12月11日


第13回アジア大会
サッカー 2次ラウンド
日本×UAE
タイ・フアマーク競技場
気温:29度、湿度:50%

日本
UAE
0
前半 0 前半 0
1
後半 0 後半 1
 
ハッサン・サイード:59分

 サッカーは2次予選の最終戦が行われ、準決勝トーナメントに出場の望みをかけた日本はUAEと対戦。ここまで大会11日間で5試合を戦う強行日程の疲労は濃く、後半14分、ハッサン・サイードに得点を奪われ、そのまま1対0で敗れた。韓国の大勝のみ決勝トーナメントに残る可能性があったが、次の試合では韓国が1−0でクエートを下して、決勝トーナメント出場はできなかった。
 天候は、気温も29度とは思えないほど涼しく、湿度もない、絶好のコンディションになったものの、日本は前半からボールを支配しながらもミスが多く、ハーフタイムでは小野伸二(浦和)に代わって、廣山望(市原)を投入。今大会、2次予選に進んでからは結局2得点(クエート)、2試合が完封負けとなり攻撃に課題が残った。
 代表はこのまま帰国し、6月に五輪予選を控える来年は、2月から五輪代表の再集合をかけキャンプを行う予定となっている。

トルシエ監督、今大会を振り返って(抜粋)

「UAEは精神的なプレッシャーのない中で経験を生かしたサッカーをし、我々は逆に精神的にも肉体的にもかなり追い込まれて、勝たねばならないというプレッシャーを受けてしまったように思う。
 確かに目標だったベスト4には入れなかったが、それでもそんなにがっかりはしていない。日本選手は非常に高いポテンシャルを持っていることを証明してくれたし、収穫も多かったからだ。第一に1対1で負けないという強さを持ってくれた。どの試合を通じてもキープ力は相手よりも高かった。その成果が現れたのがこの日の後半の戦い方だった。
 コーチとしても短所、長所がはっきりした。
 このチームに柳沢(鹿島)や、中田、また松田も本来の調子を戻してくれれば、(五輪)年代の中ではすばらしいパフォーマンスをすることは間違いない。来年6月の五輪予選までできる限りこのチームに時間をかけて行きたい」

UAE・ケイロス監督(元名古屋監督)

「6日で3試合を戦うのは、肉体的にも精神的にも非常に厳しいもので、きょうの試合にも芸術的な場面はなかった。その代わり、インテリジェンスな戦術を生かす形になった。わたしの契約は2年。2002年を目指してこの若いチームを主体にする」

「バカンスのすすめ」

 交代した小野について、監督は「彼の今年の日程を見れば問題が疲労にあることは明らか。オフにはバカンスにでも行って体を休めて欲しい」とアドバイスを送った。小野はこの大会予選から含めて5試合すべてで途中交代。「疲れた」とは口には出さないが、ルーキーとしてJリーグに入った年とは思えないほどの強行日程で一年を終えようとしている。
 今年はリーグが3月にスタート。下旬には市川大祐(清水)とともに初めてフル代表に呼ばれ、4月1日の韓国戦に出場。その後も5月のW杯(6月、フランス)国内最終合宿、遠征、フランスでは22人枠に残ってジャマイカ戦に出場を果たすなど、まさに休む間がなかった。
 帰国後には、足首の関節ネズミに苦しみながら痛みだけをごまかすような形でオールスター、JOMO杯、アジアユース、日本代表エジプト戦、そしてこの五輪代表で合宿、試合を行うなど、リフレッシュ、という言葉とは無縁の日々を過ごした。かつて中田英寿(ペルージャ)がベルマーレに入団した年さえ、ここまでのスケジュールをこなしたことはなく、本人も意識しながら「プロ仕様」の心身を丁寧に作り上げていた。土台なしに、しかも大怪我などをせずにシーズンをやり抜いた小野のがんばりは評価される。「彼にとっていい大会ではなかった」と監督は残念がった。もちろん、それが実力ではないことは誰よりも監督が理解しているはずだ。
 小野は「交代は気にしていない」と話し、中盤の展開のないボール運びに「もっと足元にちゃんと当てないと」と、相手のプレスを避けて怖がるあまりどうしてもロングパスを頭ごしに蹴りあうようなサッカーには不満を見せた。トルシエサッカーについても、「もっと個性を出さないと、みな力を発揮できない」とした。
 これに勝ってどうなる、ではなくて試合そのもの、ワンプレーずつへの執着心の欠如を自ら反省材料にあげた。

「もっとも伸びたのは市川」

 W杯に参加した(市川は22人枠には入らなかったが)2人のティーンエイジャーは「明暗」を分けたようだ。
 疲労蓄積という見えない敵と戦い続けなくてはならなかった小野に対して、市川は「多くの課題を与えたが、すべてで100%の力を発揮してくれた」と監督も最大限の評価を与えた。本人は「誉めてもらうことはうれしいが、自分では納得していない」と厳しい表情を見せた。
 アルゼンチン戦では、「サッカーやってて相手の手、指の使い方にこんなに圧倒されたのははじめて」と話していたが、アジア大会でもまた、こうした些細な差、しかし大きな違いを見付けたという。
「アジアのレベルは高い。力のなさを感じました。気持ちだけで技術は動かない、そういうことです」と、テクニカル、メンタル、フィジカル、3つのバランスの重要性を強調していた。

「中盤の構成が頭の痛いところ」

 将来の代表を担う、小野、中村の中盤のコンビネ―ションが機能しなかった点について、監督は「確かに、中村、小野とも高い位置で(攻撃的に)使うのは非常に難しい、ましてここには中田も加わることを考えると…」と頭を悩ましている様子。この日も、ゴール前に小野が入っても、中村からのパスを受けるチャンスがなく、逆でも絡むことができず、2人の司令塔が2つの指示をだすような状況だった。
 中村も「(攻撃が)伸二1人ではちょっと可愛そうでだし、もっとサポートに入らないと」と話し、いわゆる「トップ下」を務める選手の必要性を説いた。中田、中村、小野、それぞれまったく違った個性を持ったMFをどう生かすのか、それとも互いの良さを殺してしまうのか、トルシエ監督にとっては五輪再集合までの宿題になる。

稲本の話「中盤が昨日していなかった。守備はプレスもかけられて一応の手応えはあったのに。UAEの方がしっかりしたサッカーをしていた

福田の話「攻めの戦術が分からない。サイドから崩すのか、真中から崩すのか、あいまいだった」

GK南の話「(前半の衝突で)5針目の上を縫いました。血が出たんですが、そのあと少しぼっとしてしまった。ベスト8くらいまでは行けると思ったのに残念」

中村の話「ボールを回しているだけで中へ持っていけない。ハーフをもっと増やさないと厚みが出ない」

BEFORE
    HOME