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■セブンアイ 「スポーツと音」
原稿を打つ、と書いたら、「原稿は書く、が正しい。あなたは物書きでしょう」と読者から指摘を受けた。ご指摘通り万年筆や鉛筆なら当然、書くと表現することが正しいし、職業は「物書き」である。しかしパソコンでは「書く」より「打つ」が合う。先日、新幹線で原稿を打っていたら、母親、兄弟が隣に座った。 先日「スポーツでも効果が立証済み」とされた耳せんを試供にもらった。ソルトレーク五輪ジャンプで史上2人目となるノーマル、ラージ、両種目を制覇した20歳のアマン(スイス)は、緊張や恐怖心を克服して精神を安定させるために、耳せんをした。彼のメダルは「音」との戦いに勝った結果である。無音ならリラックスできる、と言った。 正反対の例もある。 スポーツと音の関係は、興味深い。 静寂の中で万年筆を使って、原稿を「書いて」みたいとも思う。もっとも、いつも聞いているボールの音、ファンの絶叫や野次がないと「どうも落ちつかない」と、テレビのスイッチを入れてしまいそうだが。 (東京中日スポーツ・2002.3.22より再録) |
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