大事なのは結果じゃないのだ

我々が何かしようとする時には、どうすればうまくいくだろうかなどと考えてしまったりするが、物事はうまくいかないのが自然である。何かがうまくいったらそれはラッキーなのだ。したがって、物事がうまくいくためには好運が必要だということになる。好運というのは予め期待することはできず、偶然を待つしかない。でも、待っていたら必ず好運が訪れるという保証もない。保証もないものをただじっと待っているのはつらいが、じっと待たなくても今やっていることに没頭すればいいのである。

物事がうまく行った場合は、偶然によってたまたまうまくいったわけだから、思ったよりうまくいったことになる。思ったよりうまくいったということは、うまくいくとは思っていなかったのである。うまくいかないと思いながら続けることができるのは、うまくいこうがいくまいがとにかくそれをやりたいからである。つまり、何かが思ったよりうまくいくのは結果を求めずにやりたいことをやったからである。やりたいことだから続けられるし、没頭できるので、知らないうちに好運を待っていることになる。

うまくいくと思わずにやりたいことをやって、それがうまくいったら嬉しい。それは世界が広がったことになるからである。「世界はこういうものだから、こういうことをやってもうまくいかないだろう」と思っていたのにうまくいったとしたら、世界には自分が考えていないような可能性があることが判ったわけである。うまくいかないと思っていてもうまくいくことがあると知ったら、やりたいことがやりやすくなる。

思ったとおりにいった場合はどうだろうか。思ったとおりにやるのは大変だから、思ったとおりにいったら嬉しい。でも、それは大変なことが終わってもうやらなくてもいいという嬉しさである。その嬉しさは長続きしない。また別の何かを思ったとおりにやらなくてはならないからである。思ったとおりにうまくやるのは大変だということが判ったので、前よりうまくいきそうなことをやろうとしてしまう。結果を求めてうまくやろうとすると、世界は狭くなり、やりたいことからはどんどん遠ざかっていくのだ。