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■セブンアイ 「スポーツ小僧」
少年は、かなり深刻な「野球グラウンド拒否症候群」に陥っていたらしい。グラウンドには行こうと努力するが、いざ球場が近づくと憂うつになり、仲間を横目に見ながらバットを肩にかけたままどこかへ行ってしまう。原因はあの「声出し」にある。 野球グラウンド拒否症候群の少年はあれから十数年が経過した6日、メッツの開幕戦で歴史的デビューを飾った。昨年、松井稼頭央を取材した際、声出しや球拾いが嫌で、しかし母親にバレないように、ユニフォームを泥で汚して偽装してた、実際は野球部じゃなくて帰宅部、と披露してくれたエピソードに、2人で大笑いしたことを思い出した。これまでメジャーで成功した日本人にたちを松井が違う価値を示すとすれば、それは、日本球界が「野球エリート」を送り込んだのではなく、運動神経抜群の日本の「スポーツ小僧」が、季節ごとにさまざまな競技を楽しむメッカ・米国に乗り込んだ、そんな点にあるのだと思う。行こうぜ! に飽きたころ、ボーイズリーグに所属していた松井はバスケットボールをし、バレーボール大会にも出たし、卓球で好成績をおさめ、サッカーも経験した。 「僕は野球だけで育ったんじゃないし、いろんな競技をやったからこそ今の自分がある。スポーツを愛してます、心から」 (東京中日スポーツ・2004.4.9より再録) |
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