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■セブンアイ 「握手」
フワリと何かを包み込むような、柔らかで温かな感触だったことはよく覚えている。 それがどんな競技であっても、筋力、パワー、これらを体現しているアスリートたちと交わす「握手」には特別の緊張感がある。多くの選手は初対面で右手を差し出す。痛いほど力を込める選手もいれば、ひ弱な握手をする選手もいる。女性の握手など一般的ではないが、力加減が弱いと「取材が嫌なのかな」「体調が悪いのか」とか、強いと「イデデデ、さては話が一杯あるな」などと、勘ぐっては楽しむようになってしまった。 西武のカブレラへの取材の際も緊張した。「手首からヒジまでの筋力がホームランの源」と、上腕よりもこちらが太いほどだ、と書かれた資料を読んだせいもある。ひどく硬くなっていると、まるで何かを包み込むような感触が伝わり、心地よかった。 シーズン開幕直後で、バットの話をした。 打撃の重要な要素に、パワーやフォーム、感覚ではなく、研究を挙げたのも意外だった。特に投手について、「初対面は、その後の全てを決めるほど重要だ。先入観なしに、神経を張り巡らせて相手を見る」。 伝えるのは力と、心か。 (東京中日スポーツ・2002.9.20より再録) |
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