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■セブンアイ 「ロストバゲージ」
釧路空港から見る景色に似ている。サッカー日本代表欧州遠征でノルウェーの空港に到着したとき、澄んだ空と、周囲の豊な森になぜかほっとした……ところまではなかなか良かったのだが、その後が悪い。とっても。 ピタリと止まった荷物ベルトを見つめ、仲間と「ビンゴ!」と、笑う。ない、荷物が。年間十数回も海外出張していれば、ある確率でロストバゲージに遭う。大袈裟な驚きや不運を嘆くより、早くカウンターに行き、荷物の居所を捜した書類をもらう。乗り継ぎのパリで積まれず、次の便で来る可能性もあるといわれ、私はベルトの前の椅子に2時間座って、待つことにした。 誰もいなくなったベルトの周辺でコンピューターが出した6桁の迷子番号と、荷物のタグを照合し、カートで運ぶ男性がいた。迷子になった欧州中の荷物をそうやって「救出」しては正しい路線に戻す。ロストバゲージへのクレームも、ホテルに届けさせることも当然であり、こんな途中経過があることなど、想像したことすらなかった。 「大変な仕事ですねえ」 結局、深夜になってオスロ市内のホテルに荷物が届いた。アフリカも南米も共に旅したスヌーピーのタグの裏に、手書きのメモが貼ってあった。 (東京中日スポーツ・2002.5.17より再録) |
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