12月17日


スタジアムより
アジア大会速報の終了のお知らせ

 わずか1週間のバンコク滞在でしたが、この間、マイナー競技の記事にもアクセスをしてくださったみなさんには、17日に帰国することをお知らせしますとともに、心から御礼を申し上げます。
 今年は、よく考えてみれば長野五輪に始まり、サッカーのフランスW杯、そしてこの大陸王者を決めるアジア大会と本当にビッグイベントの続く忙しい1年でした。この3つをすべて取材できたのはスポーツライターとして本当に幸運で、改めてスポーツという存在の面白さや奥深さを楽しみ、これらを勉強することができたように思います。
 16日には、競輪の神山雄一郎選手を取材しましたが、自転車競技についてだけでなく、彼らがどういう思いで、賞金獲得からすればむしろロスにさえなる、アジア大会になど出場していたのか知ることができました。「金よりも名誉、賞金額よりも世界での勝利」という神山の言葉にはハッとさせられました。神山は17日に帰国し、19日にはもう、いわきで行われる記念レースに出場するそうです。 
 バレーは男女とも過去史上最低の成績に終りどうやって立て直しをするのか、それともこのまま五輪にも行けない国になるのか。あんなどん底の時に、協会関係者ゼロ、強化担当者もゼロ、これにはあきれました。
 陸上は盛り上がってます。伊東浩司の100メートル10秒00には驚かされた、というか実際今も驚いたままと言っていいでしょう。9秒台で日本人が走るなんて、考えたことすらありませんでしたから。
 もう1人のこうじ、室伏広治のハンマー投げにも驚きました。ウズベキスタンの五輪チャンピオンに勝った上に今季5回目の自己記録、日本記録更新になりました。彼は今年始めからウズベキスタンに単身留学をし、それこそなーんもないところで世界チャンピオンらとともにひたすらハンマーを投げ続けて来ました。自炊、決していいとは言えないような施設。それでも室伏は楽しかったそうです。会見では、彼は実に堂々とした英語で海外のプレスとも受け答えをしていました。
 いつもはあまり笑わない父・重信さんも、自分が初めてアジアチャンピオンになったのと同じバンコクで、息子が王者になったあの日ばかりはうれしさを隠し切れない様子でしたね。陸連の幹部の話しによれば、「みなさんの前(報道陣)ではなんか難しいこと(技術論)言ってるけどね、我々のところに来て、広治はたいしたもんです、って。みんな笑ってるよ」と、超親バカぶりを披露してくれました。
 12年ぶりにアジア大会に戻って来た女子ピストルの長谷川智子も、オリンピック銀メダリストのタイトルを捨てて果敢な挑戦をしたと思います(7位)。
 大会はまだ20日まで続きます。
 なにぶん1人でやってるもので、十分にお知らせすることができなかったと思います。しかし、このスタジアムではサッカーだけでなく、さまざまな競技を観て、スポーツの楽しさ、怖さ、喜び、残酷さ、ユーモア、何より面白さを「観戦」してもらおうと、年末、年始もできるだけ色々な現場で取材をし、原稿を書き、読んでいただこうと思っています。
 それではみなさま、年末の忙しい時期もそろそろ残り10キロ、もっとも苦しい地点に差し掛かってきました。お体をどうぞ大切に。
 バンコク国際空港にて

スポーツライター   増島みどり

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