8月11日
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サッカー
川淵会長がAFC総会へ出発
(日本サッカー協会)
川淵三郎・日本サッカー協会会長が午後、マレーシア・クアラルンプールで開かれるAFC(アジア連盟)総会に出席するため、成田空港から出発した。14日、現地ではアジア連盟選出のFIFA(国際サッカー連盟)理事選挙が行われ、小倉純二副会長が立候補をしている。過去、川淵会長が副会長時代、また小倉氏が2度など日本サッカー協会から4度の立候補をしながらいずれもアジアの複雑なパワーバランスの陰で落選してきただけに、会長も「今回はなんとしても(FIFAの理事を)出して、今後は10年かかって新しい世代を育てるなど、いい流れを続けていきたい」と、就任後初の海外遠征となる出張に意欲をのぞかせた。日本協会は、野村副会長をはじめ、選挙参謀が現地入りし票読みをしている。韓国、中国、日本が中心となった東アジア連盟が発足したこともあり、日本から初のFIFA理事が誕生する可能性は俄然高くなった、と見られている。
W杯を開催した日本も、これまでFIFA内における政治力では難しい面もあった。しかし、地道に、アジア内の普及や強化活動に奔走してきた小倉氏の功績も高く認められており、「これでもしダメだったら(選挙の結果が)もう画期的なものを考えるしかない」と、会長は話す。
日本サッカー協会にとっては、この10年、競技の爆発的な発展とともに、国際的政治力の強化は大きな課題であった。多くのことがなされていく中で、唯一FIFAの理事選だけは、いわば「のどにつかえた魚の骨」のような存在として、関係者がさまざまな策をめぐらせてきたものだけに、14日の結果は、サッカー世界にとって、もうひとつの「世界ランキング入り」をかけた重要なものとなる。
川淵会長「情報はそれぞれ入っているが、まずまずで、今回は1年をかけ、さらにここ1か月は集中的にやってきた。ベストは尽くしたと思う。(10日来日したジーコ監督の件)試合をやりたいということだから、やることになるだろう。韓国との定期戦の話もあるにはあるが、日程が難しい。10月のジャマイカ戦ほかでは、今集められる(他国の)代表はいない。(Jリーグも最終戦の争いになり)こんなに注目されていると思うのに、テレビがゴールデンタイムでやらないのはどうしてかな。やってダメならわかるけど、22日(五輪代表、上海遠征での親善試合)はゴールデンタイムにやることになった(CX系)ので、その結果を試金石にしたい」
Jリーグ1stステージ第14節
鹿島×横浜FM
(茨城・県立カシマサッカースタジアム)
天候:霧、気温:23.6度、湿度:86%
観衆:31,929人、19時04分キックオフ
鹿島 |
横浜FM |
2 |
前半 0 |
前半 0 |
1 |
後半 2 |
後半 1 |
53分:アウグスト
75分:本山雅志 |
ナザ:70分 |
試合データ
鹿島 |
|
横浜FM |
17 |
シュート |
17 |
0 |
CK |
4 |
14 |
FK |
24 |
0 |
PK |
0 |
1stステージ全勝での優勝を狙った横浜FMは、前半から鹿島の高いプレッシャーを受けながら主導権を握れない試合展開を強いられた。後半8分、本田泰人―本山雅志と右からゴール前に入ったボールをアウグストに決められ先制される。その後、コーナーキック(奥 大介、後半25分)から最後はナザが決めて同点とするが、5分後、GKからの連携のミスをミスを突かれて本山に決勝ゴールを奪われた。これで横浜FMの勝ち点は32のまま、磐田は33と、首位を1点逆転された。Jリーグ1stステージは最終節の清水戦(国立、磐田は柏)に優勝が持ち越されるスリリングな展開となった。
「最後の影踏み」
1点差で敗れ、初の黒星を喫した横浜F・マリノスの遠藤彰弘は「正直言えば、ちょっとだけショックだけど」と、笑いながら首をすくめた。そして続けた。
「こういう試合もある。入りそうで入らない、つかめそうでつかめない。実はそんな試合を自分たちがここまで拾ってきたんだと、よくわかるような気がした。難しい試合を拾えなかったけれども、落ち込んではいないし、諦めるわけがない」
松田直樹もロッカーに戻るなり、「まだまだあるよ、全然終わってないよ」と手をたたいてチームメイトを鼓舞したという。
「チャンスがあっても運がない。チャンスがなかったのに運があった試合もある。そういうのがサッカーかな、と思う」と、振り返った。遠藤、松田のコメントは、実はこの試合を分析したものでありながら、一方では、今シーズンの自分たちのサッカーを敗戦によって、極めて冷静に、初めて客観視できたものでもあった。
磐田との「直接対決」で全勝街道を歩き出したのは4月20日(3-1)だった。W杯を挟んだとはいえ、約4か月の間、まるで互いの「影踏み」をするかのような戦いは、かつて経験したことのない、不思議なプレッシャーを両者に与えていたのではないか。
つまり、自分たちが強いのか、弱いのか、一体どこが武器で、何が残る欠点なのか、V争いをする強豪との直接対決がないだけに、結果が出ているにもかかわらず、冷静に客観視ができないという不思議さである。松田も、「プレッシャーはお互いにあるものだと思うけれど、できるならば、同じ時間のキックオフがよかった」と、影踏みの本音を漏らしていた。
全勝を鹿島に止められたことは、むしろ、ラストマッチへの強い動機になったのではないかと思う。最終節を前にしての首位逆転は、互いに踏み続けた「影」がやっと「実体」になったことを意味していたのかもしれない。
マリノスにとっても、ジュビロにとっても。
鹿島のしぶとさも、2ndステージを早くも占いたくなるようなものだった。試合前から濃霧が出て、気温が下がり、そのため高い位置からのプレッシングサッカーが効果的に機能した。「寒くなれば鹿島」は、どのチームも鹿島を恐れて言う話だが、どうやら今年も前線の上昇には警戒が必要のようだ。
決勝点を決めた本山雅志「相手が強かったので自分たちのモチベーションが上がった。それが勝因だと思う。(得点の場面は)ボールを取ったあと、中を見たら味方がいなかったので、勝負に行って思いきり打った。高い位置でボールを取れればと狙っていたので」

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