- 会津朝日岳からの縦走も四日目になった。この日も晴れだった。雪が硬いのでアイゼンを付けて高幽山を出発した。鞍部までの下りは雪庇が多かった。
- 鞍部付近は右側がブナ林になっていた。ウグイスが鳴いていた。雪庇の切れ目以外は雪面が続いていて歩きやすかった。積雪は少ないところで30cmくらいだった。1760m峰を越えた坪入山との鞍部は稜線が細くエッジ状になっていたのでピッケルを使いながら慎重に通過した。
- 坪入山は東側の展望が開けていた。雪が柔らかくなったのでアイゼンを外した。坪入山からは植生が変わり針葉樹が多くなった。坪入山からの下りで「坪入山まで行く」と言う4人組とすれ違った。会津朝日岳から会津駒ヶ岳への縦走中、唯一出会った登山者だった。
- 窓明山山頂は平らで広々としていた。窓明山からのトレースは、時々針葉樹林帯の中を右に左に蛇行しながら続いていた。鞍部を過ぎると雪庇が多くなった。振り返ると、いかにも崩れそうな感じがして、あまり気分が良くなかった。
- 三岩岳への登りは、ところどころに針葉樹の生える広々とした斜面だった。スキーにちょうど良い感じがした。三岩岳は山頂標識の少し先に最高地点が有った。冷たい風が吹いていた。予定では三岩岳で幕営だったが、時間が早いので二つ先のピーク(2057m峰)まで行き幕営した。
- 最終日は曇り空だった。夜の間に風向きが変わり、風にあおられたテントをたたむのに苦労した。大戸沢岳への登りになるとぽつりぽつりと雨が降って来た。大戸沢岳でレインウェアを着た。
- 緩やかな登りが終わると会津駒ヶ岳に着いた。握手をしてお互いの健闘を祝い合った。山頂標識から推測すると積雪は1mくらいだった。三岩岳が見えた。燧ヶ岳は雲の中だった。やがてガスが出てきて駒ノ小屋も見えなくなってしまった。
- 駒ノ小屋への下りは、たくさんの踏み跡でボコボコになっていた。小屋の冬季用の部屋で一休みした。
- 小屋からの下りは完全にガスの中になった。踏み跡と20mおきくらいに付いている赤布をたよりに下った。標高1500m付近で雪はなくなった。雨の中、3人組のスキーヤーが登ってきた。ブナ林からミズナラ林に変わり、やがて林道の登山口に着いた。新緑は登山口でやっと始まったばかりだった。
- 檜枝岐は、まだシーズンオフで閑散としていた。一浴した後、誰も客のいないバスに乗り込んだ。