5月29日
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サッカー
小野選手の病状について
(静岡・森町、メディアセンター)
日本サッカー協会強化推進本部事務局の加藤彰恒部長が29日夜、ブリーフィングを行い、27日に疲労からくる腹痛と診断を受けていた小野伸二(フェイエノールト)の病状について、「もう治ったということで、今晩(29日)午後10時には合流します。現時点で、病名については27日の診断通り“腹痛”ということです」と虫垂炎の疑いがあることを否定した。しかし小野は27日に疲労からくる腹痛なので大丈夫との診断を受けたあと、28日になって再度、埼玉県川口市内の病院で再検査を受けた。さらに29日になって午前中にもう一度検査を受けており、3日間で3回の精密検査を受けたことになる。関係者の話によれば、発熱した時点で虫垂炎の疑いがあり、開腹手術をするか、抗生物質で散らすかの選択をこの2日間でしていた、とされる。結果的には開腹手術を免れ、抗生物質の投与によりこの日の退院となった。小野は午後10時過ぎに川口市から車で代表合宿に合流。30日の静岡産業大学との練習試合には欠場するが、加藤部長は「4日の初戦には問題なく、選手の入れ替えもしない」と話した。
なお、開腹手術を受けていた西澤明訓(C大阪)はこの日からすべてのメニューに参加、柳沢 敦(鹿島)は手の具合もよくなり、近い内にギプスも取れるとのこと。
「ストレスと盲腸」
不思議なのは、西澤、小野と偶然にしても2人がほぼ同じ時期に虫垂炎になっていること、体調の不良が選手に続いていることだろう。専門医によれば、ストレスと盲腸の痛みとは密接な関係があり、例えば、普段よりも強いストレスや、疲労を感じた場合、突如痛みが発生することはあるのだという。
ほかにも、腹痛には、過敏性の大腸炎など、ストレス性のものはあるが、こうした症状の場合には発熱を伴うことはない。このため、「小野選手が発熱をしていた時点で、すでに医師は虫垂炎を疑っているはずで、疲労から来る腹痛で終わりというのは考えにくい。このため、抗生物質で散らすか、開腹するかを決定しなくてはならないために、2日間入院して検査を受け、最終的に薬で散らすことが可能なレベルのために、退院となった」と、事実関係が公表されない中、一般的な治療方法を説明した。
またほかの医師も、「慢性の虫垂炎という可能性もある。もともと、こうしたケースでストレスを受けた場合、再発し、今回はそれが重かったために、手術をも視野に入れたのではないか。いずれにしても、疲労から来る腹痛というのは、病名ではないのでなんともいえない」とする。
今回、2人が同じ時期に虫垂炎になったことは、スポーツのさまざまな観点からも、注目されるものだろう。
29日午後10時、協会が今回の小野の病状についての時系列の説明を行なったところによれば、25日のスウェーデン戦後に腹痛を訴え、26日昼、日本代表の宿舎(磐田)近辺で検査を受けた。午後には、東京に移動し、この後、川口市内の病院に「入院」。27日は再検査と治療にあて、この日夜に、協会から「疲労からくる腹痛のために休養する」と発表があった。
翌日28日も治療と休養にあて、レッズのチームメイトだった福永がひざの手術のために入院していることから、これをお見舞いがてら、自分は病院内で休養をしていたという。29日になって、午前中は外出、午後3時からさらに再々検査を受けて、5時に退院となった。
この日は、川口市内の病院から車で退院した小野の姿が生中継で放映されているが、「扱いは外来で、入院ではない」ということで、日本での家はない小野が、「通院しながらベッドを借りた」院内通院、という扱いになると、協会は説明している。いずれにしても、最初から事実にもっとも近い話をストレートに言っておくか、相手国への情報操作という高等戦術のために嘘をつくならつき通すか、中途半端な情報公開は、ドタバタ感を増すばかりになる。
小野は明日、練習には参加するが大事をとる見込みで、「6月4日には問題ない、選手の入れ替えもない」と、協会は話している。

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