「なんの騒ぎ?」
朝の6時45分に、花束を持った女性がかなり歳のいったおじさまばかりを出迎え、関係者は涙ぐまんばかりに、ロビーでは大きな拍手が沸く光景など、想像してください、と言ってみても、なかなかできませんね。しかも、「祝、FIFA理事」なんて手作りの横断幕まで、これもかなり歳のいったおじさんたちが掲げているわけです。
お盆の帰省が始まる頃ですから、ロビーは混雑していましたが、みなさん「何のこっちゃ?」という表情で、たとえば、代表が帰国するとか、ジーコ監督が来日するとか、そういったときとはまるで違うリアクションのギャップがとてもおかしくて、ほとんど眠ったままの記者たちと笑い合ってしまいました。
輪の中にいた川淵会長は、出発のときにも見送った記者たちの姿を首を回して捜していました。こちらを見つけると、大きく手を振り、頭を下げるのです。
3日前の出発で、スポーツ新聞の記者のみなさんと何か陣中見舞いを考えました。
必勝のお守りは取りに行く時間がなく、いくら何でも「三浪」しているだけに、湯島天神の合格祈願というわけにもいかないだろう、と頭を悩ませ、ではお菓子、ということになりました。
「勝ち栗」と、紅白の「金平糖」です。
「みなさんにいただいたお菓子を食べて選挙に臨んだのがよかった。出発のときに、帰国したらもの凄く早い(早朝)けど、来てもらって笑顔で会見できるようにしたい、と話した通りになって本当にうれしい」と会長は、会見の冒頭で話していました。
ちゃんとマレーシアまで運んで届けていた会長にも驚きますし、金平糖や栗のお菓子を、65歳のおじさまたちが、選挙前夜、なにやら難しい票読みをしながら、もぐもぐ食べていたかと思うと、微笑ましいというか、笑っちゃうというか、とにかく、川淵会長や小倉副会長は、そういう人たちです。
こうした人柄は、選挙では必ずしもメリットになりません。過去の選挙では、相手の口約束や裏切りといったものに翻弄されてきました。日本にとって、競技力が向上し、W杯に出場を果たし、決勝トーナメントに進出したとしても、もうひとつだけ叶っていない「国際レベルの悲願」が、このFIFAの理事に入ることでした。アジア連盟の票まとめは、世界でもっとも難しい選挙と揶揄されるほど、政治、宗教、経済が絡んだものです。
今回は「東アジア連盟(9か国)が発足したことが本当に大きい。結束して8票が単記投票で入れられた」と会長は振り返りました。韓国が入ったこの連盟の力、アセアン諸国に対抗する力(マクディ氏はタイ)、またネパール、ベトナムなどの南アジア、最後まで参加がわからなかった北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)も日本に大きな力をもたらしました。
小倉氏の初仕事は、9月23、24日、スイスの本部で行われる理事会になる。
当選後、すぐに、アジアからはドイツW杯5枠(今回は日韓を加えて4)を実現したい、とし、小倉氏によれば、ドイツW杯の予選は、第一ラウンドは、強豪のシード国をのぞき、セカンドか、ファイナルラウンドから日本などが出場、ホーム&アウェー方式で行なわれるかもしれないとの見通しだという。また、サッカー後進国への援助など、アジアの中でも日本が占める位置が、ベスト16とともに変化を遂げることになります。
さて、早朝会見に出席した私は、やたらと荷物が多く、場違いでしたが、これから欧州出張に参ります。W杯が終わり、さすがに今年はのんびりできるだろうかと期待を抱く前に、とんでもない日程がまた始まってしまいました。14日、田村亮子選手の取材で福岡に行きましたが、亮子ちゃんにも「体に気をつけなきゃだめですよ」などと励まされてしまいましたが。
今回は、10日ほどの予定で、Jリーグ最終節を見られないのが残念ですが、あちらでがんばるみなさまの活躍にも大いに期待をしています。
厳し過ぎる残暑が続いています。みなさまもどうかお体を大切にされて、残りの夏を過ごされてください。
それでは、超早朝の成田空港にて、みなさまの健康を心からお祈りして。
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