2003年10月9日

※無断転載を一切禁じます


サッカー

チュニジア×日本
(チュニジア・チュニス・エルマンザ競技場)

チュニジア 日本
0 前半 0 前半 1 1
後半 0 後半 0

柳沢 敦:39分

 2002年ワールドカップ以来の再戦となったチュニジアとの一戦がチュニジアの首都チュニスのエルマンザ競技場にて行われた。開始早々から、ワールドカップでの敗戦のリベンジを誓うチュニジアは積極的にラインを押し上げ、前線から激しくボールを奪いにきた。そして左サイドのムハビデを中心に素早いサイド攻撃をしかけ、コンビネーション不足が懸念された日本のディフェンス陣を翻弄する。また日本チームがボールを持つ度に大きなブーイングが起こるなど、アウェーならでは雰囲気がスタジアムを覆った。しかし、39分、代表初キャップとなった茂庭照幸(F東京)の前線へのフィードボールが、柳沢 敦(サンプドリア)につながり、抜け出した柳沢が2001年11月7日のイタリア戦以来となる代表でのゴール落ち着いて決め、日本が先制した。
 前半の終わりから運動量の落ち始めたチュニジアに対し、速いパス回しで試合の主導権を徐々につかむ日本。75分過ぎには鈴木隆行(ゾルダー)のスルーパスに、右サイドバックで代表デビュー戦となった加持 亮(F東京)が反応し、GKと1対1に。しかし、シュートは懸命に戻ったディフェンダーにクリアされ、惜しくも追加点はならなかった。その後、試合終盤にチュニジアの猛攻を受けたものの中澤佑二(横浜)を中心としたディフェンス陣が奮闘、試合はそのまま0−1で日本が勝利した。

<試合後のコメント>

ジーコ監督「非常にタフな試合でチュニジアは強かった。最初は堅くなってパス交換にメリハリがなかったが、落ち着いてからは流れるような、持ち味のサッカーができるようになったと思う。惜しむらくは、あと1点追加点が欲しかったことだ。
 DFは昨日の60分の練習だけで今日は十分に機能してくれた。加地はいい形で機能してくれたし、1点取らせてやりたかった。茂庭も時間が経つにつれて本来の良さを取り戻した。
 MFは(中田のFW起用は)ひとつのオプションとして考えていて、可能なら使おうと、中田にも伝えてあった。彼ほどの選手になれば問題ない。藤田の投入で、全体により落ち着きが出て、非常にいいアクセントになってくれたと思う。
 FWの柳沢の点は、彼にとって、チームにとって大きな意味があった。鈴木も地味だが彼の働きは十分に果たした。
(前日練習での停電のことを聞かれて)あれでは、いきなり退席を命じられたようなもので、あのとき、みなさんに(会見で)話をしていれば私自身、何を言い出すかわからなかったので失礼させてもらった。日本ではああいうことはないし、私が疑問なのは、なぜ、チュニジアの練習では停電しないのかということで、(と話しながらまた怒りがこみ上げて)いくらアウェーといっても、あれでは練習も何もできたものではない。今日は本当にタフだが、いい試合だった」

中田英寿(パルマ)「勝ったということに関してよかったと思う。守備面では集中していましたが、攻撃では2点目、3点目をと奪うチャンスがあったのに取れなかったことは、ルーマニア戦への課題になる。(トップに入ったのは)あれはトップではありませんね、ひとつ下(1.5列目の意味)。難しいことではないし、これまでも何度もやっていることで特別な違和感はなかった。(藤田の交代によってなったのか? と聞かれ)いいえ、試合前からジーコ監督には言われていました」

三浦淳宏(東京V)「チュニジアの両サイドがあれくらい、もうしつこいというくらいサイドに張って攻め残っている状態では、僕も加地も簡単に上がっていけるような状況ではなかった。その中で、とにかく失点だけは抑えようと、今日は守りきることに集中をし、それができたことは、1時間も練習していない僕らにとっては合格でしょう」

中村俊輔(レッジーナ)「アウェーで勝ってよかった。(ボールを)回されている時間が長くなったが、集中し、最後までバランスよく、今日は守備が良かったと思う。移動距離は短いので、コンディションは厳しくはない。ルーマニア戦は、向こうのボールが多くなると思うが、何とかいい試合をしたい」

茂庭照幸(F東京)「最初は雰囲気に飲まれてしまったけれど、段々と落ち着いてプレーできた。(柳沢へのアシストは)あれは前がすべて見えていました。(でも鈴木を狙ったんじゃないのか、と聞かれて)いえ、そんなことはありません。鈴木さんの後ろから、柳さんが飛び出して裏に抜けるのもちゃんと見えてましたよ、ということにしてください(笑)」

中澤佑二(横浜)「よくもった。今日は対人だけでは負けないように、と連携よりも、まずは人に負けないようにして守りぬこうと話し、よく声を掛け合って行こうと話していました。中盤が狙われていたので、ボランチに預けるよりも、前へ直接長いパスを出して思い切り行こうと思っていた。あれをちゃんとやらないと、岡ちゃん(マリノス、岡田監督)に怒られるんです(笑)」

加地 亮(F東京)「自分の対面するサイドの選手がとてもトリッキーで、なかなか上がるタイミングが難しかった。最初はちょっと飲まれてしまったけれど、後は思い切りやろうと思っていた。(GKとの1対1のチャンスは)あれを決められないと、まだまだですね」

柳沢 敦(サンプドリア)「勝ちにつながるゴールだったことが嬉しい。(中盤とFWの連携もよくなったようだが)僕の考えでは、試合は毎回違うものなので。ただ今日に関してはとてもよかったです」

鈴木隆行(ゾルダー)「左足首を捻ったとか(重傷では)ないと思うけれど、痛いのでアイシングをして明日様子を見ます。個人としては、1対1、ロングボールが多く、満足の行く内容だった。グランドは見た目以上によくなかった」

小野伸二(フェイエノールト)「稲本と2人で上がり過ぎないようにそれを注意した。ミスも多く、チームとしての出来はよくなかった。ただ欲しかった勝利なので、それは良かった。(茂庭の初代表は)僕が何か言わなくても、とても落ちついていて立派だった」

藤田俊哉(ユトレヒト)「交代のとき、ウイングバックに入れと監督に言われて、え? そんなポジション今ないでしょう、と思ったけれど(笑)ニュアンスの違いだったんでしょう。外から見ていて、もう少しためをつくってあげれば、サイドが余裕を持って上がってこられると思い、そんなイメージでボールを回した。(1本シュートチャンスがありましたが)あれは、俺の距離感じゃなかったんだけど、周りから見れば、足くらい出せということかもしれないけれど、あそこで間に合うとオフサイドになる。ただ来ただけ、ではなくて、やってみなければわからないこともあるし、次はもっと長く試合に出ていたいと思う」



読者のみなさまへ
スポーツライブラリー建設へのご協力のお願い


BEFORE LATEST NEXT