2003年3月27日

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サッカー

日本代表 ウルグアイ戦前日練習
(東京・国立霞ヶ丘競技場)

 28日にウルグアイとの親善試合を控えている日本代表が国立競技場で練習を行い、GK川口能活(ポーツマス)、DF名良橋 晃(鹿島)、秋田 豊(鹿島)、森岡隆三(清水)、服部年宏(磐田)、MF小野伸二(フェイエノールト)、稲本潤一(フルハム)、中村俊輔(レッジーナ)、中田英寿(パルマ)、FW鈴木隆行(ゲンク)、高原直泰(ハンブルガーSV)の布陣で最終調整に臨んだ。
 昨年、W杯後にジーコ監督が就任して以来、ジャマイカ戦は引き分け、アルゼンチン戦は完封負け。3試合目で初勝利を、と米国遠征の代替となったホーム戦に、選手のモチベーションが高まっている。

◆ジーコ監督の会見から(抜粋)

ジーコ監督「今回初めて4日間の合宿を行ったことが集大成として出てくれればと願っている。これからひとつずつ試合を積み重ねて行くわけで、それぞれが消化したものを発揮して欲しい。先発メンバーじゃジャマイカ戦とほぼ同じだが、福西、三都主も大変調子がよく、彼らが交代で日本の勝利を奪いとるような働きをしてくれれば、チャンスをつかんでくれればと思う。中田、稲本、小野、中村には、できる限り長くプレーをして欲しいので、40分でも45分でもいい、4人での流れが作るプレーを実際にものにしてもらい、後は、当然怪我もあるわけだから、無理強いはしない。中田は、チーム内に置けるスポークスマンでもあり、グランドの中ではオブザーバーでもある。彼は、私が考えるサッカーや役割を理解している。もちろん、彼だけがというのではなくて、全員がこのチームのキャプテンである。
 (イラク戦争についての質問に)個人的に、やりきれない思いだ。私たちはスポーツという世界でひとつの平和を分かち合っているし、いい意味での戦いを続けることができる。しかし、今同じ、この時間に、人々が殺し合い、幼い子供が命を落としている。愛と平和とは何なのか、今一度、みなさんと、私も、一緒に考えなおすべきだと思う」


「声出し」

 これまで4年の代表ともっとも大きな変化をあげるなら、シュート練習に費やす時間の長さであろう。鹿島でスタートしたこの合宿では特に、練習の最後に、ヘディングであったり、ターンしてのシュートであったり、GKとの1対1(川口は2日目、この練習中にまゆの上を負傷)と、バリエーションはさまざまだが、とにかく練習の最後はシュートで終わる。「もっと低く」「GKの位置を見て」「軸足を上手く使え」……。この日の国立競技場の練習ではゴール裏でシュート練習を見ることにしたが、強風の中でもいわゆる「ふかした」シュートが全くなかったことは、彼らのレベルにあってもなお、ちょっとした意識づけがどれほど重要なものなのかを示している。

 気の毒なのは、これまでとは違い、最後の最後に、かなり厳しい、シュートを受ける練習をしなくてはならないGKである。
「かなり大変ではありますが、生きた最高のボールでもあるわけですから」
 明日、昨年の5月以来の代表先発が予想される川口は言う。ジーコ監督も大声で「アリガト、ゴールキーパー!」と叫び、握手を交わして練習を終えていた。

 ピッチレベルの至近距離で練習を見ながら、選手が意外なほど「静か」なことにも気が着く。時差の厳しいころ、強風で集中力が奪われていくこともひとつの要因だが、練習後、テレビの会見に臨んだ中田は言った。
「自分達の問題点が出てきたことに意義がある。一番感じているのは、指示の声をお互いにもっと出さなくてはならないと思う。今日の練習もみな無口でやっているような感じがしたし、もう少し、声を出そうとみなと話す。士気を高めるためにも勝ちたいし、課題の修正をしておくことが大事だと思う」
 声や指示といったコーチングの初歩的なプレーの徹底を中田が繰り返すのは、一言を発しなかったために、あるいは発したがゆえに、結論が正反対に変わる辛酸をいやというほどなめているからだろう。
 黄金と呼ばれる中盤の今回の修正点はと問われた主将が、泥臭い「声出し」を徹底させるという辺りがなぜかユーモラスでもある。

 ウルグアイは、まだチーム結成後の練習が少なく、試合では個人技に頼らざるを得ないという。エース、レコバ(インテル)は「日本との対戦は非常に楽しみ。ナカタもいる。世界有数のスピードを誇る国だから」と練習後、話していた。


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