![]() |
■セブンアイ 「代理人」
トム・クルーズの「ザ・エージェント」が話題を呼ぶよりはるか昔のことである。 88年、ソウル五輪直後、長い爪で女性スポーツのイメージを変えた、世界記録保持者、フローレンス・グリフィス・ジョイナー(故人)とのインタビューは印象に残る。当時、ビジネスでも恐らく世界最高金額を稼ぎ出した彼女が、ふいに引退をほのめかす発言をした。同席した彼は慌てず逆に「じっくり聞いて」と、心境を吐露する彼女を止めなかった。 その後、同業他社に移籍したが、時々電話を掛け合っては、近況報告をした。今春、病院に呼ばれ、難しい病気であること、読んで欲しい本があることを告げられた。女子マラソンの世界記録保持者、ポーラ・ラドクリフ(英国)の自伝である。 彼女もきっと悲しんでいるだろう。偶然にも、女子陸上の最短距離と最長距離の、前人未到の世界記録を樹立した女性アスリートが信頼していたのは、52歳で亡くなった日本人の男性だった。これからは、日程や、肖像権やら放映権の心配をせず、スポーツを心から楽しんで観戦するのだろうか。 (東京中日スポーツ・2005.7.8より再録) |
BEFORE |
|