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※無断転載を一切禁じます サッカー 日本代表、ジャマイカ戦前日練習 ジャマイカ戦を16日に控えた日本代表は、集合2日目、午後5時過ぎから練習を行い、ランニング、体操に続いて、この日はDFも含めたセットプレーに重点を置き、カウンター、フリーキックからの展開を小野伸二(フェイエノールト)、中村俊輔(レッジーナ)、コーナーキックを中村ら、またPKは中村が蹴るなど、約2時間の練習でさまざまな局面での約束事をチェックした。最後はミニゲームで締めくくり、先発は、これまでの予告通り、GK楢崎正剛(名古屋)、DFは4バックで名良橋 晃(鹿島)、松田直樹(横浜FM)、秋田 豊(鹿島)、服部年宏(磐田)、MFは、ボランチに稲本潤一(フルハム)、小野、攻撃的MFに中村、中田英寿(パルマ)、トップは鈴木隆行(ゲンク)、高原直泰(磐田)となることを、ジーコ監督が自ら明らかにした。2006年ドイツW杯を目指す新生日本代表は、W杯最終戦となったトルコ戦(6月18日)から4か月ぶりにファーストマッチを迎える。 ジーコ監督の会見(要旨抜粋)「ジャマイカ戦を、自分の新しいスタートとして大事にしたいし、選手のこの2日の練習には本当に満足している。(戸田和幸を外したこと、秋田を入れたことを聞かれて)私は先のことは全く考えていない(その時にいい選手という意味)し、年齢のことも考えない。中盤の4人には、私が82年の代表(ジーコ、ソクラテス、ファルカン、トニーニョ・セレーゾ)で経験したことを押し付けるつもりはない。小野、稲本には守備的に、中田、中村には攻撃的にという約束事はしたが、うまく行くかはまだわからない。中田をキャプテンにしたのは、キャプテンはコイントスだけが仕事ではないからだ。本人も喜んでいた(やりがいを感じていたようだ、との意味)と思う。マスコミと彼の問題は、みなさんと解決してほしい。キャプテンには、服部、秋田、稲本、小野、楢崎、松田、みな適任だと思っている。ホームでやるゲーム、たくさんのファンも来るので楽しんでもらいたい」 主将となる中田英寿「今回の代表は前回と変わり、98年の選手が入ったり新しい選手もいるが、雰囲気はとてもよく、いい感じで明日(ジャマイカ戦)を迎えられると思う。中盤にはクオリティの高い選手がいるけれども、4人でできるわけではないし、サッカーは全員でやるもの。(主将について)よく(選ばれた)状況はわからないが、特に(自分が褒められたことに)興味はないし、今まで通りにやるだけだと思っている。ジーコ監督からは、1回1回の合宿は短いので、もし疑問があるならば質問をするように、と言われている。(合宿)2日で初戦なので難しいこともあるが、今回一緒に時間を過ごすことができて、それぞれがやりたいことを出せればイメージが合ってくると思う」 ◆中田英寿の一問一答: ──ジーコが監督になったことは驚いたか ──パルマにまだ残るのか ──―中村とは話したか 小野伸二「うまく行くかはまだわからないが、持ち味を出したいと思う。フリーキックを蹴らしてもらって気持ちがいいです。稲本とは(ボランチで)しっかり声をかけあって、両方で出て行くことのないようにしたい。まあみんなゴールしたいっていう気持ちがあるんで、今日も気がつくと、(稲本と)両方で上がっていて『おい、おい』って場面がありましたね。明日は僕もすごく楽しみです」 稲本潤一「中盤は確かに厚いと思いますが、サッカーは全員でやるものだから、4人の力だけでどうにかなるわけではない。ボランチとして、まずは守備からしっかりと試合に入っていきたい」 中村俊輔「1人がどうこうするのではなくて、全員でやることが大事だし、個人の持っている力を出すことだけじゃなくて、みんなのいいところを互いに引き出すことが重要だと思う。4人じゃなくて11人で考えたサッカーをしたいし、1点取って評価されるのはFWの仕事だと思う。自分の色を出して、個性を出せれば。中盤でも、前からも、後ろからも、どこでもシュートチャンスを作るサッカーがベストです」 名波 浩「新しいユニフォームを着て、最初のキャンプにこうして参加できたことはとても嬉しい。試合の最初から出ることはないと思うが、4人のプレーを見ているだけでも刺激になると思う。ジーコからはコンディションのことを言われたくらい。攻撃は個性を出す一方で、守備はやはり組織的にやらねばならないが、まだそこまで徹底できる時間がないからね。トルシエと同じで、まだ教科書の1ページ目でしょう」 高原直泰「中盤と前(FW)の関係もうまくなっているし、いい感じです。僕もいい形でボールがもらえるようにコミュニケーションをしっかり取りたいと思っています。別に初めてではないので(中盤とのこと)不安もないですし、自分の仕事、点をしっかり取って、今の自分を精一杯表現したいと思ってます」 中山雅史「ジーコ監督は自主性を非常に尊重していて、どのプレーも判断を任されていることが、逆に厳しさにつながっているんじゃないかと思う。新しさ、勢いを明日の試合で見せたいし、チームには活気が溢れている。(海外組に)プレーの大きさを感じますね。(リーダー役では、と聞かれて)年齢はそうでも、サッカーは関係ありませんし、むしろ、彼らのほうが新チームをどんどん引っ張ってくれるでしょう」
「見るべき場所は……」 「黄金のカルテット」「黄金の中盤」と、中田、小野、稲本、中村の4人が作る中盤はファンを虜にするが、ジーコ監督の「視線」が本当はどこにあるのか、この日の練習ではそれが明確になった。セットプレーはまずDFの確認から入る。山田暢久(浦和)が蹴るコーナーキックを、レギュラー組が守る形で行われたが、この4年とは「180度」違ったコンセプトだった。トルシエ前監督は、フラット3と言われる戦術をゴール前、とりわけセットプレーでも「ゾーン」での守備を徹底していたが、この日の練習ではマンツーマンを敷いていた。 「各クラブでは、みな人につく守備(マンツーマン)だから別段難しいことはないし、むしろ、通常通り、普通にやればいいということ。もちろん、マークは徹底しなければならないけれども問題はない」 コミュニケーションの主導を握るのが、秋田である。秋田は、練習中も、ジーコ監督よりもはるかに響く声で、全体に、個人に指示を出すなど、戦術に置ける「イズム」を短時間で浸透させることに力を注いだ。
(東京・国立霞ヶ丘競技場)
中田 いいえ。すばらしい選手だったし、いい監督だと思います。
中田 たぶんそう思う。確かに難しい試合もあるが、これからよくなるところだ。
中田 お互いよくわかり合っている。ファーストマッチなのでお互いに難しいところはあるかもしれないが、4−4−2でのサッカーは始まったばかりだ。
左サイドで出場の予定の服部は練習後そう説明をする。トルコ戦では、「あそこに上げられては手はなかった」と、W杯8強をかけた試合でセットプレーから決勝点を奪われたGK楢崎も「戸惑いはない」と話す。この日、練習4本のコーナーキックのうち2本を柳沢 敦(鹿島)、福西崇史(磐田)にヘディングで入れられたが、それも「ニアはゾーンもマンツーマンでも危険な場所」とし、「マンツーマンでがっちり当たっていくぶんだけ、DFのお陰でかなり絞られたボールになるはずです。きっちりと止めたいし、コミュニケーションを取りたい」という。
黄金の中盤については、ジーコにも心配はないようだ。一方、攻撃を任せても守備はかなり綿密に約束事を徹底して行かなければ、守りきれない。ブラジルのロナウド、リバウド、ロナウジーニョの「3R」に目を奪われる影で、ブラジルの、GKを中心とした守備のレベルは取り上げられなかった状況と似ているのかもしれない。ジャマイカ戦では、「黄金」を支える、秋田、服部らの「いぶし銀」DFが、ジーコジャパンの屋台となるはずだ。
この2日間の練習中、ジーコはほとんど話さず、選手はよく声を出しあい、互いに連携を指摘し合い、じつによく笑っていた。おそらく、ファーストマッチの緊迫感の中でも同じ様に。
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