アルクメーネーはヘラクレスを生みましたが、女神ヘラの余りの怒りにたじろいでか、 ヘラクレスをアツゴスの近くの平野に捨ててしまいました。この時何か意図があってか知恵と戦術の女神アテナが女神ヘラを連れて、 ヘラクレスが捨てられている所を通りました。
女神アテナはとても立派な赤ん坊に驚いて、女神ヘラに乳を与えるように頼みました。 しかしその赤ん坊があまりに強く乳を吸い痛いので女神ヘラは赤ん坊を払いのけました。
こうしてヘラクレスは女神ヘラの乳を吸った事により不死になったのです。
その後女神アテナは赤ん坊のヘラクレスを連れて母アルクメーネーのもとに行き、 もはや恐れるには及ばないとヘラクレスを返したといいます。
さて上記のお話とは別のお話があります。ある晩の事でした。伝令神ヘルメスは大神ゼウスに頼まれたのか、 ゆりかごからヘラクレスを連れ出しました。伝令神ヘルメスはそのままオリンポスの山頂に向かい 女神ヘラの寝室に入り込み、寝ている女神ヘラ胸元にヘラクレスを置きました。
暫くしてヘラクレスは女神ヘラの乳を吸ったのですが、あまりに強く吸ったため 女神ヘラは痛みで目が覚め、怒りとともにヘラクレスを突き飛ばしました。
この時女神ヘラから乳が激しく吹き出し広い天に注がれました。 これが天の川(ミルキーウエイMilky Way)になったのです。
こうして女神ヘラの乳を吸ったヘラクレスは不死となる事ができたのです。
女神ヘーラーにとっては、あのいまいましい浮気相手の子、ましてや人間の子ヘラクレスと 半分血を分けたイピクレスが双子として生まれてしまったのです。 ハラワタが煮えくり返る思いでしたが、ふとあることを思い付きました。生まれたばかりのヘラクレスたちはゆりかごの中にいました。 母アルクメーネーの世話をするため侍女たちが部屋から出ていったすきに、 二匹の毒ヘビが開いていたドアから寝室に入り、二人の子供に巻き付き飲み込もうとした時、 ヘラクレスは頭を持ち上げ、両手で二匹の毒蛇の首をつかみ、息が絶えるまで絞めつづけ、 ついには両手の蛇がブラーとぶら下がりました。
物音で駆けつけた侍女達は立ち尽くし、 母アルクメーネーは二人の子供に絡むヘビを何とか振りほどこうとし、 父アムピトリューオンはやたら剣を振り回していましたが、 息子の異常な勇気と強さに驚きもし、これから先の事が心配になりました。
父アムピトリューオンは予言者テイレシアースを呼びヘラクレスの将来を聞き、 予言者テイレシアースは これから海と陸で限りなく獣を殺し、神々と共に巨人族と戦い、 最後に待つ栄光の話をしたと言います。