ひろし、一方清水美砂が義務と演技のセックスの夫婦。この二人の不倫モノですが、二人が関係しない前ぐらいまでは

 それなりに引っ張られたんですが、後半は予想通りで面白くない。結末もいかにも小市民的な結論で、何か、好きになれないです。
 
 劇中の館ひろしの家が七里ヶ浜(湘南、江ノ島近く)なんで、そういえば「稲村ジェーン」に出てたのが清水美砂だったなあ、当時の方がずっとよかったなあ、などと思ってました(^^;)。

→その後、原作読みました


「マイ・ルーム」 - Marvin's Room -

 メリル・ストリープ、ダイアン・キートン、レオナルド・ディカプリオ、ロバート・デ・ニーロのスター勢揃い映画のわりにはテーマが重い。

 過激な反抗期のディカプリオ、女手一人で彼を育てるストリープ、20年間音信不通のその姉キートンが白血病と診断されドナーを求める。予告編で観るこれだけで、面白くない訳ないと思ってました。
 まあ、おおむねの予想通りのドラマ性。キャラクタもそれぞれ個性的ですばらしい。予想外だったのがディカプリオ中心だと思っていた展開が、最後にはストリープがメインになっている気が…(^^;)。全体に、微妙な感情表現が面白いです。


「身代金」- Ransom -

 観てみると、予告編でバラされているのが多すぎる気がする。
 航空王のメル・ギブソンの息子が誘拐される所ぐらいまではいいけど、ポイントとなる対抗策--テレビに出る所までばらすと事ないのに。犯人との心理戦は結構面白い。でも、犯人側が結構間抜けだし、ちょっと魅力に乏しい。主犯のバレ方もやたらに早いし。
 ラストの方15分をドラマにした方がずっと面白いとちょっと思いました。

 しかし、犯人側の動機がイマイチはっきりしないのはなぜ??犯人がH.G.ウェルズ原作の「タイム・マシン」のストーリを語る所なんか、黒沢の「天国と地獄」を彷彿とさせて、もうちょっと深遠な部分があるのかと思っていたんだけど。


「BOYS」

 ウィノナ・ライダーが主演というのが魅力で観たけど、まあまあかな。思ったより真面目。警察に追われるヒロインを、学校の男子寮にかくまうなんて、もうちょっとスラップスティクなコメディ性があるのかと思ってたのに。


「恋と花火と観覧車」

 理想的上司一位の長塚京三という時代的キャラクタを使っているのがいかにも脚本秋元康というところか。妻に先立たれた中年の長塚に対してヒロインはTV「ひまわり」の松嶋菜々子。
 彼女はどうも、すべてに平均的で魅力が少ないです。京塚の娘を演じる酒井美紀の方がずっとのびのびしていていい。
 まあ、そこそこの面白さで展開するんだけど、最後の方だけはまったく面白くないなあ。なんの意外性も、ドラマ性も無いんだもの。

 長塚京三と言えば、「ザ・中学教師」が一番好きなんだけど、最近は愛される中年像か、コミカルな部分ばかりが注目されている気がして不満です。


「ザ・ディフェンダー」

 柳葉敏郎主演のSFもの。ジャンルで言えば、覚醒モノといったところかな。秋葉原が舞台で、柳葉はデータのサルベージ屋みたいなもの。
 監督の小中和哉は、昔、「くまちゃん」という悪夢のようなつまらないのを撮った人なんだけど、菅野美穂が出ているのでついつい見に行ってしまった。
 ストーリ的にはまったくしょうもない。後から考えると破綻だらけなんだけど、秋葉原が舞台で、ラジオデパートの中まで出てくるし、格闘やらせればドラゴンスクリューとかいかにもオタク好み(^^;)。ま、その線で喜んで観ていましたが、中身は薄いです。

 途中、佐野史郎が伝説の人、ウイザード(^^;)として出てくるんだけど、彼の事を評して曰く
「あの頃はまだ5インチ・フロッピーでな、やつは顕微鏡のぞいてデータつないじまうんだよ」

 うーむ(^^;)。


「truth/トゥルース」

 「ザ・ディフェンダー」の併映。萩原聖人主演。
 日本のTVクルーが海外の謎の反政府軍を追う。ちょっと「地獄の黙示録」っぽい。ネタとしては悪くは無いと思うのだけど、何しろつまらない。もう、平凡なエピソードの連続で、スピード感も何もない。最後の最後まで予測出来て、これで「truth/トゥルース」なんて題名、よくつけるもんだ(^^;)。


「渇きの街」

 あまり観る気はなかったのだけど、原作の北方謙三(読んでないけど)というのにちょっと引かれました。監督の榎戸耕史は、「ふたりぼっち」とか「ありふれた愛に関する調査」(原作が関川(^^))も結構すき。
 しかし、全体にメリハリが無いし平凡。でも、多分、原作では面白いんじゃないかと思う。原作に縛られすぎて、平凡になってしまったのだろうか?

 音楽が妙にかっこよかったんだけど、誰がやっているんだかチェックし忘れてしまった。


「ラストマン・スタンディング」- Last Man Standing -

 これが黒沢の「用心棒」のリメイクかなあ(^^;)。大まかな所は同じだけど、印象はまるで違う。
 悪い噂しか聞いてなかったけど、やはりウォルター・ヒルが監督した中では、今までで一番つまらなかった。やはり西部劇の「ダブルボーダー」も好きじゃないんだけど、それを上回るつまらなさ。

 主演、ブルース・ウィリスもあまりよくない。なんか、年寄り臭い。対する敵側も唯一存在感があるのがクリストファー・ウォーケンだけど、彼さえも活かされてはいない。女優群もみんな影が薄い。
「用心棒」の三船敏郎と中代達矢は凄く存在感あったのに。
 最後の対決ぐらいは見せてくれるかとおもったけど、なんとも貧弱。

 普通にみれば、単なる凡作かもしれないけど、ウォルター・ヒルとなると期待してしまうので、これは残念。

 アクションに派手にワイヤーを使っているのが、香港っぽい(^^)。銃の弾数が実際をはるかに越えているのも香港っぽいか。銃と言えば、ウィリスは二丁拳銃でオートマチックなんだけど、どうもオートマチックというのが西部劇っぽくないな。

唯一、心地よかったのはライ・クーダの音楽。


「エビータ」- Evita -

 なんなんでしょうねえ、このメリハリのまったく無い展開は(^^;)。全編、ミュージカル、ミュージカル。延々と歌が続くと、ストーリ的な盛り上がりがどこにあるかまったく判らないです(^^;)。
 マドンナとアントニオ・バンデラスの歌は悪くないです。でも、映画としては駄目だと思う。

 監督のアラン・パーカーはともかく、オリバー・ストーンも脚本に絡んでいるだ、後で知ったんだけど(^^;)。

 エビータは劇団四季がやっていたそうですが、曲はどうなんでしょう。この映画ではアンドリュー・ロイド=ウェーバーがやっているらしいんですが。


「僕のボーガス」 - Bogues - 97/2/1

 公開してあっと言う間の2/7には終了…(^^;)。それほどは悪くはないと思うのですが。

 サーカス団で働く母親が死に、少年が引き取られた先がウーピー・ゴールドバーグ。少年にだけ見える唯一の友達が、天使みたいな存在のジェラール・ドパルデュー。3人の絡みのなかで、最初は互いに受け入れられなかったウーピーと少年が心を開いていく。よくあるストーリながら、ドパルデューの天使を絡ませて、ファンタジーにハート・ウォーミングに仕上げています。
 ドパルデューとウーピーという、ストーリから考えるといかにも不似合いな配役が逆に面白い感じはしました。

 監督は後で観てみると、「夜の大走査線」「月の輝く夜に」のノーマン・ジェイソン。うまいはずだ(^^;)。


「しずかなあやしい午後」97/2/1

 椎名誠のホネ・フィルムのオムニバス作品ですが、彼自体の監督は一本だけ。結論的にはつまらなかった。

「ツェツェルレグ・モンゴル草原の花」(短編)
 これ自体はオマケ短編ですが、昭和40年代のNHK教育の花の番組みたいで、退屈な上に何も頭に残りません…。

「スイカを買った」
 沢野ひとしの絵が動くというのが唯一の見どころですが、あんまり動かないし(^^;)、実際、アニメにする必要性が感じないので、もとのコミックを読めばいいと思う。

「ガクの絵本」
 和田誠が監督。ガクと野田知祐は、和田誠の映画にもエッセイにもよく出てくる、おなじみのカヌー人とカヌー犬です。「ガクの冒険」(実は観てない)のミニ版でしょうか。まあ、何というか、どうでもいい映画。それほど退屈はしないです。

「遠灘鮫腹海岸」
 これが椎名誠が監督の作品。椎名のエッセイに出てくる林さん(チャーハン作りで有名である(^^;))が主人公。原作があるのですが、多分、読んでないです。読んだとしてもまるで記憶に残ってない。椎名のSF、ファンタジー系の作品らしい、不条理な世界観の話。まあ、一発ネタで物足りないですが。
 当然、チャーハン作りのシーンもありますが、そこが唯一の見どころでしょうか(^^;)?


「パラサイト・イブ」97/2/2

 まるっきり期待してなくて、多分、かなりつまらないと予想していたのだけど、そこそこ観られました。少なくとも退屈はしなかった。

 観ていて、神経に触る音楽や効果音の使い方、俯瞰の使い方などなど、覚えがあるなあと思ったら、やはり「NIGHT HEAD」「BLACK OUT」の落合正幸でしたか。この監督は、確かに「パラサイト・イブ」には合っているかもしれない(^^)。

 結局、映画の失敗部分は原作の失敗部分でしょう。原作自体もミトコンドリアのアイデアを完全にうまくストーリに出来ていませんでした。中盤までの人類という基盤を揺るがす恐怖感から、後半の対決のセコさ。竜頭蛇尾のストーリ展開。映画もそのストーリをなぞっているので当然のごとくラストに不満が残ります。
 三上博史は相変わらずヘンで適役。葉月里緒菜も台詞が少ないからボロが出ないのか、全体の雰囲気的には非常に合っていました。予算が少ないながら、がんばっていると思います。


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