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■セブンアイ 「汗と涙のマット」
直径8メートルの円の中には根性や気合い、ときには「死ぬ気」が飛び交い、マットは汗と涙で濡れている。 63キロ級で代表を決めた世界選手権覇者・伊調 馨を、大会1週間前に中京女子大学で取材した。3歳上の姉の千春(48キロ級)とともに姉妹代表を狙う馨には貫禄さえ漂う。一度だけ枕を濡らしました、とチャーミングな笑顔で教えてくれた。 伊調姉妹だけではない。72キロ級の浜口京子(ジャパンビバレッジ)は父の平吾の厳しい叱咤を心の底から受け止め、55キロ吉田沙保里(中京女子大)も「五輪選考会で敗れた父(栄勝さん)のぶんも戦う」と言い切った。 女子レスリングには親子と姉妹の絆があり、家族愛がある。バックに流れる音楽は、軽快なポップやロックではない。どこにでもあって、けれども照れくさくて誰も口にしない、まるで「演歌」のような詞と、こぶしの効いたメロディーが心地よく聞こえる理由は、うわべだけではない、彼女たちの純粋さと、その美しさにある。 馨に好きな歌を聞いた。もちろん「津軽海峡冬景色」ではなく、ケツメイシのヒット曲だった。 (東京中日スポーツ・2004.2.27より再録) |
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