![]() |
![]() |
※無断転載を一切禁じます サッカー 日本代表ジーコ監督来日 ブラジルに一時帰国していたジーコ監督がこの日午後、パリ経由で成田空港に到着、今月の五輪代表上海遠征等、いよいよ「代表監督」としての仕事をスタートさせる。ジーコ監督は、現在希望している「毎月国際マッチを入れて実践的な強化を」との意向を受けて、サッカー協会が10月16日にジャマイカとの親善試合(横浜)を組んでいることについて「(重要なのは)相手ではない、試合をすることだ」とし、すでに決定しているアルゼンチン戦(11月20日)以前にジャマイカとマッチメークすることに意欲を見せた。 ◆囲みでの会見(要旨抜粋) 「協会と今後の予定について話し合ってからみなさんにお話したい。静岡での合宿(U-21)には行くことにしているし、中国遠征(上海)も行く。日本が勝つように応援したい。注目選手については、かつて名前を挙げたことはないので、今回もそうしたいと思う。(ジャマイカ戦について)協会には試合をすることをお願いしていて、大事なのは相手ではなくて試合をすることだ。ジャマイカと決まれば試合をしたいし、相手は(どこでも)気にしていない。試合をすることが目的なのだから。メンバーについては、必ず代表でベストなメンバーを選ぶ。FIFAのルールで認められている年に何回か(保障されている試合数)を呼んでいきたい。今、海外に移籍している選手と話す必要や予定はないし、今後も特に考えてはいない。システムについても、まだそういう話をしたことはないし、自分の考え方は、その時点でどんな選手を呼んでいて、どの駒を持っているか、で考えている」
「たかが立ち話だけれど……」 お盆休みの本格的なスタートとなったこの日、空港は出発、帰国ロビーとも混乱していたが、ジーコが帰国した時間帯は混雑のピークとなった。 車の前で、混雑するロビーで、交通機関で歩きながら、あるいは車の窓を開けながら、こんな形で監督のたった「ひと言」を取ることがずいぶんと久しぶりで新鮮だと思った。そして、言葉や囲みの会話にはおざなりではなくて躍動感があると感じた。立ち話、囲みの会見などと呼ぶ形でのインタビューは、選手、監督の一存で強制はできない。メディアをどう思い、どう扱おうとしているか、大きな会見とは違って「本音」がもれることもあれば、よくも悪くも感情の揺れが露骨に出ることもある。 ジーコ監督はこの日、バンの前で「その時点で選んだ選手、私の駒にどんな選手がいるかが重要だ」と、システム以上に、「駒」=タレントの重要性を強調した。
(千葉・成田空港)
また、代表に海外でプレーをする選手をどう招集するかについても、「FIFAルールで保障されている最大限を使って、その時々でベストのチームを作る」と、FIFAで代表での拘束が認められる試合数すべてで、海外でプレーする選手を呼ぶ方針も示した。
監督は、10日はテレビでJリーグを観戦。11日は、鹿島対横浜FMを視察し、12日には協会で強化担当と日程、組織などの詰めの話し合いを行う予定。山本昌邦監督率いるU-21代表の合宿も「あくまでも観察する立場で」(ジーコ監督)参加するとした。
カメラマンやメディアの数に驚いたツーリストから「ジーコだって!」と大歓声があがり、子供たちもお父さんに肩車されてひと目見ようとする。
「なんか、普通の人って感じ」
「思ったよりもちっちゃいね」
「手を振ったら、返してくれた」
「洋服が普通」
などなど、さまざまな感想が感激の声と錯綜するなか、スポーツ新聞をはじめ、ペン記者たちは、サテライトで聞いた簡単な話ではなく、もうひと押し、と一緒にドタバタと駐車場まで追いかけて行く。「今日は会見もしません」としていたはずが、ジーコは車にトランクを積むと、「話しましょう」と排気ガスと熱気の漂う地下駐車場で丁寧に質問に答え始めた。
ファン、メディアとの関わりを最小限に留めたこの4年の「仕切り」から、どんな風に選手、監督とファン、メディアの関係が変わるのかは、実はピッチのシステムと同じように楽しみである。
トルシエ前監督はその揺ぎない信念のもと、肉体的ハンディを埋める「フラット3」といわれる守備の「システム」を重要視し、そのサッカーに対して選手をあてはめて行った。
どちらの良し悪しではなく、ジーコ監督が極めて根本的なポリシーの相違、サッカーへのアプローチを、さり気なく話していたことに深い興味を抱いた。
車の排気ガスをみんなで思い切り吸い込んではいたけれど。
しばらく、監督をドタバタと追いかけなくてはいけないかもしれない。もちろん、ジーコ監督の信念と同様、「常に楽しみとともに」ありたいところだ。
読者のみなさまへ
スポーツライブラリー建設へのご協力のお願い