5月24日

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サッカー

スウェーデン戦前日
(東京・国立霞ヶ丘競技場)

 25日のキリンチャレンジ杯スウェーデン戦(国立競技場、19時20分キックオフ)前日、日本代表・トルシエ監督の会見と、練習が30分公開された。監督は、会見の中で初めて代表23人の選考に触れ、中山雅史(磐田)、秋田 豊(鹿島)のベテランの加入について、「人間的にしっかりしている。若い世代の持っているスピリットに、彼らの経験を合わせた理想的なグループになった」と話した。
 また、昨年のコンフェデレーションズ杯以後、監督自身がさまざまな発言をしてきた中田英寿(パルマ)について「最近の彼には大満足している。中山、秋田と3人でチームを引っ張ってほしい」と、全幅の信頼を置くリーダーとして認識していることを明言。「今は、練習中に怒鳴ることも、指示することも何もない」と、チームがW杯に向けて理想的な状態にあることを強調していた。
 また、午後6時半からの練習では、DFからの攻撃の組み立てをするメニューが公開された。中田と柳沢 敦(鹿島)、小笠原満男(鹿島)と鈴木隆行(鹿島)、森島寛晃(C大阪)と中山といった「中盤とFW」が組んで、DFからのボールを一度受け、これをサイド(右に市川大祐(清水)、稲本潤一(アーセナル)、福西崇史(磐田)、明神智和(柏)、左は小野伸二(フェイエノールト)、三都主アレサンドロ(清水)、服部年宏(磐田)、戸田和幸(清水))に展開。サイドからゴール前に戻してシュートする形で約20分、フィニッシュまでの練習が行われ、ここから非公開となった。監督から信頼を寄せられる中山は、この練習でもダイビングヘッド2回を決めるなど、溌剌とした動きを見せていた。

    ◆トルシエ監督(要旨抜粋):

「(中山、秋田を選んだのは)人間的にしっかりしているからだ。そしてこの招待はプレゼントではない。試合に出るメンバーは90%決まっているが、(2人には)いつでも入れるように準備しろと言った。明日の試合(スウェーデン戦)には全員が出ることになる。私も出場する(※マネージャーズミーティングが25日に行われるため、未定。交代枠10人の話も出ていない)。
 ここまで何度も言うように、まず13〜14人のグループ、第2は自分の持ち味、特徴を切り札とする選手、第3は試合に出られないグループ、この3つを考えて選考してきた。とにかく若い世代のスピリットとベテランの経験を生かした理想的なグループとなった。しかし、これらをミキサーにかける必要はある。選んだのはベストメンバーではなく、ベストバランスな集団だ。ベストメンバーということなら、ラモスも選んだ。中山と秋田には、これからの進歩は望めないが、(こうした理由から)選んだ。
(中田英寿について)パルマでは簡単ではない1年だったと思うが、これは選手のせいではない。中田は勝利者として、これを乗り越えたと思う。チームを一人で引っ張るのは重過ぎることだから、中山、秋田を入れた3人でチームを引っ張ってもらう。最近の中田には大満足している。
(流れの中での得点がないが)それは心配もしていないし、選択もない。世界中のどこのチームでも同じ悩みを抱えている。確かに神様はこの半年ゴールをしていないが(※会見では「ゴッド」と聞き間違えたためか、通訳が神様と訳しているが、監督は「ゴッド」ではなくニックネームの「ゴン」と言っている可能性があるが、未確認)、彼(※中山と思われる)が入るだけでチームは攻撃的になれる。我がチームには、釜本(邦茂)はいない。このグループのバランスは非常にいいし、人間としても、大人として、大きな性格でやっている。私自身のアプローチも変わった。落ちついて、特に練習で激怒したりすることもなく、指示もしないでも、グループが冷静に生きている」


◆スウェーデンチームの会見:
 午後8時半からはスウェーデンチームの会見のみ行われた。

ラーゲルベック監督 この親善試合を非常にうれしく思っています。この親善試合を申し込んだところ、非常に快く受け入れてもらった。宮崎でキャンプをしているが、施設もよく、みなによくしてもらって満足している。

──昨日起きた選手間の事件(タックルをめぐってユングベリとメルベリがケンカとなった)について、やはりプレッシャーが原因ですか。また、F組で対戦するイングランドには、30年無敗です。これは有利に働きますか
監督 昨日のことはそれほど大事だと思っていません。めったにないことだが、メディアのプレッシャーなどあってもたいしたことではない。イングランドのことは今コメントしたくはない。もちろん無敗は有利だが、どのチームと試合をするにしても、難しいことになる。とにかくあすの日本の試合に集中したい。

──出場予定のラインアップは(日本記者からの質問に笑顔で、フレンドリーマッチなので公開することに何の問題もない、とスターティングメンバーを読み上げた)
監督 GKへドマン、DFミャルビー、パトリック・アンデション、ルシッチ、メルベリ、MFスベンソン、アンデシュ・スベンソン、ユングベリ、リンデロート、FWラーション、アルベック。

──昨日の事件のあとに関係修復の努力はされましたか
監督 確かにカッとして押し合いにはなったが、大事ではない。話し合いはしたが。写真を見ていないので(タックルを)何とも言えないが、私がレフェリーならイエローを出しただろう。

──日本はノルウェーと対戦したが、北欧のサッカー、スウェーデンのサッカーの特徴は
監督 スウェーデンのサッカーか? それとも代表のサッカーについてか? スウェーデンはとても小さい国としては、サッカーでは成功していると思う。有望な選手が海外に移籍してしまうこともあるが、海外で国際経験を積むことはナショナルチームには有利になる。

──日本のトルシエ監督は10人の交代枠を要求しているが、明日はどうされますか
監督 監督は10人と言うようだけれど、そんなこと考えてもいない。明日の試合に関しては、こうしようということは考えていない。

──トルシエ監督からそういう提案があったらどうするか
監督 私たちは常に勝利することを第一に考えている。トルシエ監督がそう考えているならそれでいいが、私たちは、私たちの試合の方法に集中したい。

──このグループ(F組)の中でどこが残ると思うか
監督 FIFAのランキングならば明らかなこともある。アルゼンチン、イングランドとも、私たちよりは上にいる。しかし何が起きるかわらない。ベストを尽くして戦うことだと思う。アルゼンチンは、23人を見ても優秀だ。

──アルベック選手に、この湿気、時差、芝などは影響はありますか
アルベック 影響がないように願っている。芝は日本のものでトレーニングをしているし、素晴らしいものだ。時差ボケは最初は辛いが、もう影響はない。

──(イングランドの記者から)選手の怪我、故障(ベッカム)について
監督 ベッカムの件は残念だ。しかし、イングランドにはタレントも多い。スウェーデンにもし怪我があれば、もっと衝撃があるだろう。

──日本について
監督 日本との試合は楽しみにしている。明日は、自分たちのチームとしての試合をしたい。W杯が始まる1週間前に、どれだけ自分たちの戦術が試せるか、すばらしい機会だ。日本ではなく、自分たちの試合に集中する。日本のビデオを見たが、テクニカルで、速い、そしてとても攻撃的である。テストマッチとしては非常に理想的な相手で、いい経験になる。

──高温多湿は北欧には影響があるのでは
監督 明日はベストメンバーかどうかは言えない。実験ではない。気候は、私たちの多くが海外でプレーしていて、いろいろな気候の中でやっている。心配はしていない。

アンデシュ・スベンソン(サウサンプトン)「明日をとても楽しみにしている。宮崎のキャンプも非常に素晴らしいもので、明日は一生懸命がんばりたいと思う」

アルベック(へーレンフェーン)「試合ができることはうれしい。天皇陛下、皇后陛下がおみえになることも非常にうれしい。サッカーの試合をご覧になるのは初めてだということで、とても光栄」



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