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■セブンアイ 地元料理
厳密な統計の結果、1位寿司、2位焼き魚、3位は根強い人気を誇るラーメン、と、こんなところであろうか。 サッカー日本代表のチュニジア・ルーマニア遠征が終わるころ、私は記者たちに「帰国すると何を最初に食べたいと思うか」と聞いてみた。サッカー記者はアウェーで徹底的に鍛えられているので、日本食を恋しがる者はいないし、むしろ地元料理を食すことに意欲的だ。帰国すれば、まあ、時には回ることはあるかもしれないが、寿司もラーメンも食べられるのだから、できるだけそこの国のものをおいしく食べて帰りたい。 「これはミミティで、ひき肉を棒状にして焼いたものです。こちらは、ぜひ召し上がっていただこうと特別に注文をしたものです」 すごくおいしい、と言うと、なぜか一人が涙ぐみながら「すみません」と笑った。 帰国直前、99年、日本代表が南米選手権に招待されたパラグアイでお世話になった方から「今年は米が豊作でした」とメールが届いた。ブラジル国境に近い、貧しく、枯れた大地で、移民したみなさんが育て、私たちのために朝から炊き出してくださった「こしひかり」の塩の握り飯には、胸が一杯になった。 私は帰国して何を食べたいかと考えた。美味しいものではなく、美味しく食べたいのだと、ぶどうの葉のロールキャベツを想った。 (東京中日スポーツ・2003.10.17より再録) |
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