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■セブンアイ 恋の終わり
恋は間違いなく終わりに近づいていた。 彼はキャリアを応援してくれたはずが、最近、仕事は辞めてほしいと結婚を申し込まれ、以来、仕事か結婚かに悩み、ぎくしゃくしている、と打ち明けてくれた。「これから傷ついて、また新しい恋を見つけるなんてできりこない」と、彼女は下を向いた。 「これから女子サッカーがW杯出場を決めるメキシコ戦を取材しに行くの。いい試合になるから、一緒に行こう」 後半、5年前、夢を追って米国に渡った沢穂希(アトランタ)が先制ゴールを決める。スタンドの彼女からメールが来る。「どういう人なの?」「米国で活躍するプロ」。しばらくすると、DFで大声を張り上げ仲間を鼓舞する主将について「彼女は?」と来た。「YKKの大部由美さん。第1回W杯から出場。不況で会社を変わっても、サッカーは続けて来た」と、返事を打った。 5日には、標高2200メートルの高地、メキシコシティで過酷な1戦目を引き分けとし、ホームで2−0の完封勝ち。W杯出場決定は参加国中ラストとなったが、待った分だけ、選手と、関係者、ファンの喜びは膨らんだ。 週が明け、友人からメールが来た。 私は相談には乗らず食べていただけだったが、友人は「結論」を出した。私が女性アスリートを愛して止まない理由もまた、友人が踏み出した一歩と同じ根にあると思う。 (東京中日スポーツ・2003.7.18より再録) |
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