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■セブンアイ 手ごたえ
スポーツ新聞の見出しも、最近は「彼女たち」に押され気味ではないか。新聞広告を見ても、中刷りを読んでも、女性雑誌の見出しのインパクトや企画力、色使いや言葉の選び方は、今もっとも勢いがある。 「こんな手術くらい何でもない。痛みに息さえできないときでも、相手と目線が合えば、にらみ返す、作り笑いもする。終わってみれば肋骨3本骨折、そんな試合もある」 時節柄どこもかしこも道路工事ばかりでうんざりするが、先日都内で現場を通過したとき、三角巾で腕を吊った男性が、つるはしを振り下ろす姿を見た。家族はいるのだろうか、どんな怪我なのだろう。暗闇のライトに照らされた横顔もしかし、暗い影ではなく、不由由な腕をものともせずに仕事に没頭する力強さに溢れていた。 手ごたえとは、何かを「行動で」やり遂げようとする過程に生まれる輝きなのかもしれない。もちろん、男も女も同じである。自分は果たして手ごたえのある人間になれるのだろうか。冬の深夜、つるはしを振り下ろす男の背中を見つめて、しばらく考えていた。 (東京中日スポーツ・2003.3.7より再録) |
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